女性にとって今や常識となりつつある“脱毛”。人目につくところからふだんは見えないところまで、女性は体中の毛をお手入れして、美しい体の獲得を目指しています。あなたも何らかの方法で脱毛を行っているのではないでしょうか?
脱毛は最近になって生まれたものではなく、古くから世界の至るところで行われてきました。そして時代や場所によって、その方法や脱毛に関する考え方はさまざまです。女性の美意識とともに発展してきた脱毛の歴史を一緒に覗いてみましょう!
世界中で古くから脱毛が行われてきた!
美しい体を目指すため、体毛を処理する脱毛。その歴史は想像以上に長く、最古のものでは紀元前4世紀頃に存在した古代オリエント文明において行われていたと言われています。もちろんその時代には脱毛器具などはありませんでしたが、石灰や硫黄をペースト状にしたものを肌に塗り、それを乾かして脱毛をするという方法がとられていたようです。
また、紀元前300年頃の古代ギリシャでは、今でいう毛抜きのような器具が存在したことが知られています。その他、ひもを使って体毛を挟んで抜くような方法も一般的に行われていて、脱毛剤を使用する方法と合わせて、様々な脱毛法が試みられていました。美容の歴史では必ずその名前が登場する古代エジプトの“美の追求者”クレオパトラも、やはり体毛の処理を行っていたようで、砂糖や蜂蜜、果汁などを混ぜた贅沢な脱毛剤を使っていたとのこと。
その後、中世では様々な材料を用いた脱毛剤が使用され、脱毛が一般社会に普及していきました。その理由としては、女性が美しい体を求めたということもありますが、ムダ毛は処理すべきものという宗教的な考えが背景にあったとも言われています。
日本における脱毛の歴史は?
一方、日本では脱毛が普及するのは8世紀の平安時代から。平安貴族の間では、額を美しい形に整えるという意識が共有されていて、ハマグリで挟むようにして生え際付近の毛を抜いたり、墨で形を整えたりといったことが行われていました。
また、江戸時代には性風俗の発展に伴い、脱毛の手法も進展することになります。遊女たちはアンダーヘアを整えるために、軽石でこすったり線香で焼いたりして処理を行っていました。アンダーヘア以外の脱毛意識も高く、脱毛剤で手足などのムダ毛を処理していたと言われています。
飛躍的に発展していく脱毛技術
そして19世紀から20世紀にかけては、世界中で科学的なアプローチによる脱毛法が模索されました。アメリカやフランスでは1875年に発明された電気分解法から始まり、X線脱毛や高周波電流法といった施術法が試みられましたが、それぞれ肌にシミができてしまったり傷が生じてしまったりと副作用が…。
その後、1948年に電気分解法と高周波電流法が合流したブレンド脱毛が開発されます。これは毛根に刺し込んだ針で電流を流すという施術法で、1970年に日本にも輸入され、現在まで主要な脱毛法の一つとして用いられています。
さらに1983年にはアメリカで、特定の組織だけを選んで反応させられるレーザー技術が開発されます。この技術を応用する形で、レーザー脱毛の研究が進んでいき、日本でも1997年にレーザー脱毛が輸入されました。
それから1998年には、強力な光を用いて脱毛を行う光脱毛法が日本にやってきます。そしてこれが2000年代に入り、日本独自の展開を見せました。出力が弱めで、痛みを伴わない施術ができる光脱毛の技術が開発され、流行したのです。
世界と日本の脱毛事情とは!?
世界と日本では、脱毛に関する意識も異なっています。ヨーロッパでは現在でもワキ毛を処理しないという人が多くいますし、逆にアメリカのようにワキ毛をきれいにして、それ以外の体毛を自然なままにしておくという国も。
それに対して日本人の脱毛意識は、体毛が濃いということもあり、産毛やムダ毛についてかなり敏感だと言えます。ワキ毛はもちろん、全身のムダ毛をくまなく処理するという人も多いのではないでしょうか?
とはいえ、日本人がそうした意識を身につけたのは比較的最近のこと。素肌の露出が多い洋装が普及してからのことになります。ワキ毛の処理が常識になったのも、経済成長を迎えて生活に余裕ができ、オシャレに気をつかう人が増える1960年代から70年代にかけてのこと。同じ頃にエステサロンが急増していったことも、脱毛意識の高まりにつながっています。
世界中の女性が強い関心を向けていて、最近では男性にも浸透しつつある脱毛。その歴史は長く、時代や場所によって様々な展開を見せてきたことが分かったと思います。エステティシャンにとっての常識として覚えておくと良いでしょう。