美容師になるために必要な情報を調査しました。「給料はいくら?」「就職は難しいの?」「国家試験はの合格率は?」など、美容師を目指す人が気になっている疑問を解決します。ぜひ参考にしてくださいね。
【 このページの内容 】
美容師とは
美容に関する施術を行う人のこと。主に、ヘアセット・ヘアカット・ヘアメイク・パーマ、染め髪など髪に対する施術をすることがメインの仕事といわれています。
美容師には、以下のような職種があります。サロンによって、専門で行う人もいれば、兼任する場合も。
スタイリスト
いわゆる一般的にイメージする、美容師の仕事を行う人です。カットやシャンプー、カラーリングなど、髪の施術を行います。ヘアスタイリストと呼ばれることも多く、お客様に合った髪型や髪色の提案をすることも。髪だけではなく、衛生や薬学、お客様にアドバイスするために、美容や流行など幅広い知識が必要です。
カラーリスト
ヘアカラーを専門に行う人。お客さまの顔立ちや雰囲気に合わせて、似合う髪色を提案したり、白髪など悩みに応じて髪を染めたりします。さらに、最近では髪へのダメージを少ない染髪や髪にツヤ感をプラスする染髪など、ヘアカラーのテクニックは日々、高度になっています。カラーリストの中には、お客様に最適なアドバイスができるよう「ヘアカラリスト検定」や「パーソナルカラリスト検定」で、資格を取得する人も多いです。
ヘッドスパニスト
頭部のマッサージを行い、頭皮や髪の健康を促進させる人のこと。ヘッドスパには、炭酸ヘッドスパ・超音波ヘッドスパ・ハニーパックスパ・オイルヘッドスパなど、さまざまな種類があります。美容院では、炭酸やオイルヘッドスパが多く提供されているそう。ヘッドスパの専門店は、まだまだ少なく就職口も少ないですが、美容師のプラスαのスキルとして、今注目を集めています。
レセプション
美容院に限らず、エステティックサロン・美容外科などでお客様の出迎え、問い合わせ・予約の電話対応など、受付業務を行う人。サロンの顔ともいわれるレセプションは、コミュニケーションスキルや高い接客力などが求められます。また、顧客情報の管理も担うことから、パソコンスキルがあると重宝される場合が多いようです。
ヘアメイク
ヘアセッティングとヘアメイクを掛け合わせた言葉で、ヘアアレンジや顔面に化粧を施します。美容院以外にも結婚式場、芸能人の付き人、化粧品メーカーなど、活躍の場はさまざま。また、気付けもヘアメイクの仕事にあたり、成人式や結婚式、卒業式などが開催される時期には、需要が高まります。
その他にも、「アシスタント」「Jrスタイリスト」など、美容師をサポートする職種もあります。
理容師との違いとは
理容師と美容師の大きな違いは、顔そりを行えるか。理容師法によって、身なりを整えることと定めている理容師は顔そりを行うことができますが、美容師の目的は化粧やパーマなどで、容姿を美しくすることのため、顔そりは行えません。
カットができる点に関しては、両方共通していますが、理容師・美容師は定められている法律も取得する国家資格も違います。
現在では、理容師・美容師の試験を受ける人の割合は約10倍差があり、美容師の方が人気を集めているようす。
美容師になるための方法
国家資格を取得して、はじめて美容師になることができます。しかし、国家試験を受けるためには「高校を卒業していること」「美容師養成施設で2年以上の修業していること(通信は3年)」という条件があり、これをクリアしなければなりません。
美容師養成施設で学べること
シャンプー、カット、ヘアカラー、パーマ、ブローなど、サロンワークを実習スタイルで学ぶことが一般的です。国家試験に合格するために対策として、ワインディングなどの基礎技術もしっかり学びます。
また、美容師の業務に関係する法令・制度、衛生管理、人体の組織・機能に関する美容保健、美容機器・香粧品の取り扱いに関する美容物理/科学、美容文化論などの、知識が必修科目です。
