妊娠中の美容師の悩みのひとつは、妊娠周期のいつまで働くかということでしょう。中には産まれるギリギリまで働く人もいるようですが、母体とお腹の中にいる我が子へ負担がかかるのではないかと心配になりますよね。ここでは妊娠中の美容師の働き方についてアドバイスしていきます。
妊婦中は無理するのはリスクが高い
美容師の中には「出産ギリギリまで働いた」という人もいます。しかし、美容師としての仕事は、妊婦さんにとっては結構負担がかかるのも事実です。
妊婦さんにとって美容師の仕事で、負担が大きいといえる理由としては大きくわけて2つあります。
立ち仕事である
美容師は立ち仕事です。仕事中は座る暇もなく立ちっぱなしということがよくあります。この立ったままの姿勢は、妊娠中の美容師にとってはなかなかの負担となります。一日中立ちっぱなしでいるとお腹が張ってきますし、立ち仕事は切迫流産のリスクも高めます。
薬剤の臭いがきつい
妊娠中はつわりで悩まされる人も少なくありません。美容室はパーマやヘアカラーなどの薬剤を扱いますから、薬剤の臭いが吐き気などの原因となることがあります。
このような理由から、美容師として働くことは妊娠中には負担が大きいことが分かります。妊娠中に働く場合は、無理をしないように気を付けないといけません。
妊娠中の美容師に向いた働き方とは?
妊娠中は体調が変化しやすく、朝は元気に出勤したものの「午後になって急に気分が悪くなってしまった」という事もよくある話です。また日によって体調が大きく変化するということも少なくありません。
このような事情を踏まえると、妊娠中はフルタイムで働くのをやめてパートタイムにしてもらうのがオススメです。パートタイムだと休みを入れつつ、無理のない範囲で働くことができます。もし急に体調が悪くなったという場合でも、気軽に休みを取りやすくなります。
職場によっては、香りが強いパーマやカラーは他のスタッフにサポートしてもらう事が出来るかもしれません。またカットは椅子に座って行ったり、仕事の合間は少しでも座り、身体への負担を軽減することも出来るでしょう。
妊娠初期~安定期までの働き方
安定期に入るまでは、身体への負担は極力避けるようにしましょう!
- 洗濯物やシャンプーの詰め替えなど、重いものは別のスタッフに持ってもらう
- 前かがみになるシャンプーも、なるべく別のスタッフに代わってもらう
- 長時間立ちっぱなしにならないよう、カットやカラー剤塗布時には椅子に座る
- 匂いで具合が悪くなる場合、仕事中でもマスクを着用する
- 具合が悪くなったら、無理せず休憩室で横になる
上記のような点に注意をして、他のスタッフたちにもサポートしてもらいながら働くと良いですね。とにかく無理は禁物!電車通勤が辛い時には出勤時間を少し遅くしてもらう、退勤時間を少し早くしてもらう、などのシフト調整をしてもらいましょう。
「他のスタッフに妊娠の報告をするのは、安定期に入ってからが良いな…」という場合には、シフト作成を担当している店長やオーナーにだけは早めに伝えておくと良いですね。
妊娠後期の働き方
安定期を過ぎると、つわりは大分良くなるはず。ただ、妊娠後期になるとお腹の大きさが目立ってきます。お腹が大きくなるにつれて体が重くなり足も疲れやすくなります。安定期に入ったら他のスタッフやお客様への報告も済ませ、産休に向けて仕事を調整していきましょう。
- バランスを崩さないよう、カットやカラーは椅子に座って行う
- 動くのが辛い時には、施術ではなくフロント業務をさせてもらう
- 早朝や深夜までの勤務は避け、電車の混まない時間に出勤・退勤させてもらう
- 指名の場合でも、1日に受ける予約の数を制限する
安定期とはいえ、無理に予約を詰め込みすぎたり休憩を取らずに働き続けたりすると身体に大きな負担がかかります。お腹の張りを感じたときや足がつかれた時には休憩を取り、長時間立ちっぱなしで作業をすることのないようにしましょう。
妊娠中の美容師はいつまで働き続けられる?
