社会に出ると失敗や叱られることがつきものですが、そうすると思考がネガティブになって落ち込んでしまうことってありますよね。そういった時には「楽しく考えよう」とか「失敗は成功の元」とか、ポジティブに考えようとする人が大半で、世間的にも「ポジティブ=良いこと」という認識が普通になっています。
もちろんポジティブに物事を捉えることは前向きで良いことですが、それが過度になってしまう「ポリアンナ症候群」というものもあります。今回は「ポジティブに潜む落とし穴」について紹介するので、自分と照らし合わせてチェックしてみてください。
自分より劣っている人を見て満足するのは要注意
まず、度を越えて楽観的な人の特徴として、どんな状況でも楽観的に考えたり、自分より劣っている人を見て自己満足してしまうことが挙げられます。実はそういった思考をする人は“ポリアンナ症候群”という心的疾患に分類できるんです。例えば、会社で大きなミスをしても「あの人は私以上に大きなミスしてたし、まだ私はマシだよね」と開き直ったり、経営がうまくいかなくなっても「大丈夫。私には誰よりも秀でている才能がある」と根拠のない自信で問題をスルーしてしまったりする傾向がその一例。
上にある例のどちらにも一貫して「現実と向き合っていない」という特徴が当てはまります。周りの人と自分を比べることはそのミスに関係ないですし、本来は必要だった反省と対策ができなくなってしまいます。また、経営を立て直すためには具体的な策が必要なのに、才能の一言だけで済ませてしまっても現状は悪化するだけでしょう。過度な楽観というのは目の前で起きた問題を単にスルーしているだけで、気持ちは楽になっても現実的な事態の改善にはつながりません。
思考に具体性を持たせる
過度に楽観的な思考を改善するには、何か問題が起きたら「具体的な方法」を考えるようにすることをオススメします。例えば、大きなミスをしてしまったら「なぜミスをしてしまったのか」という原因を究明し、その後に「ミスをしない対策」を練るようにすれば、問題解決に近づけます。問題が起きたらまずは問題に向き合う、という癖をつけるようにすれば、楽観的な思考に逃げることは少なくなるでしょう。
後は、根拠のない自信からくる現実逃避の場合、過去の成功例を無視することです。自信がある人によく見られるのは、今までに何らかの形で成功して、その経験がいつまでも心の内に残っているせいで過剰な自信につながっているケース。ですが、過去のことはその時だったからこそ成功したものと考えるようにして、一旦自信をゼロにしてみましょう。そして自分のミスときちんと向き合い、新たな問題が起きたらその都度しっかり対応するようにして、具体的なアイデアを出すように心掛ければ状況も良くなっていくはずです。
ポジティブ思考の意義を理解する
こうして見えてきたことは、ポジティブ思考で自分を励ますだけでは現実は何も変わらない、ということです。とはいえポジティブ思考がまったく無価値かといえば、そうではありません。当然ながら人間には感情があるので、仕事でミスをすれば落ち込んでしまいますし、ダウナーな気持ちのまま仕事をしても効率が悪くなる可能性があります。そこでいかにやる気を出すか、いかに前向きに仕事を進めるかといった観点から見て、ポジティブ思考には意義があると言えるんです。なお、トラブルに見舞われても「何とかなるでしょ」という投げやりな考え方をして、それをポジティブ思考とすり替える人がいますが、それはそもそもポジティブ思考とは言えません。
また、ポジティブなものと言えば「楽しい」「笑顔」「下を向かない」といった前向きになれる言葉が連想されますが、「現実から逃げる」と言われればポジティブな印象がなくなるどころか、マイナスイメージに一気に転化しますよね。ポリアンナ症候群のような「行き過ぎたポジティブ思考」をまぬがれたい人は、何か物事を考える際に「現実から逃げていないか」とセルフチェックするように意識すると、自ずと逃げ癖が改善されるのではないでしょうか。