まつ毛1本1本に人口のまつ毛を装着して、お人形の様な長いまつ毛に仕上げられる「マツエク」。長いまつ毛だけでなくボリュームを出す事で、パッチリとした目元を演出する事ができます。マツエクを付けている事でマスカラ要らずのアイメイクとなり、メイク時間の短縮にもなるのです。
そんなマツエクを付ける女性が多く、マツエクサロンには予約でいっぱいになる事も。マツエクを装着する「アイリスト」は、美容師免許が必要で誰でもなれるわけではないのです。そんなアイリストにとって、仕事をする上で問題になっている事があるようです。
それは、「グルーアレルギー」と言うもの。アレルギー反応を起こしている事は何となくわかりますが、一体どんなものなのでしょうか。マツエクを装着するためのグルー(接着剤)なのだから、施術を受けるお客様に影響があるのでは?と思いますよね。しかし、装着するアイリストでもアレルギー反応を起こしてしまう事もあるのです。それでは、「グルーアレルギー」とはどんなものなのか、また、対処法や予防策を見ていきましょう。
INDEX
■グルーアレルギーとは?
■グルーアレルギーのメカニズム
■グルーアレルギーの症状とは?
■グルーアレルギーになった時の対処法とは
■グルーアレルギーにならない為の予防策とは
■上手にアレルギーと付き合っていくには
グルーアレルギーとは?
グルーアレルギーとは、マツエクを装着する際に使用するグルー(接着剤)が原因となるアレルギーの事です。グルーに含まれている化学物質に原因があり、その物質に反応してしまう人がグルーアレルギーを引き起こしてしまうのです。
グルーアレルギーは、施術を受ける人も施術をするアイリストにも影響を及ぼす可能性があり、アレルギー体質であるかどうかは関係ありません。アレルギー症状は、アレルギー物質が体内に蓄積され許容量を超えてしまったときに現れるものなので、グルーに触れる機会が多いアイリストは特に注意が必要です。アイリストがグルーアレルギーになってしまえば、最悪アイリストという仕事を続けられなくなる事も。そうならない為にも、未然に防いで行きたいものですね。
グルーアレルギーのメカニズム
では、なぜグルーアレルギーになってしまうのでしょうか。それは、グルーの成分が大きく関係しているのです。グルーには、「エチルシアノアクリレート」と「ブチルシアノクリレート」という接着成分が含まれており、その中でも強力な接着効果を持つ「エチル系」のグルーが多く使われています。また、「カーボンブラック」を使用しているグルーもあり、それらにアレルギー反応を示してしまう場合があるのです。
接着成分は、揮発する際に「ホルムアルデヒド」が発生し、マツエクを接着してから時間が経たない間に、顔を濡らしたり涙で接着部分が濡れてしまったりすると、ホルムアルデヒドが液化します。液化したホルムアルデヒドが皮膚に付いてしまう事で、目が沁みたり充血したりとアレルギー症状を感じる人もいます。
施術しているアイリストが、直接皮膚に付けなくてもホルムアルデヒドの気体から影響を及ぼし、「施術をするだけでアレルギー症状が出る」と言った状況を作り出すのです。ただでさえグルーに触れる機会が多いアイリストは、グルー内の成分が蓄積されやすくなっている事も、アレルギーを発症する原因となっています。
グルーアレルギーの症状とは?
