女性はいくつになっても美しくありたいものですよね。「おばあちゃん」と呼ばれる年齢になっても、オシャレをする心を忘れずにいられたらベスト。そんな中、高齢者に爪のオシャレを通して「癒し・元気・希望」を取り戻してもらうお手伝いをする福祉ネイリストに注目が集まっています。
高まる福祉ネイリストの需要
年々進行している日本の高齢化社会。それに伴って老人介護施設で長い時間を過ごす高齢者も増え続けており、高齢者向け美容サービスの需要が高まっています。
年齢を重ねるにつれて人間の身体は少しずつ老化していくもの。しかし、女性はいくつになっても美やファッション対して興味を持ち続けます。多くの女性が「少しでも長く美しくいたい」と考えていますし、きれいになることで心も穏やかになり、精神的にも良い影響が期待できますよね。
需要の高まりに応じて、近年ではプロのメイクアップアーティストが高齢者にメイクを施す機会も増えています。ネイルのプロとして、福祉ネイリストが活躍する場も増加傾向に。現在活躍している福祉ネイリストのほとんどは、普段はネイリストとしてサロンで働きながら、高齢者向けのサービスにも力を入れています。
福祉ネイリストの特徴
お客様の美を追求するのは通常のネイリストと一緒ですが、福祉ネイリストならではの特徴も数多く存在します。
サービス内容としては、高齢者や障害者を対象とした「ネイルケア」や「ハンドマッサージ」などの基本的なケアが中心。ワンランク上のオシャレを提供する場合でも軽くマニキュアを塗る程度がほとんどです。また、お客様に怪我をさせないため極力刃物を使わないように施術したり、剥がす際に爪に負担がかかる可能性があるジェルネイルは使用せず、代わりにシールを用いるネイリストも。
さらに、なるべくお客様の体力を奪わぬよう、施術やケアは通常よりも短時間で終わらせる必要があるほか、高齢者は抵抗力が落ちている場合もあるので衛生面にも注意が必要。使い捨ての道具を使ったり、十分な換気や念入りな消毒を行うことが求められます。単にネイル技術があるというだけではなく、相手のことを考えた細やかな気配りが出来るというのも福祉ネイリストとして活躍するためには欠かせない要素ですね。
その他に福祉ネイリストの役割として大切なのが、高齢者とのスキンシップやコミュニケーション。施術中は高齢者がネイリストと向き合っておしゃべりを楽しむこともできるので、それを楽しみにネイルケアを受ける場合も多くありますよ。
高齢者に笑顔を届ける福祉ネイリスト
福祉ネイリストとは、「一般社団法人シニアチャレンジッドメンタルビューティー協会」(以下SMBA)による民間資格。グループホームや老人ホームなどの高齢者施設や、障がいを持った人が活動している就労支援施設などに赴いてネイルサービスを施します。
資格取得のためには、SMBAの認定校で7日間の講習を受け、さらに実施研修に参加。ネイルの基本を学ぶことはもちろん、福祉と介護の現状や高齢者の特性、障がい者福祉といった勉強もします。講習中は毎日宿題が出るため家でも勉強しなければなりませんが、「子育てとの両立でフラフラになりながらも実習を終えることができた!」というママさん福祉ネイリストも。講習は1日3時間程度なので、時間のやりくりを上手にすれば忙しい人でも合格できるようです。
美容を通じて感動を与える
晴れて福祉ネイリストになってからは、「施設に伺ったらとっても喜んでいただけて、私も嬉しかったです」「女性はいくつになってもオシャレすると元気になるってよく分かる。お客様をもっと笑顔にしたい」といった声が上がるなど“やりがい”を感じることが多数。
また、これから福祉ネイリストを目指そうと考えている人の中には、「たくさんのお年寄りの女性に笑顔をあげたい」「ネイルって方法で人の心をケアできるような福祉ネイリストになりたい」という強い信念を持っている人も。SMBAの公式サイトに記載されている「美容を通じて感動を与えることを使命とする」という福祉ネイリストの使命をしっかりと意識されているんですね。
女性に喜びと誇りを
高齢者にとって歳を重ねても美しくいられることは大きな喜びと女性としての誇りを感じられるようで、Instagramでは「いくつになってもキレイにしてもらうってええなぁ」「私の手、こんなにキレイにしてもらってうれしい!」と笑顔でポーズを取っている高齢者の写真を見ることができます。
みんなで指先を見せ合って「どんな爪にしてもらったの?」「ピンクにしてもらったの」とガールズトークを楽しむ微笑ましい姿も。いつまでも女性を輝かせる福祉ネイリストの需要は、今後ますます高まっていきそうですね。
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