接客業に携わる人ならば、パーソナルスペースを意識している人も多いのではないでしょうか。心理学用語で「自分の空間」や「縄張り」などと表現されるパーソナルスペース。直接お客様の髪に触れる美容師にとっても、お客様との距離感は気になるものです。
お客様はどのようなときにストレスを感じ、パーソナルスペースを侵害されたと思うのでしょうか。
お客様にストレスを与えないパーソナルスペースとは
満員電車やエレベーターなどの密室で、知らない人と至近距離でいる事は、ほとんどの人にとって不快であるといえます。
しかしながら、パーソナルスペースと呼ばれるものの範囲は、接する人との親密度や、人それぞれ感じ方によって様々です。一般的な見解として、パーソナルスペースには大きく分けて4つのゾーンが存在します。
- 恋人や親しい人同士なら不快にならないと言われる45センチ以内の密接距離
- 友人と普通に話す程度と言われる120センチほどの個体距離
- 商談や面会などビジネスに適しているとされる360センチほどの社会距離
- 公衆の前で演説するときの距離とされる360センチ以上の公衆距離
さらに、女性の方が男性よりもパーソナルスペースが狭いといわれています。男性の友人同士に比べて、女性の友人同士の方が、距離が近いのはこのためです。
これらの一般的なパーソナルスペースの見解を踏まえ、美容室での接客に当てはめて考えると色々なことが見えてきます。
パーソナルスペースを意識して信頼される接客を
まず美容室に入って1番に感じるのが、カット台やシャンプー台の並び方です。あまりに隣同士が近いとストレスを感じます。また鏡越しに目が合ったり、向かい側に目線があるのもお客様は気になります。前髪をあげておでこを出したり、髪をまとめたりする美容室での姿はあまり人に見られたくないと感じる人が多いので、お客様同士のパーソナルスペースは広めに確保するようにしましょう。
次に気になるのは、シャンプー時の美容師さんとの距離です。この間お客様はじっとしているしかありません。たまに美容師さんのお腹や腕が触れたりして、不快に感じるこている人も多いそう。美容室に来ている以上髪の毛に触られることは了承している人がほとんどですが、その他の部分にはなるべく触れないように気をつけましょう。
また、ヘアスタイルの相談などをする時も、お客様の座っている真正面に回るのではなく、椅子の横や鏡越しに話す方がお客様を緊張させないといわれています。
逆に、お客様の方から距離を近く接してきてくれた場合は、信頼されている証といえるでしょう。また、最初は少し距離のあるお客様でも、何度か接客するうちに距離が少しずつ縮まってくることもあります。そのような些細な変化を見逃さず、信頼度に合わせたパーソナルスペースを作っていくことが大切です。
パーソナルスペースで信頼度を測る
パーソナルスペースを意識しすぎてぎこちない距離感を取るのではなく、少しずつ変わっていく距離感を、自分への信頼の表れであると捉えることもできます。お客様が美容院を選ぶ際、カットの技術だけでなく、パーソナルスペースを踏まえた信頼関係も重視していることを、忘れないようにしましょう。