学生の間は制服を着るものですが、大人になって社会に出るとほとんどの人がスーツを着るようになりますよね。スーツは社会人にとっての制服とも言え、ビジネスシーンにおいてその人の印象を決める重要な要素となってきます。そのため正しい着こなしや手入れがとても大事なんです。
ですが、スーツの着方について指導を受ける機会は多くありません。ただ自分なりにスーツを着ているだけ、という人も多いんじゃないでしょうか? そこで今回は女性がやりがちな「間違ったスーツの着こなし方」を紹介するので、自分に当てはまっていないかチェックしてみてください。意外と見逃しているかもしれませんよ。
意外と知らない!間違えたスーツの着こなし方
女性の場合、ジャケットのボタンは全てとめる
男性がスーツを着る場合、ジャケットのボタンの1番下は留めずに開けておくことがマナーとされています。ですが、女性の場合はボタンを開けておくことはNG!ボタンを開けていると逆にだらしなく見えてしまうので、必ず一番下までジャケットのボタンを留めるようにしましょう。
ジャケットのフラップ、室内では中にしまう!
ジャケットのポケットについているふた、実はあのふたの名前は「フラップ」と言います。そのフラップ、果たして外に出すのが良いのか中にしまっておくのが良いのか、悩む方も多いはず。正解は、「外出している時は外に出す、オフィスの中では内側にしまう」です!フラップの役割はポケットの中にほこりやごみが入らないようにすることなので、取引先に着いてオフィスの中に入る時にはサッと内側にしまうようにしましょう。
ジャケットのポケット、中に物を入れてはNG!
ジャケットの腰の部分には、右にも左にもポケットがついていることがほとんど。ですが、実はこのポケットの中に小物やスマホを入れて持ち歩くことはNGとされています。それは、ポケットの中に物を入れて重さで生地が引っ張られることにより、せっかく綺麗に仕立てられたスーツの形が崩れてしまうため。このポケットにたくさん物を入れていると「この人は正しいスーツの着方が分かっていないんだな」と思われてしまうので、要注意です!
冬場でも、黒のタイツはNG!
肌色のストッキングではちょっと肌寒く感じる冬の季節。ですが、寒いからと言って厚手の黒のタイツを履くことは避けましょう。黒のスーツに黒のタイツを着用するのは、葬儀の場合。オフィスで働く場合やお客様のもとに訪問する場合に、葬儀をイメージさせる黒タイツを履いていくことはNGです。ただ、会社によっては黒タイツをOKとしている場合もありますので、先輩に聞いてみましょう。
シャツの袖は、ジャケットから見えないようにする
男性の場合、ジャケットの袖からシャツが1センチほど見えていることが理想的な着こなし。ですが、女性の場合は特に袖を出しておく必要はありません。袖のボタンをしっかり留めて、袖や裾がスーツからはみ出すことのないように着こなしましょう。
スカート丈、長くても短くてもNG!
立っている状態でも膝が全て見えるような露出の多い短いスカートはもちろんNGですが、逆に長すぎてもだらしなく見えてしまいます。身長が低い方も、椅子に座った時に膝が半分くらい見えるような丈に調整するようにしましょう。
どんな着こなしを目指すべき?
まず、着こなし以前に理解してほしいのが、社会人に求められているのは「誠実さ」や「真面目さ」なのだということ。あくまでもスーツはそれを際立たせるためのアイテムであり、基本的には「オシャレ」を優先すべきではない、ということです。
もちろん職種によっても異なりますが、大抵はモード系の派手な色やストライプのデザインがされたようなスーツは避けるのが無難でしょう。なぜなら、初対面の人にそういった恰好を見られると「浮ついているな…」という印象を与え、軽く見られてしまう可能性があるからです。ビジネスシーンにおいてはお互いの力関係が重要で、軽んじられては対等に仕事を進めることができなくなってしまいます。また、誠実さをアピールすることも大切なので、そうしたポイントを押さえた着こなし方を目指していきましょう。
スキッパーシャツとレギュラーシャツで気をつけたいこと!
