美容師としてキャリアアップするには、それなりの資金が必要です。けれども、自分で負担するのは限界があります。そこで利用したいのが「助成金制度」です。どのような仕組みなのでしょうか。
助成金の仕組みと受け取れる条件
助成金とは、国が支給する支援金のことです。主な管轄は厚生労働省であり、雇用保険が資金源になっています。返済する必要はありません。支給には一定の条件があり、それさえ満たせば誰でも受け取れるのが魅力です。他にも経済産業省による「補助金制度」がありますが、公募制なので条件を満たしても審査に通過しなければ受け取れません。
助成金の内容は年度によって変わり、継続して申請を受け付けるものもあれば、わずか1~2年で終了するものもあります。かつては独立した美容師向けの「受給資格者創業支援助成金」や「創業・第二創業促進補助金」がありましたが、両方とも既に受付を終了しています。
美容師のメリットが大きい助成金は?
一方で雇用の促進や定着、キャリアアップするための助成金はたくさんあります。前者であれば「トライアル雇用助成金」や「職場定着支援助成金」、後者であれば「キャリアアップ助成金」や「人材開発助成金(平成29年度のみ)」です。
キャリアアップ助成金は、パートやアルバイト、契約社員など非正規雇用の美容師が正規雇用になる上で役に立ちます。また、「人材開発助成金」はサロン内の研修や検定に対しても適用できるので、正規雇用の美容師のキャリアアップにも使えます。
ただし、申請はサロンが行うものであり、美容師ができるものではありません。こうした助成金の存在を知らないサロンは意外と多いので、美容師側から提案してみると良いでしょう。
助成金の申請は書類の作成が難しい
これらの助成金は、地域を管轄する労働局やハローワークに申請します。すべてにおいて、サロンが雇用保険の適用事業所であることが条件です。さらに就業規則の提出を求められます。
申請の書類は様式が決まっており、必要事項を記入するだけでなく、具体的な導入計画も立てなければいけません。これが不十分なために助成金を受け取れないケースがたくさんあります。一度落ちてしまったら再申請は困難です。
確実に助成金を受け取れる申請書類を作るには、社会保険労務士などの専門家に頼るのが一番です。成功報酬は発生しますが、助成金の効果を考えると、決して高くはないでしょう。
助成金を活用してキャリアアップしよう
助成金は、美容師のキャリアアップに役立つだけでなく、サロンのレベルアップにもつながります。資金を理由に雇用する美容師の教育をあきらめていたなら、活用する価値はあるでしょう。
ただし助成金は申請が認められないと受け取れません。手続きは複雑であり、理解するのも大変です。一回の申請で確実に助成金を受け取るためにも、専門家の協力が不可欠です。