脈々と受け継がれるアイメイクの歴史~1980年代まで
アイメイクの元祖ともいえる手法は、なんと約5000年前にはすでに存在していたされています。「エジプトはナイルの賜物」という言葉で知られる古代エジプトにおいて、目を守るために使われ始めたのが最初だとか。
この文化は世界各地に広まっていき、時代と共に、その役割や美しさの概念がどんどんかわっていきます。
1920年ごろには、穏やかで物憂げな瞳をつくれる「タレ目メイク」が流行りました。
「映画」が最大の娯楽であった1930年代には、弓なりの眉毛がブームに。
「ローマの休日」で一世を風靡したオードリー・ヘップバーンのメイクをこぞって真似し始めた1950年代。
安保闘争が起こった1970年代には、日本でもヒッピースタイルが流行し、目の下側にアイシャドウを入れるというメイクが流行りました。
景気がよくなってきた1980年代には、太い眉毛と押し出しの強いアイシャドウが流行。真っ赤な口紅と合わせてつくりあげるメイクはとてもインパクトの強いものでした。
個性的なメイクから、優しいメイクへ~2010年代まで
1990年代に入ると、個性的なメイクが出てきます。「コギャル」「マゴギャル」という言葉が生まれ、メイクも低年齢化していきます。
「ヤマンバメイク」なんていう言葉も生まれました。
浅黒い肌に長いまつ毛、目の周りを真っ白く塗った強烈なヤマンバメイクに、派手な色に染めた髪の毛を合わせた彼女たちは「ヤマンバギャル」と呼ばれ、しばしば誌面を飾りました。
2000年代に入ると、このような個性的すぎるメイクは少し落ち着きを取り戻します。
代わりにやってきたのが、「目」に着目するメイク。黒目を大きく見せるコンタクトなどがはやり始めます。プリクラなどにも、目を修正する機能が盛り込まれたものが登場しました。
2010年代になると「新しいメイク」がどんどん出始めます。オルチャンメイクやざわちんメイク、といったさまざまなメイクが開発され、マスメディアによって取り上げられます。「派手すぎないメイク」でありながらも、それぞれに個性が感じられるこれらのメイクは、社会人の化粧としても相性がよく、徐々に広がっていきます。
2010年代前半は「涙袋メイク」に象徴されるような、どこかで頼りない愛らしいアイメイクが中心となっていましたが、今後は1980年代に戻ったようなメイクが流行るのでは、とみられています。「歴史は繰り返す」と言われていますが、これはアイメイクの世界でも同じようです。
私たちが今、当たり前のようにしている「流行のアイメイク」。
この「流行のアイメイク」も、時代によってまったく異なっていたのです。
このように、「歴史」の観点からメイクを見ていくのも、なかなか面白いものですね。