初詣では一年の感謝を捧げ、新年の無事や平安を祈願するために多くの人々が神社や寺院へ参拝します。家族の健康や商売繁盛、良縁祈願など様々な思いがあるのではないでしょうか。
神社や寺院は神聖な場所なので、適当にお参りをするわけにはいきません。参拝の作法やマナーは誰に習うわけでもなく、参拝の時にはキョロキョロとあたりを見回して作法を確認してしまう人もいます。
日本に住む多くの人が訪れる「初詣」。神様に失礼のないよう、参拝の作法やマナーを見ておきましょう。
INDEX
1.参拝する時の服装について
2.鳥居のくぐり方
3.参道の歩き方
4.手水の作法
5.参拝の作法
6.御朱印をもらいましょう
7.さいごに
参拝する時の服装について
一年のはじまりだからこそ、初詣に何を着て行くか悩んでしまいますよね。神社に行くからといって絶対にコレ!というのはないですが、ド派手なものや露出度が高いものはやめましょう。汚れている洋服や豪華な毛皮のコートも神社には向いていません。
服装は、その時の心の表れともいわれます。神社の神職は神様に対するとき、目上の方に接する様に正装します。ですので、神社参拝の際にはなるべく服装をただすように心がけましょう。特に社殿の中などで参拝される際、男性はスーツにネクタイ着用、女性もフォーマルな服装が良いでしょう。
着物を着用したいと考えている人は、縁起の良い「鶴」や「松竹梅」「七宝柄」などの吉祥模様を選ぶと、おめでたいお正月に合う着物姿となるのではないでしょうか。着物に合わせてヘアアレンジもしてみると、より美しい着物姿となりますよ。
鳥居のくぐり方
神社には鳥居があり、特に大きくそびえ立つ鳥居には圧倒されてしまいます。そんな鳥居には意味があり、鳥居の外は「一般社会」とされ鳥居をくぐったところから「神域」とされています。
鳥居をくぐる時は、目上の方のお宅を訪問するような気持ちで「一礼してからくぐる」と丁寧ですよ。また、参拝を終えて境内から出る際も「社殿の方に向き直って一礼」するようにしましょう。
参道の歩き方
鳥居をくぐり社殿へ向かう際、参道の真ん中を開けて歩いている事に気付いたことがあるかもしれません。参道の両端にだけ歩きやすいように舗装されている神社もありますよね。
参道の中央は神様が通る道とされていることがあります。神様が通る道を「正中(せいちゅう)」と言い、人々は参道の中央を避けて歩く事で敬意を表しています。
万が一、参道の中央を横切らなければならない時は、中央で神前に向き直って一礼してから横切るか、軽く頭を下げながら横切るようにします。このようにする事で、神様に対し敬意を表す事ができます。
手水の作法
参拝をする前に、手水舎の水で心身を清めます。この事を「手水をとる」と言い、手水では手を洗い、口をすすぎます。手や口を洗い清める事で禊を意味した儀式となるのです。では、手水の作法を見て行きましょう。
【手水の作法】
1.右手で柄杓を持ち、たっぷりと水をくみます
2.柄杓にくんだ水を左手にかけて、清めます
3.柄杓を左手に持ちかえて、同じように右手を清めます
4.再び、柄杓を右手に持ちかえて左手で水を受けます
5.左手で受けた水を口元に運び、口をすすぎます
※この時、柄杓は直接口につけないこと
6.改めて左手を清めます
7.柄杓を立てるようにして残った水で柄杓の柄を洗います
8.柄杓を元に戻します
この作法を元に手水をとり、身も心も清めたところで、清々しい気持ちで参拝するようにしましょう。
参拝の作法
手水をとり身も心も清めたら神前に進みましょう。初詣ではたくさんの人がお参りに訪れて、お祭りのように出店が建ち並んでいるかもしれませんね。「だるま」や「お守り」、年に一度の大切な「おみくじ」など、目がいってしまうものがたくさんありますが、まずは、参拝をしてから購入するようにしてください。
御神前では「感謝の心」と「おかげさまの心」を捧げてお参りします。古来から行われている敬礼作法で、深いお辞儀を「拝」といい、手を打ち鳴らす事を「拍手」といいます。それでは、正しい参拝の作法を見て行きましょう。
【神社へ参拝する時の作法】
1.御神前に進み姿勢を正します
2.お賽銭箱の前に立ち会釈をし、お賽銭をいれます
3.腰を90度に折り、2回深いお辞儀をします【二拝】
4.胸の高さで両手を合わせ、右手の指先を少し下にずらします
5.肩幅くらいに両手を開き、拍手を2回打ちます【二拍手】
6.両手を合わせたまま、心を込めて祈ります
7.ずれた右手の指先をきちんと揃え直します
8.両手をおろし、1回深いお辞儀をします【一拝】
また、寺院でお参りをする場合は作法が異なります。寺院での参拝作法も確認しておきましょう。
【寺院へ参拝する時の作法】
1.御神前に進み姿勢を正します
2.お賽銭箱の前に立ち会釈をし、お賽銭をいれます
ここまでは同じ!!
