「トータルビューティー」という言葉があるように、今や美容師には髪をセットするだけでなく、すべての美に対して提案できる能力を求められています。その際に役立つのが「パーソナルカラー」の知識や資格です。
魅力を引き立ててくれるパーソナルカラー
「パーソナルカラー」とは、その人の肌や髪、目の色と調和して魅力を引き立ててくれる色のことです。組み合わせによって色の印象が変わる「対比現象」を利用しています。
黄味と青味のどちらが多いか、印象はソフトかハードかによって、大きく4つのタイプに分かれ、それぞれ季節の名前が付いています。例えば肌の色が、明るく黄味がかっていれば「スプリング(春)」、ピンクが多ければ「サマー(夏)」、オークルにくすんでいれば「オータム(秋)」、白や青に近くて髪色とのコントラストがはっきりしていれば「ウインター(冬)」です。
パーソナルカラーに調和する色の見つけ方
調和する色というのは、単に色の種類で決まるものではありません。同じ赤でもスプリングは柔らかい赤、サマーは青みがかかった赤、オータムはくすんだ赤、ウインターははっきりした赤が似合います。
つまり色の濃さや明るさ、透明度が大きく影響します。こうした微妙な色の違いは、顔の印象を大きく変えます。もしスプリングの人が青味の強い色を付けてしまうと顔に黒く翳った印象を与えてしまいます。また、ハードな色でも暗く見えてしまいます。実際の診断には顔の近くに色付きのドレープ(布切れ)を当てながら、調和する色を判断します。
パーソナルカラーの勉強と資格取得
パーソナルカラーのベースにあるのは「色彩学」です。この色彩学を本格的に勉強して、資格を取得できるのが「色彩技能パーソナルカラー検定」です。1から3まで3つの「モジュール(級)」があり、モジュール3になると「パーソナルカラーアドバイザー」に認定されます。
資格取得のために勉強するのは、パーソナルカラーの知識や色彩理論、色の見分け方、配色などです。スクールに通わなくても、市販のテキストで勉強できます。受験料も含めると5~6万円あれば、モジュール3まで取得できるでしょう。試験はいずれのモジュールも年に2回行われます。美容師の仕事と並行しながら取得することも可能です。
美容師の可能性を広げるパーソナルカラー
パーソナルカラーを理解しておけば、お客様に似合う髪色やメイク、ネイル、ファッションの提案ができます。お客様を満足させられたら美容師としての評価が高くなり、集客や他店との差別化につながるでしょう。
資格を取得すると色について本格的な勉強ができるだけでなく、認定講師になれるなど、さらに活動の幅が広がります。勉強は大変ですし、費用もかかりますが十分に元は取れるでしょう。