マツエク用のグルーにアレルギー反応を起こしてしまった時、どのような症状が見られるのでしょうか。代表的な症状は以下のようなものですが、その他にも異変を感じたらすぐに使用をやめ医療機関で相談するようにしましょう。
【グルーアレルギーの主な症状】
- 目が痛い
- 目の充血が治らない
- 涙が出る
- 目や目の周囲が痒くなる
- まぶたが赤くなる
- 目が腫れる、水ぶくれができる
- 目の中がゴロゴロする
- 目元の皮膚がカサつく、剥ける
- 目やにが出る
- くしゃみ、鼻水が止まらなくなる
- 喉がいがらっぽい
- 頭痛やめまい、吐き気
グルーアレルギーの症状は、花粉症の症状と似ていることもあり、見逃してしまう事も少なくありません。アイリストは特に、グルーアレルギーでは?と疑っておくようにしましょう。
グルーアレルギーになった時の対処法とは
施術を受けるお客様がグルーアレルギーの症状が出てしまった場合には、「オフをする」「眼科に行く」という2つの対処法が用いられるのですが、施術するアイリストにアレルギー反応が出てしまった場合には、どのようにしたら良いのでしょうか。
アイリストの対処法としても、「眼科」に行って処置をしてもらいマツエクサロン内では「こまめな換気」をするようにしましょう。アレルギーの症状が出てしまってからは、なるべく揮発したホルムアルデヒドを吸い上げてしまわないように、「マスクやフェイスガード」をつけて施術を行うのも良いでしょう。
また、手などの皮膚にグルーを垂らしてしまったら、すぐに「オフ剤で除去」するようにしましょう。どんな人でも症状が出る可能性があるグルーアレルギーは、メカニズムを知って事前に予防しておく事が大切です。
グルーアレルギーにならない為の予防策とは
アイリストがグルーアレルギーにならないためには、どのようにして行けば良いのでしょうか。アレルギー症状が出てからでは手遅れとなる可能性もあります。長くアイリストを続けて行くためにも、事前に予防しておきましょう。
パッチテストを行い、グルーの見直しをする
マツエクサロンで働くアイリストで事前にパッチテストを行い、使用するグルーがアレルギー症状を引き起こさないかを確認しておきましょう。万が一、テストで引っかかるようであれば「違う成分のグルー」や「低刺激グルー」をサロンで取り入れるようにして行くと良いですよ。
施術を受けるお客様の体調や体質にも配慮が必要ですが、長時間、グルーの成分に触れているアイリストの方が発症する可能性も高いのです。マツエクサロンでは、「グルーの見直し」も必要です。
こまめな換気とうがいを徹底する
アレルギー物質を付着させないためにも、施術の合間に必ず「うがい」をするようにしましょう。こまめにうがいをする事で、長時間溜め込む事もなくなり症状を起こしにくくします。
また、施術ルームを「換気」する事も大切です。揮発したアレルギー物質が滞留していれば、間違いなく症状が出始めるでしょう。窓がない部屋や空気の入れ替えが出来ない場所では施術を控え、「換気扇」は常に回しておくようにします。「空気清浄機」を設置しておくのも一つの手ではないでしょうか。施術を行った後の換気はマストと考えてくださいね。
マスクやフェイスガードを着用する
直接、皮膚に付いたグルーの影響だけでなく、揮発したアレルギー物質を鼻や口から吸い上げてしまう事でも反応が出てきます。施術の時は出来るだけ、体内に吸い込まない事が予防のポイント。
マツエクサロン内では、他のアイリストが施術を行っている事もあるので常に「マスク」を着用しましょう。施術中には、さらに「フェイスガード」を付けるなどして徹底的に顔をカバーするのも効果的です。
眼科でアレルギー検査を受けておく
眼科によってはどんなものにアレルギー反応を起こすか検査を行える所もあります。検査では、採血をして血液の中にIgE抗体があるかどうかを調べていきます。もともとアレルギー体質の人は、病院で「アレルギー検査」を受けた事があるのではないでしょうか。
食物アレルギーなど、摂取してしまうと命取りになる事もあるので、これまでに検査を受けた事がない人も受けてみると良いですよ。グルーアレルギーがあると診断されれば、それなりの対処ができるので事前に知っておく事も大事に至らないための予防策です。
上手にアレルギーと付き合っていくには
アイリストとしてやりがいを感じ楽しく働いているのに、グルーアレルギーが原因で退職を余儀なくされるなんて事は残念でなりません。ですが、このような状況に陥っているアイリストがいるのも事実です。
ですが、アレルギー反応は原因となっている物質を追究すれば回避できる事もあるのです。例えば、「シアノアクリレート」でアレルギー反応が出てしまう場合にはグルーを変更し、「カーボンブラック」でアレルギー反応が出る場合にはノンカーボンタイプのグルーを使うなどアレルギーに対応している商品も多く販売されています。
また、規則正しい生活をする事もアレルギーを跳ね返すカギとなります。逆を言えば、体調が悪かったり寝不足だったりする事でアレルギー症状が酷くなってしまいます。栄養バランスの良い食事を心がけ、良質な睡眠をとるようにしましょう。
このように、予防できるところはすぐにでも始めてマツエクの施術にも耐えられるような体や環境作りを徹底していきましょう。女性の目元をデザインする「アイリスト」を、いつまでも続けられると良いですね!
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