さらに、学校によってはステージやコンテストの開催や、ヘアモデルの撮影方法、ヘアデザインのデッサン、カラーコーディネートについても学び、知識やスキルの向上に努めているそう。
美容師の国家試験について
年に2回、2月・8月に実施される美容師の国家試験は、毎年2万人を超える受験者がいます。気になる合格率は、89.1%(第35回2月に実施)。一方8月に実施される試験の合格率は、2月と比べて下がり50~60%です。
試験内容
●筆記試験
筆記試験は、出題される50問のうち60%以上の正答率であることが合格の条件です。関係法規・制度、衛生管理、美容保健、美容の物理・化学、美容の理論の5つの分野から出題されます。合格するための勉強は、なんといっても授業をしっかり聞くことが一番!さらに、分野ごとに得意・苦手を把握して、苦手科目を徹底的に対策することをおすすめします。
●実技試験
衛生上の取り扱い、基礎技術の2つに分かれており、減点方式による採点になっています。基礎技術の試験では、カッティングとオールウェーブセッティングのふたつ。試験時間内で、いかにきれいに仕上げることができるかがポイントになります。とにかく練習あるのみ!練習した分だけ、自信とスキルがアップするでしょう。
また、実技試験は持ち物が多いため、1週間前には用意を済ませておくことがおすすめ。特にウィッグは、「美容師実技試験カット用標準仕様適合シール」がなければ、使用が認められていないので注意です。
高まり続ける人気の職業「美容師」の就職事情
美容師になりたいと思う人は、国家試験を受験する人数からわかるように毎年2万人以上います。おしゃれや美容への関心が高いいま、美容師は特に人気のある職業です。
そのため、就職は難しいと思う人もいるかもしれませんが、いまは美容師になりたいと思う人に対して、それを上回る求人があります。特に、渋谷区・港区は美容室の激戦区と呼ばれるほどで、店舗数と比例して求人募集も多いです。
美容師の求人が多い背景には、美容室を開業する人が増えていること、採用してもすぐに辞めてしまうことが挙げられます。美容師は離職率の高い職種といわれており、給料の低さ、待遇の悪さなどが、辞める原因となっているよう。
現在では、美容師の労働環境は少しずつ改善されつつあり、求職者も「土日に休めるか」「社会保険が完備されているか」「産休・育休が取れるか」「ボーナスがあるか」など、働きやすさを求めて、求人情報をチェックしている人が多くなっています。
美容師の先輩に聞く!求人情報でチェックしたポイント
結婚しても美容師を続けたいと思っていたので、産休制度があることは必須でした。私は、地方から東京に上京してきたのですが、家賃・光熱費・食費など出費は多くなってしまうので、初任給でいくらもらえて、●年後にはどのくらいになっているのか、求人情報に書いてあるモデルケースも合わせてチェックしていましたね。(26歳・女性)
とにかく早く一人前のスタイリストになりたかったので、研修制度があるところや、将来的に独立支援をしてくれることが書いてある求人は惹かれていましたね。実際に、入社してみて先輩が研修でしっかりみてくれたり、スキルアップするためにはどうすればいいのか明確にアドバイスしてくれたりしました。(20歳・男性)
今までは、ひたすら休みなしで働いてきました。けれども、やっぱり年齢的に厳しいと感じ働きつつも、休みがしっかりもらえるサロンへ転職。長期休暇なんて夢だと思っていたけれど、毎年4日間は夏季休暇をもらえるように。仕事と休みのバランスって大切だな~っと実感しましたね。(28歳・女性)
美容師の給料はいくら?
厚生労働省の調査によると、平成27年の美容師の年収は平均260万円。平均月収は21万円ほどです。一般企業の平均年収400万円と比べると、給料は低いという噂も頷けます。
美容師の初任給も低い?
