日本で開催されている「東京ガールズコレクション」や「ガールズアワード」などのモデルは、普段から着られそうな服を着て登場する。「あの服かわいい!」「今年流行のスカート丈はあのぐらいなのね」なんてトレンドをチェックするのにも役に立つ。一般人でも安心して見ることができ、その上勉強にもなるのだからありがたいかぎり。
対して、「パリコレ」や「ミラノコレクション」などのモデルは何であんなに奇抜な服を着ているのだろう。ニュースで海外ファッションショーの映像を眺めていると、着て歩いていたら確実に職務質問されそうな、なんとも浮世離れした服ばかりが目に飛び込んでくる。一般人からすれば、「乳丸出しの服があるかと思ったら、目の部分にしか穴が空いてないカーテンみたいな服もある。ワケわからん」「ウルトラマンの怪獣みたいなあの服、いったい誰が買うの!?」と混乱してしまうのも無理ないだろう。
実はこれ、販売を目的として作られた服ではないらしい。有名ブランドにはショーに合わせた服と、実際に販売するための服の2種類が存在し、ショーに合わせた服は「ウチのブランドの方向性、極端に表現してみました!」というコンセプトの元に作成されているようだ。また、「こんな服を流行らせたい!」という意気込みも表れているとのこと。どうしても1点モノのの珍しい服が欲しいならば購入することもできるが、「オシャレすぎて一般人には理解不能」「芸術が爆発しすぎてて…もはやゆるキャラにしか見えない」と思われるような服を欲しがる人もそう多くはないだろう。
また、斬新であればあるほど、注目を集めれば集めるほど巷では話題にのぼり、自社のブランドの名前が有名になるという側面もある。ニュースで取りざたされているものも、「上半身にまとっているのは作り物のロブスターだけっていう衝撃の恰好があった」「体中にヘビだかうなぎだかが絡みついているリアル祟り神みたいな服、シュールで怖すぎる」など、一度見たら忘れられないほど強烈な印象を残すものばかり。服と一緒にブランド名まで覚えてしまったら、あなたはまんまとブランドの術中にハマっていることになる。
奇抜な服ばかり発表するブランドでも、公式サイトをチェックすると意外とベーシックな服が並んでいる。ファッションショー用の服とのギャップを楽しんでみるのもまた面白いかもしれない。
画像出典:William Murphy / SONIA REYNOLDS PRESENTS HER SELECTION OF THE BEST OF IRISH FASHION REF-101461(from Flickr, CC BY 2.0)