美容院ではトラブルがつきもの!美容師によくあるクレーム
Kevin Dooley / Terror (from Flickr, CC BY 2.0)
接客業において、避けては通れないのがお客様からの「クレーム」。もしその原因がお店のほうにある場合は、誠意をもって対応しなければなりません。しかし、中には常識的にはありえないと感じる、言いがかりのようなクレームをつけられてしまうケースも…。
美容業界でも、様々な理由でクレームが発生します。これまで一度も失敗したことがない、お客様に文句を言われたことがないという美容師はいないのではないでしょうか。ここではサロンでよくあるクレームと、クレームを防ぐための注意点を見ていきましょう!
切りすぎ注意! カットのクレーム
カット後の髪が短すぎる!
サロンへのクレームで一番多いのは、カット後の髪が短すぎるというクレームではないでしょうか。長すぎるという場合には、もう一度切りなおせば済む話ですが、短く切りすぎてしまった髪はまた生えてくるまで待たなくてはなりません。きちんと確認しながらカットしていけば、切りすぎることを防げるようにも思えますが、施術の時間は限られているもの。時間内にぴったりの長さにカットするためには、相当な技術が必要です。
軽くされすぎてしまった
髪の量を減らす場合は、スキバサミを使ってザクザクと切っていきますが、この時の「減らし具合」で失敗が起こりやすいようです。髪の長さについては、何センチくらいと数字ではっきり表すこともできるため齟齬が生じにくいですが、髪の量を表現するのは難しいもの。クライアントの要求も「ちょっと軽くしてください」など、ざっくりした表現になってしまい、意思の疎通のズレが起こりやすいようです。
Regan Walsh / mead-fueled anger (from Flickr, CC BY 2.0)
個人差があって難しいカラー・パーマのクレーム
ヘアカラーが染まりすぎてしまった
カットと並んで多い、ヘアカラーに関するクレーム。色が明るくなりすぎてしまったり、染まり方にムラが出てしまったり、わずかな時間で色が落ちてしまったり…カラーのトラブルにも様々な理由があるようです。ここで難しいのは、お客様の髪質の問題。ヘアカラーは事前にチャートで色を確認できますが、髪質によって実際の染まり方は異なります。ヘアカラーに失敗すると、再度の染め直しで髪が痛んでしまうため、返金を求められるケースも…。
パーマの強弱について
キレイなウェーブをかけたかったのにパーマが強すぎてしまったり、全然ウェーブがかからなかったりと、パーマでの失敗も多いようです。パーマは、髪の毛に相当な負担がかかるもの。施術前からすでに髪が痛んでいると、チリチリになってしまうことも…。同じ施術を行っても、全ての人が同じ仕上がりになるわけではないのが難しいところです。
美容師のせい…? イメージどおりにならなかったというクレーム
「写真のアイドルみたいにならなかった」「小顔になるようにしてといったのにならなかった」「ぜんぜん似合わないから返金して!」といったような、思い描いていた姿になれなかったというクレームはとても多いようです。カット・カラー・パーマといった施術での失敗は、サロン側の非がはっきりしている場合もありますが、イメージとのズレという問題は対応が難しいところ。美容師側からすれば、注文どおりに施術したのに…という心境ですよね。
お客様とサロンの板ばさみ!? 美容師を悩ませるクレーム
サロンで販売しているシャンプーやトリートメントなどの美容用品も、サロンの大事な収入源。美容師やアシスタントは施術だけでなく、美容用品の販売も求められ、サロンによっては厳しいノルマが課せられているところもあるそうです。その営業をしつこいと感じたお客様からクレームが入ることは多いよう。美容師はサロンと大切なお客様との間で、板ばさみになってしまいます。
また、担当美容師の性別に文句を言われたり、「カットが下手だった」というどうしようもないクレームが入ってしまうことも…。他のサロンに行ってくれ! と言いたくなるかもしれませんが、クレームで心配なのは返金よりも、むしろサロンの悪評が立ってしまうこと。現在はSNSなどで情報がどんどん広がっていく時代なので、理不尽なクレームにもていねいに対応しなければなりませんね。
クレームを防ぐにはお客様とのコミュニケーションが重要!
施術に関する失敗は即クレームにつながり、返金を求められることもあります。お客様にとっては取り返しのつかないことなので、当たり前ですよね。失敗の原因は、単純に美容師の技術不足ということもありますが、むしろお客様とのコミュニケーション不足が引き金となることが多いようです。
トラブルを避けるため、髪にダメージを与えるカラーやパーマを行う際には、起こりうる失敗の可能性をあらかじめきちんと説明しましょう。お客様の髪質によっては、施術を行わないという判断も必要になるかもしれません。また、事前の打ち合わせをしっかり行っておけば、イメージと仕上がりのズレを防ぐこともできるのでオススメです!
切りすぎやクレームを防ぐ美容師の「カウンセリング」
お客様との間にクレームが発生する理由は様々なよう。完全にクレームを防ぐことは難しいかもしれませんが、少しでも減らすためにはカット前にお客様の要望を聞き取る「カウンセリング」が非常に重要です。それではどのようにカウンセリングを行うのが有効なのでしょうか。
まず「思ってたデザインと違う!」といった技術的なクレームをなるべく防ぐには、カウンセリングを細かく行うことが重要。「どれ位の長さにしたいのか」「髪のボリュームを増やしたいのか、抑えたいのか」などの大まかなイメージから、最終的なヘアスタイルの完成形までしっかり聞き取ることが重要です。できれば言葉だけでなく、ヘアカタログなどを使って視覚的にお客様とイメージを共有するのがおススメ。中には初来店でヘアスタイルを「おまかせ」と注文するお客様もいますが、クレームを防ぐため出来る限り髪型の希望を聞き出しておきましょう。
また髪型に関するカウンセリングをした後には、しっかりと施術内容の説明を行うこと。お客様にその後どんな流れで施術が進むのか事前に伝えたほうが、施術中にトラブルが生じる可能性が少なくなるでしょう。説明時には専門用語をなるべく使わないように注意して、誰もが分かるような言葉に置き換えることが大切です。
そのほか、施術にかかる時間と料金についての説明も行っておきたいところ。施術が終わった後に「想定してた値段と違う!」とクレームになることもあるので、とくに初来店のお客様にはお店のシステムについて丁寧に説明しておきたいですね。
切りすぎた時は何て謝罪? 美容師のクレーム対応法
もし実際にお客様の髪を切りすぎてしまい、クレームを受けたらどんな風に対処すれば良いのでしょうか。まず大切なのは“その場ですぐに謝罪すること”。お客様からミスを指摘された際にあいまいな反応を見せると、相手に与える印象がさらに悪くなってしまうことも。謝罪の気持ちが伝わるようなリアクションを心掛けましょう。
また謝罪をする際には、「なぜそうなったのか」という理由や経緯をきちんと説明するのがおススメです。ただ謝罪を繰り返すよりも、誠意をもって対応しているという印象を伝えられるはず。
もし自分に権限があるなら施術料金を無料にしたり、シャンプーやリンスをお詫びの品として渡すのも一つの手。必要ならオーナーや店長に対応を代わってもらったりと、臨機応変に動いてトラブルを最小限に抑えましょう。
美容師の仕事は、お客様をキレイにすること。お客様は、こんなヘアスタイルになりたいという希望を持ってサロンにやってきます。しかし、なりたい姿と仕上がりがかけ離れてしまうと、クレームのきっかけに。コミュニケーションをしっかりと行い、ていねいな施術を心掛けましょう。中には理不尽なクレームもありますが、それに負けず美容師としてレベルアップしていけるといいですね。