美容師になるには2~3年の専門学校に通うことが必須です。一般企業に勤める専門学生と美容学生がもらう初任給の平均が170万円に対して、美容師(アシスタント)は、150~200万円ほど。サロンの場所によってばらつきがありますが、初任給の平均にはあまり差がないようです。
美容師の給料はなぜ安いと言われるのか
美容師から「給料と仕事量が見合っていない」という声がたくさん。同じ初年度の年収170万円をもらう専門学生と比べて、美容師は仕事の拘束時間が長いのが特徴です。閉店後には、スタイリングやカットの練習や、次の日の準備があります。そのため、時給で換算すると専門学生と美容学生には、給料に大きな差が生じるでしょう。
さらに、1本3~4万のシザーや、1台4,000円の練習用ウィッグを購入すると、手元に残る給料は微々たるもの。稼ぐためには、とにかくスキルをつけ、スタイリスト・トップスタイリストへランクアップが必要です。
美容師のキャリアアップの流れ
- アシスタント
- スタイリスト
- トップスタイリスト
給料:月収13~17万円
1年目は接客やシャンプー、トリートメントがメイン。2年目になり、パーマやスタイリングを経て、カットの基本を行い、技術テストを合格することによってスタイリストデビューができます。スタイリストになるまでは、平均3年かかるそう。
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給料:月収20~30万円
お客様に全ての施術ができるようになります。アシスタント時代には、メインで担当できなかったカットを行えるのが何よりのやりがいでしょう。指名数・役職によって給料がぐんっと跳ね上がります。
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給料:月収50万円~
人によってトップスタイリストになるまでの期間はさまざま。約10年かけて上り詰めた人もいます。カリスマ美容師と呼ばれる人もおり、300万以上の売り上げ作る人も。トップスタイリストになると最大の年収が800万程度まで稼げるそうです。
美容師は3年以内の離職率は80%と、多くの人がスタイリストになる前に辞めている人が多いです。10年続けている人はまれ。そのような人でも、30歳を境に独立するか、異業種へ転職するか選択に狭まれるといわれています。
美容師が独立するために必要なこと
開業するために必要な費用は、約1000万円。この資金で、内装工事費・設備費・人件費・広告費などを賄わなければなりません。起業のサポートをしてくれる国の助成金制度を活用すれば、少ない費用でサロンを持つこともできます。
美容師のスキルがあるというだけで、独立を決めても成功は難しいでしょう。経営に関する知識や、集客方法、資金が必要です。
美容師の商売道具ハサミ(シザー)
美容師の多くは、平均3丁のハサミを持っており、用途に合わせて使い分けています。種類は、大きく分けて3つ。長さを整えるベーシック、髪の量を調節するセニング、ボリュームをおさえたり動きのあるヘアスタイルをつくったりするスライド。
その他にも、自分のこだわりに合わせてハンドルの形や、刃の厚さ・長さ、材質を変えている人が多いです。
【レベル別】ハサミの選び方
初級者
ベーシック、セニング、スライドを全てそろえましょう。それぞれのシザーを選ぶポイントは「自分の手に合う」こと。また、アシスタントのときには練習をたくさんやらなければならないため、切れ味のよさもふまえて選ぶことで、腱鞘炎や肩こりがしにくくなります。
中級者
お客様を担当するようになったら、自分に合うシザーを追求しましょう。ハンドルや切り心地(切れ味)、刃のかたち、カット率など、こだわりの1本が必要です。シザーはオリジナルで作成することもできるため、実際に店舗に赴き、試しながら見つけてみてはいかがでしょうか?
上級者
どんなスタイリングにしたいか、用途に合わせて選ぶことがおすすめ。このときには、基本の3丁以外にも、複数のシザーを持っている場合が多いと思います。指名してくれるお客様の髪質に合わせてシザーを選ぶことで、自分がイメージするヘアスタイルを実現できるかもしれません。