3月13日から4月28日にかけて、平成29年度の新入社員1,882人に対して「働くことの意識」の調査を実施。働く目的や会社の選択理由、デートと残業のどちらを選ぶかなど、新入社員の本音を詳しく見ていきます。
チャレンジよりもエンジョイ
公益財団法人「日本生産性本部」の「職業のあり方研究会」と、一般社団法人「日本経済青年協議会」が「働くことの意識」調査をスタートさせたのは昭和44年度から。長い歴史を重ねているため、時代の流れとともに変化する新入社員の意識を比較して見ることができます。
まず、「働く目的」についての回答は「楽しい生活をしたい」が過去最高の42.6%を記録。かつてはバブル期を除いてトップになることもあった「自分の能力を試す」は長期にわたって減り続け、今回は10.9%と過去最低を更新しています。そして、ネット上でも「やりたくないことでもやれるのはお金になるから」「遊ぶお金欲しさで何が悪い」「お金のためでしょ。何もしなくてもお金もらえるなら働かないもん」といった声が上がっているように、「経済的に豊かになる」と回答した人も26.7%とまずまずの高ポイント。大学などで勉強するために利子つきで返済する奨学金を利用した人が全体で31.3%もいるとのことなので、お金を稼ぐことの重要性を強く認識しているのかもしれませんね。
プライベートを楽しみたい
「仕事が中心か(私)生活が中心か」という質問には、「両立」という回答が多数派。残りの人を分けてみると、「(私)生活中心」は平成3年の22.8%をピークにゆるやかに下降し、平成22年からは「仕事が中心」が数年にわたって逆転。しかし、平成24年から再び仕事人間が減り、今年度の調査では7.1ポイントの差をつけて「(私)生活中心」が返り咲いています。私生活を重視する人たちからは、「仕事なんてプライベートを削ってまでやりたくない」「土日のプライベートを思い切り楽しむために仕事してる」なんて声も。また、働く目的に出てきた意見と同様、「プライベートで使うお金を仕事で稼いでる。仕事はただの手段」というように、お金が大切だと考えている人が多いようです。
プライベート重視派が増えているとはいえ、「デートの約束があった時に残業を命じられたらどうするか」という質問には、71.0%が「仕事」と回答。平成23年度以来「デート」を選ぶ人も増加しているものの、なかなか自分を押し切ることができないという背景も垣間見えます。
仕事選びは能力・個性が大切
「会社を選ぶとき、あなたはどういう要因をもっとも重視しましたか」という質問には、40年以上変わらず「自分の能力・個性が生かせるから」がトップ。そして、昭和の頃に多かった「会社の将来性」を考えて会社選びをする人は平成に入るとグッと減り、代わりに「仕事が面白いから」が急激に増えていきます。しかし、平成23年以降は仕事を面白いと感じる人も減り始め、「技術が覚えられる」が急浮上。能力・個性を生かした技術を覚え、個人として磨きをかけたいと思っている人が多くなっているのかもしれませんね。
また、新入社員は「人並み以上」に働くよりも、働くことは「人並みで十分」だと考えているというデータも。新入社員が求めているのは、適正のある職種でお金を稼ぎ、プライベートが充実した楽しい生活なんですね。