スキッパーシャツの着こなし
女性のスーツの着こなしでよく見かけるのが、第一ボタンがなくシャツの襟を上着の外側に出している人ですね。これは「スキッパーシャツ」と言って、首元が開いて見えるので活発な印象を相手に与えられるという特徴があります。
ただしこの場合に注意したいのが、「シャツがサイズオーバーになっていないかどうか」ということです。スキッパーシャツは襟を外に出すので、その襟が大き過ぎると「だらしない」という印象が強くなってしまいます。そのため特にジャストサイズを着ることが大切なんです。また、襟が汚れているととても目立つので、襟のお手入れも欠かさないように。
襟元がレギュラーシャツよりも華やかになるので、髪が短くておろしている人よりも、顔周りがすっきりしたまとめ髪に似合います。短い髪が襟を邪魔してだらしなく見えてしまうことがあるので、ピンで留めるなどしてなるべく顔周りはすっきりさせておきましょう。
レギュラーシャツの着こなし
首元までしっかりとボタンで閉じられるシャツ、「レギュラーシャツ」も定番ですよね。銀行や公務員などのかっちりとした職場の場合はこちらのレギュラータイプが選択されることがほとんど。清楚な雰囲気を出すにはこのタイプがいいとされていますが、それは正しくスーツを着こなせている場合にかぎった話です。「白いシャツを着用」「シャツの袖をジャケットからはみ出させない」「シワや汚れがない」という条件がそろっているか、きちんと確認しましょう。スーツだけでなく、普段からのシャツの手入れを心がけるのも大事なことですよ。
また、スキッパーシャツと比べて首元がしっかりと詰まったデザインのため、首が太い方だと窮屈に見えてしまうことも。小さいサイズを無理矢理着るのではなく、シャツを購入する際に首周りのサイズをしっかり測った上で少し余裕のあるサイズを購入するようにしましょう。
カットソーの着こなし
上の2つとは異なり、ボタンが無くTシャツのようなややカジュアルなデザインのものです。通常の就職活動の際にはあまり着用されることはありませんが、エステやネイリストなどの美容業界の面接や、ブライダル業界の選考の際には度々着用されることも。シャツと比べて、自宅で洗濯をしても型崩れをしたりシワになったりする心配が少なく、管理も容易な点がメリット。
ただ、長く着続けると生地がよれてしまってだらしなく見えてしまうので、いくつか同じデザインを購入して着まわせるようにしましょう。
どのタイプの場合も、基本的には色は白をチョイスするのが無難です。ピンクやブルーなどの淡い色のものを着用しても問題はありませんが、大事な式典や面接の際にはやはり白を着用することが一番。ストライプやドットなどの柄付きのものや、胸元にギャザーが寄っているものなどはあまりビジネスシーンでは適さないので、必ず無地の白のシャツを1着購入しておくようにしましょう。
スカートとパンツの違いは?
女性のスーツにはスカートとパンツの2タイプがありますが、これもシャツと同様にタイプによって相手に与える印象が変わってきます。具体的に言うとスカートは真面目さ・協調性、パンツはアクティブ・仕事が早そうといった印象を抱かれやすいので、TPOに応じて使い分けていきましょう。
スカート着用の場合
とくにスカートの場合には丈に気をつけたいところ。学校の校則に似ていますが、膝より上までの長さだとNGです。何故かというと、椅子に座った際に足の露出部分が多くなるので「だらしない」という印象を持たれてしまうからですね。そのため、スカートの丈は膝より下にくるように意識しましょう。
また、スカートを履いた際にはあまり大股で歩かないようにすることも大切。せっかく女性らしく綺麗な形のスカートでも、歩き方一つで品の無い印象を与えてしまいます。
パンツ着用の場合
柔らかく女性らしい印象よりも、活発でスマートな印象を与えることのできるパンツスーツ。しゃがんだり階段を上ったりする時にも動きやすいのがパンツを選択するメリットです。また、スーツを着用する際には黒のタイツを履くことができないので、冬の時期にはスカートよりもあたたかく、身体の冷えを防ぐことができますよ。
パンツスーツの場合には、あまり低いヒールを履くよりも5センチほどの高さのパンプスを選ぶと綺麗なシルエットになります。あまりサイズが大きく幅が太いものを選択するとだらしなく見える反面、あまりにもタイトなものだと下着のサイズが見えてしまったり、座った時に窮屈に見えてしまうので、ややゆとりのあるストレートパンツを選ぶようにしましょう。
マイナスの印象を与えないことがスーツ着用マナーの基本
ここまでに触れたマナーのそのほか、胸を強調させるようなシャツの着こなしもNGです。また、どれだけしっかりとスーツを着こなしていたとしても、派手なロゴの付いたブランドバッグや高いピンヒールのパンプスなどはマイナスポイントになってしまいます。スーツを着用する際には服装や髪型だけでなく、身に付ける小物や靴にも気を遣うようにしましょう。
お洒落な普段着を着用する場合と違って、スーツを着用する上でのマナーの基本は、まずは清潔感を与えることです。
どうすれば相手にいい印象が与えられるのかまだ分からない内には、相手に「よく思わせる」のではなく、「悪く思われないようにする」無難な着こなし方をしておくのが良いかもしれません。
先輩たちの姿を見ていれば、次第に社会人らしいスーツのオシャレな着こなし方も分かっていくはずですよ。まずは基本にならった着こなしをするようにして下さいね。