美容師業界には40代定年説がありますが、40代以降はどのようなキャリアを描けば生き残っていけるのでしょうか。今回はスキルを保つために必要なこと、将来の働き方例を見ていきましょう。
40代の美容師が働きにくくなる理由
そもそもなぜ「美容師は40代で定年」という説があるのでしょうか。美容師という職種は人気商売で、ほとんどのサロンで指名制を取り入れているもの。お客様から「この人に髪を切ってもらいたい!」と思ってもらえなければ、仕事が成り立ちません。そのため美容師はオシャレなファッションでセンスを表現したり、SNSなどで流行のヘアデザインに対応できることをアピールするんですね。
ですがサロンの客層は若い女性が多いため、40代の美容師は「自分たちとはちょっとセンスが違うかも…」と思われがち。実際に、長年の自分の経験が邪魔をして、流行に合わせたヘアデザインができなくなる美容師も多いようです。
また技術面だけでなく、体力的な問題によって現場で働き続けるのが難しくなる人も。美容師は勤務時間中はずっと立ちっぱなしで、腰痛に悩まされることが多いと言われています。
ほかにも手荒れなど美容師の仕事には様々な「職業病」がつきもので、健康を保つために工夫して働いていかなくてはなりません。そのため体力不足が顕著になる40代に差し掛かって、美容師として働くことに限界を感じる場合があるようす。
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40代男性美容師がスキルを保つためには
美容師業界には40代定年説がありますが、40代以降はどのようなキャリアを描けば生き残っていけるのでしょうか。今回はスキルを保つために必要なこと、将来の働き方の例を見ていきましょう。
40代男性美容師がスキルを保つためには
40代男性美容師の場合、これまでに培ってきたスキル自体は衰えませんが、顧客の感性と自分のスキルを合わせられなくなって、結果的にスキルが落ちます。
それに加え40代になると体力が落ちたり、家庭のことで時間を割くようになって労働時間が減り、スキルが低下します。
顧客の感性と自分の感性を合わせるには
感性は無理矢理変えられるものではありませんが、外部講習への参加や顧客向けに発信されている情報をより観察することで、感性を「知る」ことはできます。
若い人と差別化を図りたいのであれば、「自分がトレンドの発信者になる」という気概で積極的に情報発信をしていくことが必要になります。
労働時間を増やすため体力を作る
「労働時間を増やすために家庭の時間を減らす」ことも考えられますが、体力がなければどちらかがおろそかになります。
日常生活に軽い運動習慣を取り入れたり、今やっている運動の負荷を上げて体力をつけましょう。
40代美容師の進路
マネージャーになる
地域の店舗を管理する仕事、会社全体を管理する仕事など「マネージャー」といってもさまざまな仕事があり、働き方も「プレイングマネージャー」「専任マネージャー」のどちらかを選べます。
ただし個人系のサロンで働いている美容師は、今の環境のままだとマネージャーにはなれないので、一定以上の規模があるサロンに転職することをオススメします。
経営者になる
個人開業、のれん分け、業務委託などさまざまな形態があります。
40代男性美容師の場合、最初のうちは自分の顧客の売り上げが必要なので現場に立ちますが、顧客数の減少や体力の低下で最終的には経営にのみ関わることが多いようです。
福祉美容師になる
体が不自由、体力がない、などといった理由で美容院に行けない高齢者の自宅に訪問し、髪を切る福祉美容師。
少子高齢化で需要は増え、将来的には爆発的な需要が見込めますが、若い美容師より40代以上の美容師のほうが求められ、美容師自身も顧客に合わせるのではなく自分に合わせて仕事ができるので、新しい選択肢として人気上昇中です。
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転職する
一般社会では「転職するなら35才まで」といわれていますが、美容業界はどこも人手が足りていない状況の為、転職での需要も高いのが実情。結婚式場の美容スタッフやヘアケア製品の開発など、美容師のスキルを生かせる仕事はたくさんあります。
40代の美容師でも働きやすい職場の選び方
40代ともなれば結婚して子育てを頑張っている人も多くいるでしょう。そこで育児と美容師の仕事を両立して働き続けるには、きちんと制度が整っている職場を探すことが必要。男性美容師も例外ではありませんが、とくに女性美容師の場合には妊娠・出産を迎えた時のことを想定してサロンを選ぶことが重要です。
最近では出産前や出産後に休暇を設け、その後復職できるようにしてくれる「産休制度」のあるサロンも多数。産休は育児のために休暇をとれる「育休制度」とセットで利用されることが多いようですね。長く働き続けたい人は「育休・産休取得実績あり」と謳っているサロンを選ぶのが良いでしょう。主婦(主夫)歓迎のサロンではほかにも様々な工夫が行われていて、中には託児所が併設されているところもあるんですよ。
また制度が整っていないサロンで働いていた場合でも、必ずしも退職を考える必要はないかもしれません。たとえば妊娠した時にオーナーに相談することで、「辞めなくても大丈夫」と慰留されるケースもあるようです。育休を取得できただけでなく、夕方までの「時短勤務」に変更してもらえたり子どもの学校の行事に合わせてお休みをもらえたという人も。
とはいえサロン側から慰留されるためには、お店にとって必要な人材だと認められていることが大前提。重宝される人材になることを目指して、お客様の人気を集めたり新人教育で結果を残せるように努力していきましょう。
美容師自体は40代以降も続けられる
美容師はお客様がいれば成り立つ仕事なので、40代以降もビジネスモデルによっては続けられます。
なので「何をやりたいか」「仕事や生活に何を求めるか」「仕事や生活で最重要視することは何か」がポイントになるでしょう。
40代の節目に、今後の美容師人生をどう歩んでいきたいのか、考え直してみて下さい。
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