妊娠中は身体を温め、なるべく体力を消耗しないようにして体調の変化にも特に気を付ける必要があります。しかし、妊娠が発覚し長く仕事を休むことに抵抗があるなどと、できるだけギリギリまで働きたいと考える美容師も多いよう。それでも身体からこんなサインがでた場合は注意が必要です。
妊娠中には体調に波が出てくるもの。パーマやカラーの施術時、今までは平気だった薬剤のにおいが気になったり、手荒れが生じてしまうケースがあります。これは妊娠中の体調の変化やつわりが影響しているかも。そんな時にはマスクや手袋を着用し、身体への負担を抑えるようにしましょう。また、つわりに関しては妊娠初期に現れて次第に治まるケースが多いですが、妊娠中ずっとつわりが続く場合もあり、その症状や現れ方には個人差があるので注意しましょう。
“血圧の変化”も身体からのサイン。妊娠中は血圧に変化が出る人が多いようですが、ストレスや疲れ、睡眠不足から血圧に変化が出る場合もあります。これまでより血圧の数値が高くなったり、逆に低くなったりしたら気をつける必要があります。現在は家庭で簡単に測れる血圧測定器がたくさんありますので、妊娠中はこまめなチェックを心がけてください。
妊娠中の美容師が働きやすいサロン環境とは
美容師の仕事は妊婦さんにとっては負担となる作業や、薬剤の取り扱いなどに配慮が必要なケースがあります。妊娠後もできるだけ長くサロンで働き続けたい場合、周囲の協力や理解が必要になるでしょう。
厚生労働省と一般財団法人 女性労働協会による「女性にやさしい職場づくりナビ」によると、妊娠時に特に配慮が必要なのは「シャンプー」の業務。同サイトのアンケートでも65.2%の人が「シャンプーがつらかった」と回答しています。なるべく椅子に座って作業を行ったり、カットやブロー時にはお客様の椅子を高くして、あまりかがまないようにするなどの工夫が必要。
また、においで気分が悪くなったのは「パーマ液」が78.6%と最も多く、次いで「カラーリング剤」が67.9%でした。手袋やマスクを着用することはもちろん、辛い作業は他のスタッフに代わってもらうようにしていきましょう。
身体への負担からお客様への施術が少し困難だと感じるような時には、比較的負担の少ない受付や事務作業、周りの美容師の施術準備を担当するなど、周囲と相談して働き方を変えていきましょう。
妊娠時、産休育休に入るまでにすべきこと
出産が近づくと出産休暇に入ることになり、その後そのまま育児休暇に入ることも多いはず。長い間お休みをするに当たって、お休みに入る前までに必ずしておきたいことがいくつかあります。漏れなく準備をして、スムーズにお休みに入ることができるようにしましょう。
お客様への挨拶
安定期に入ったら、いつもサロンに来てくれてお世話になっているお客様には、なるべく口頭で産休のご報告をするようにしましょう。長期間になるお休みの報告をいきなりメールなどの文面で行うと、「いつも仲良くしていたつもりだったのに…」とお客様を悲しい気持ちにさせてしまうことも。
どうしても都合が合わず、お休みに入るまでに会うことができないと分かった方にのみメールやハガキでご報告をするようにしましょう。
産休育休報告メールの例文
口頭ではなくメールやハガキでのご報告の場合にも、失礼のないように丁寧な文章作成を心掛けたいですね。以下の例文を参考に、遅くともお休みに入る1か月前までにはご連絡をするようにしましょう。
例文
かねてより〇〇サロンにご来店いただきありがとうございます。いつも鈴木様をご担当させていただいている、佐藤です。
私ごとではありますが、この度〇月〇日より産前産後休暇・育児休暇をいただくこととなりましたので、ご報告をさせていただきます。
復帰は20XX年の〇月頃を予定しております。長期間のお休みとなり恐れ入りますが、育児休暇明けにまた鈴木様とカフェ巡りのお話ができることを楽しみにしております!
私がお休みの間は、「田中花子」というスタッフが鈴木様をご担当させていただきます。田中は私と同い年の女性で、鈴木様と同じようにカフェ巡りが趣味のスタッフです♪
これまでに施術しましたメニューやカラー剤に関しては全てカルテに書いて引継ぎをするので、これからもぜひ安心してご来店くださいませ!
復帰後には、一回り成長した佐藤として元気に戻ってまいります!
これからもどうぞ〇〇サロンをよろしくお願いします。
〇〇サロン スタイリスト・佐藤
産休育休報告メールのポイント3つ
1、お休みに入る日時、復帰予定の日時を記載する
お休みに入る日時、お休みから戻ってくる予定の日時を忘れず記載します。詳細な復帰の日時が決まっていない場合は、「20XX年の春ごろ」のようなざっくりとした書き方でもOK!
2、お休みの間の担当者名も記載する
お休みに入る間に誰が担当してくれるのか、お客様が不安にならないように名前や簡単な紹介を書いておきましょう。
3、お客様の名前や話している内容も盛り込む
自分をいつも指名してくれる仲の良いお客様には、「〇〇さんへ」とお名前を入れてご案内すると良いですね。大量に送る必要がある場合には省略しても問題ありませんが、いつもサロンで話している内容やそのお客様への一言メッセージも盛り込んだ内容にすると尚◎
また、これまでそのお客様がサロンで受けたメニューやカラーの種類もきちんと引き継がれていることを伝えましょう。お休みの間に他のサロンに移ることなく、継続して来店してもらいやすくなりますよ。
体調をみながら、無理のない範囲で働いて!
ここまで見てきましたように、美容師の仕事は妊娠中は身体への負担が大きいので、無理をしない範囲で働くようにしてくださいね。
いつまで働くかについては、体調によって大きく個人差が生まれます。とくに体調面で問題がなければ、妊娠後期まで働くことができるかもしれません。しかし体調が悪い場合には無理は禁物です。遠慮する事なく早めに産休を取るようにしましょう。いつまで働けるか判断が付かず悩んでいるという方は、医師に相談しながら決めるのが良いですね。
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