美容スペシャリストな自分になるために

更新:2019.02.18

作成:2018.11.14

インタビュー

【マリールイズ美容専門学校】教務部長 二宮将隼氏

美容業界でイキイキと働く人がいる。一方で、就職後すぐに離職して別の業界へ転職する人もいる。ともにスタート時は美容業界に希望を抱いていたとすれば、どこにその分岐点があるのか。

マリールイズ美容専門学校で学生の就職指導をけん引する教務部長の二宮将隼氏に昨今の業界事情を踏まえながら、美容業界で活躍する学生の特長や傾向を伺った。

ゴールの見えたレールを外れ、美容の道へ。


 

現在、学生の就職指導に尽力する二宮氏は、同校のOB。卒業後、美容師として活躍し、他校の講師を務めるなどして、2年前から現職に就いている。とりわけ厳しいといわれる新時代の現場を「1日1秒も辞めたいと思ったことはない」と振り返る二宮氏。まさに輝ける美容師の典型といえる存在だが、美容業界への進路が定まったのは大学進学後だった。

 

高校時代、演劇に打ち込んでいた二宮氏にとってメイクやヘアは身近ではあった。だが、あくまで演劇をするための作業の一つという程度の認識だった。その後、大学に進学した二宮氏は、敷かれたレールの上を走るように、教員への道を直進していた。当然、この時点では、美容業界への就職はみじんも頭になかった。

 

滞りなく就職活動し、大学を卒業していれば確実に教職に就けていただろう。ところが、その先にハッキリとゴールが見えるレールから二宮氏は突如、脱線する。アクシデントがあったわけではない。一体何があったのか。二宮氏が当時を振り返る。

 

「演劇をしていたのでメイクやヘアをいじるのは日常でしたが、他人の髪をいじることはなかった。大学2年の時、初めてそれをしたとき、すごく面白かったんです。大学へ進んだものの、それまでなんとなくモヤモヤした部分もありましたが、その瞬間、『これだ』と思いました」。

 

両親に打ち明け、そのまま大学を中退すると、本来通うはずの残り2年を美容学校で費やした二宮氏。卒業後は美容の道へ進み、それがいまに至るまで二宮氏の天職といえる仕事になっている。

 

 

マリールイズに入学する学生には当然、美容に興味がある人が多い。もちろん、興味があることは、将来それを仕事にすることを見据えても重要な要素だ。だが、二宮氏は業界知識については「要りません」と明言する。それは「昨今はYouTube等でもさまざまな技術が紹介され、便利になっている。反面、間違ったものもすぐに広まる。専門知識は入学後に正しいものを丁寧に伝えていくので、先走って変なクセはつけないで欲しい」というのがその理由だ。

 

このアドバイスは、単なる技術的側面だけでなく、就業後、多様な店舗にスムーズに適応するために重要なスタンスともいえる。自分の思うように技術を活用したい。そうした思いも大切だが、まずは店舗ごとのやり方に順応し、その上でスキルを発揮する。美容師が現場で戦力として評価されるにはそれがベストだからだ。

何よりの資質は、「美容が好き」という気持ち。

マリールイズ美容専門学校で学生の就職指導をけん引する教務部長の二宮将隼氏に伺う、美容業界で活躍する学生の特長や傾向。ここからは、より具体的にどんな資質が美容業界でイキイキと輝けるのかについて聞いた。

 

こうしたことに加え、「どのショーのバックステージに入るとか進むべき方向が定まっていたり、誰のヘアを担当するかなど、明確な目標を持っている学生は向いていると思います」(二宮氏)という。その上で、美容を天職として活躍し続ける資質として何よりも重要な要素を「美容が好きなこと」と二宮氏は断言する。

 

 

「就職指導では学生にはいつも美容業界の大変さを伝えています。ただ、その分責任感があり、やりがいがあるとも話しています。私もそうでしたが、辛いことがなぜ苦にならなかったというと好きだったからです。スキルが上達することがうれしくて仕方がなかったからどんなにきついことも全く苦ではなかった。

ところが、途中で辞める人の多くは辛い段階のところで気持ちが折れてしまう。もう少し頑張れば楽しい段階が待っているのにあまりにもったいないと思います」

 

と二宮氏は力を込める。

 

そうした思いがあるからこそ、就職指導の前面に立つ二宮氏は、就活には学生に可能な限り寄り添いながら全力で臨む。新入生が入って1ヶ月目で就職の合同フェアに参加させることを皮切りに、早い段階から積極的に学生に就職を意識させる。インターンシップも充実させ、実体験を通じ、リアルの職場を知ってもらう。ショーやイベント観覧も多数機会を設ける…。全ては、学生が習得したスキルと美容業界への思い、そして実際の現場の間でのズレを最小限にするためだ。

 

少しでも現場とのギャップを減らしてあげること。それが私たちの使命

「われわれは40人の少人数制で指導しており、教師と学生の距離は非常に近い。常に就職についても意見交換しながらどんなところを目指しているのか把握し、ふさわしいところを推薦するようにしている。美容業界の離職率が高いのは仕事の厳しさもあるかもしれませんが、我々の役割にも足りない部分があるからと思っています。少しでも現場とのギャップを減らすことが美容業界で働くことを選択してよかったと思えることにつながる。そこはしっかり追求していきたい」

 

と二宮氏は、熱く語った。

 

美容業界に限らず、就職で失敗する若者は少なくない。若者離職率は3割で推移を続けている。一方で、希望の職業に就職し、ずっと活躍し続ける人もいる。二宮氏の話から後者に近づく資質としてハッキリといえるのは、なにより「その仕事が好きである」こと。その上で、「しっかりと働く現場の事を知る」こと。この2つを対として就職と向き合う――。キャリア教育の重要が叫ばれて久しいが、自分に合った仕事をみつけるには、情報収集や学校選びに至るまで、相応の努力が不可欠であることは言うまでもないだろう。

 
 

【学校概要】

  • 名称:
  • マリールイズ美容専門学校
  • 所在地:
  • 東京都新宿区須賀町3
  • 創設:
  • 大正2年(マリールイズ美容講習所)
  • 理事長:
  • 伊藤恵子
  • 校長:
  • 相原周太
  • カリキュラム:
  • 着付け、ヘアメイク、エステ他
  • HP:
  • http://www.marie-louise.ac.jp/

Author:美プロ編集部

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