「美しくなりたい」という願いは、女性にとって永遠の課題。いつの時代でも、女性たちはその願いを叶えるためにさまざまな努力を行ってきました。ですが、美しくなるための方法がエステティック(エステ)として確立されたのは比較的最近のこと。
ここでは古今東西で発展してきた、美を追求するための営みの歴史をご紹介。ドラマや驚きに満ちたその歴史を見ていきましょう!
エステ業界の革命
「ヘレナ・ルビンスタイン」という化粧品ブランドの名前を聞いたことがあるという人もいるんじゃないでしょうか?この化粧品会社の設立者でもあるヘレナ・ルビンスタインこそが、エステ業界の歴史を大きく動かした人物だと言われています。というのも、彼女は現在イメージされるようなエステサロンの生みの親であり、女性の美に関する考え方を発展させた立役者なのです。
ヘレナ・ルビンスタインがその頭角を現したのは、まずは化粧品の開発でした。オーストラリアの薬局に勤めていた彼女は1894年に「ヴァレーズ」という美容クリームを発明。人によって肌質が異なるということは、現在では当たり前の前提とされていますが、それにいち早く気付いて作られた化粧品がこの「ヴァレーズ」でした。
その後、1902年にヘレナ・ルビンスタインは世界初のエステサロンを開業します。科学的なアプローチを取り入れ、マッサージなども行うエステサロンの登場は美容業界にとって革命的な出来事で、今私たちが通っているサロンの原型となっています。
また、百貨店やデパートの化粧品売り場が現在あるような形になっているのも、ヘレナ・ルビンスタインの影響です! 彼女は1915年に、世界で初めて化粧品をデパートで販売しました。美容部員を置き化粧品を魅力的に演出することで、華やかな売り場を作り出すその手法は画期的だと一躍話題に。
さらにさかのぼれるエステの歴史
1900年頃に大きく発展したエステ業界ですが、それ以前からエステの起源になるようなものは世界各国に存在していました。たとえば最も有名なものの一つには、18世紀フランスの貴族社会で行われていた施術があります。当時のフランス貴族は、牛乳風呂に入ることが当たり前だったくらい美への意識が高かったのですが、そこでは召使いの手で化粧品やオイルなどを使用したマッサージを受けるということも行われていました。
さらに時代をさかのぼると、最古のものとして古代エジプトのクレオパトラが行わせていた施術が有名です。ここでも召使いにより、ボディマッサージが行われていました。また、ネイルアートの一種を施したり美容的観点から髪を扱ったりと、現代のエステを先取りするような発想があったと言われています。
日本におけるエステ
それでは、日本ではエステはどのように発展してきたのでしょうか? 日本におけるエステの原型は、1895年に開業された理髪店で行われた施術だと言われています。そこではアメリカから輸入した方法を用いて、いわゆるフェイスマッサージが行われて人気を博しました。そのマッサージは「美顔術」と呼ばれ、一般的に普及していくことになります。
それから時が経ち、1970~80年代に入ると好景気によって人々の暮らしが豊かになっていきました。そして人々が余裕のある生活を手に入れると、もっと美しさを追求したいという需要が生まれます。それを受けて、日本各地でエステサロンが開業していくことになりました。
主要なエステ協会の歴史
エステ業界の発展と合わせて、さまざまな協会が設立されました。その先駆となったのは、1972年に設立された「日本エステティック協会」です。エステの普及や、エステティシャンの養成を目的とした日本エステティック協会は、国際的な繋がりも持ち世界中に支部を持つエステティシャン教育団体「CIDESCO」の日本支部をその中に含んでいました。
さらに、1987年には「日本エステティック業協会(AEA)」が設立。エステブームによってエステサロンが乱立したことに対応して、サロンの健全な経営を推進してきました。また1995年に設立された「日本エステティック工業会」では、エステサロンで使用される化粧品や器具が安全に使用されるようにチェックする活動が。そのほかにも2003年設立の「日本エステティック機構」のように、多数の団体が業界の健全化を図って活動しています。
美を追求する人の願いを叶えるため、古代から現代まで連綿と続いてきたエステの歴史。現代日本でも、人々が安心して美しくなれるように、より一層の業界の健全化が図られています。とはいえ、日本にはエステティシャンの国家資格がなく、まだまだ発展途上という状況。働きやすい環境を作るためにも、エステティシャンになりたい人は、エステ業界の動向にこれからも注目していきましょう。