3.合唱しながら腰を30~45度に折り、1回お辞儀をします【一礼】
4.親指と人差指、中指の三本でお香をつまみ左手を軽く添える
5.お香をつまんだまま額の前に掲げ、香炉に落とします
※回数は宗派により異なるので、わからなければ1回で良い
6.胸の前で合掌しながら祈願し、1回お辞儀をする【一礼】
寺院での作法にあった「一礼」と、神社での作法であった「一拝」。実は、同じようでちょっぴり違うのです。違いは「お辞儀の角度」。一拝は深々と90度腰を折り曲げてお辞儀をする事で、一礼は少し浅めの30~45度のお辞儀です。参拝する時に、細かくお辞儀の角度を気にしすぎる必要はありませんが、頭に入れておくと作法で迷うことはありませんよ。
寺院では、合掌しながら一礼が基本です。パチンパチンッと二拍手してしまわない様に気を付けましょう。
初詣では、参拝客がたくさん並び次々と押し寄せられてしまいますが、心を静めてから神様と向き合うようにしてくださいね。ちなみに、島根県にある「出雲大社」では、「二拝」「四拍手」「一拝」で参拝します。このように、訪れる神社によって参拝の作法が異なる場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
御朱印をもらいましょう
神社や寺院に行き「御朱印」という言葉や文字を目にした人も多いと思います。御朱印は必ずしも書いてもらう必要はありませんが、今や年代問わず御朱印を書いてもらっている人が増えています。
御朱印について初心者の人にもわかりやすく紹介していきます。御朱印のもらい方や気を付けたい事など、これから始めようと思っている方は是非読んでみてくださいね。
御朱印とは
「御朱印」とは、神社や寺院が参拝者に向けて押印される印章や印影の事。参拝した日付や寺社名、御本尊の名前などを墨書きしてくれるのが一般的です。
古い昔、日本全国66国を巡礼し法華経を1部ずつ納める「六十六部」が起源と考えられています。江戸時代後期には、写経を納めるという行為は形骸化していたと言われていますが、長い月日を経ても参拝した証として「御朱印」の風習が残っているのですね。
御朱印のもらい方
御朱印を頂くには、御朱印帳が必要になります。中には、紙なら何でも良いのではないかという事でノートなどに御朱印をもらおうとする人がいます。ですが、それは失礼な行為と認識されることもありますので注意してくださいね。御朱印を断られてしまう事もあります。
御朱印帳は、寺社がオリジナルの物を用意しています。社務所や授与所で購入する事も出来ますし、一部の文具店や通販などでも手に入れる事もできます。
【御朱印帳の種類】
- 蛇腹:紙が1枚に長く繋がっておりアコーディオンのように折りたためるもの
- 和綴じ:本のようなもの
様々な御朱印を頂いてから開いて眺める事も出来ますし、墨書きをする方も書きやすいので「蛇腹」の御朱印帳がおすすめです。
御朱印を頂くには、「御朱印受付(社務所)」や「御朱印授与所」と書かれている所に向かいます。初詣は特に長蛇の列になっていると考えておきましょう。何時間も並ぶという事もあるかもしれませんが、日付を書いて頂くので「この日にお参りした」という証になります。根気よく待つことも、御朱印を頂くことのひとつと考えてくださいね。
御朱印帳の中で書いて頂きたいページはこちらで決めるのが一般的なので、並んでいる間に「御朱印を頂きたいページを開き」順番を待つようにしてください。順番が来たら、神職さんや巫女さんに「御朱印をお願いします」「御朱印を頂きたいのですが」と声をかけ、開いたままの御朱印帳を渡します。
御朱印のお代は神社によって異なりますが、300円や500円の所が大半です。神職さんや巫女さんに納めてくださいね。また、御朱印や授与品のお代のことを「初穂料」と呼びます。
御朱印を頂くにあたり、気を付けたい事
ここまでで、御朱印を頂く事はできますが気を付けたい事もあるので、併せて読んでおいてくださいね。
【御朱印を頂くにあたり、気を付けたい事】
- 御朱印は参拝後に頂くようにする
- 御朱印を頂く場所を開いて渡す
- 御朱印を頂ける時間帯を把握しておく
- 全ての神社で御朱印を頂ける訳ではない
御朱印を頂き初穂料を支払ったら、きちんとお礼を言うようにしましょう。神職さんは様々な業務があった上で、時間を割いて対応して下さる場合が多いです。御祈祷や祭祀など優先すべき業務がある事も理解した上で、お願いするようにしてくださいね。
さいごに
初詣での参拝作法やマナー、御朱印についてご紹介しました。もちろん、初詣でなくても作法やマナーは同様です。
一年のはじまりに相応しく「感謝の心」と「おかげさまの心」を捧げてお参りしましょう。お参りを終え、家族や大切な人とゆっくりお正月を過ごせると良いですね。