成人の日には、各地で成人式が行われ新成人が晴れやかな姿で式典に向かう姿をよく目にします。色とりどりの振袖や袴を着て、その年ごとの流行りの色味やデザインが見えたりして新成人じゃなくても見ていて楽しめますよね。
地域によって式典の開始時間は異なるものの、午前中に開催されるところもあれば午後に開催する地域もあります。ですが、開催するのはほとんどが成人の日に集中します。
自分で振袖を着ることやヘアスタイルのセットは困難です。そこで、活躍するのがプロの「着付け師」と「ヘアメイクアーティスト」。一年でもっとも忙しい「成人の日」は、どの様な働き方をしているのか見て行きましょう。
新成人を成人式へ送り出すまでの流れ
成人式当日は、とにかく「連携」が最重要課題となるのです。時間通りに新成人を成人式に送り出すため、少しのミスも許されません。そして、とにかく多くの新成人に着付けとヘアセットをおこないます。
午前中の式典を控えている新成人は、早い人で朝5時頃から予約が入っています。各地で一斉に準備が始まりますので、希望の時間に予約が取れない人も多いでしょう。朝5時の予約からはじまりお昼頃まで続き、場所によっては数百人の新成人を晴れ姿へと仕上げて行きます。働く人たちの1日を見て行きましょう。
【成人式当日のスケジュール】
4:00am 出社&ミーティング(朝礼)
さまざまなサロンからスタッフが集まります。初めて顔を合わせる人も多いでしょう。顔合わせの挨拶や1日の流れを確認し合う時間です。
4:30am セッティング&準備
各自、自分のブースにメイク道具やホットカーラー、コテなどを準備しすぐに取りかかれるようにしておきます。
5:00am 予約した新成人が来店&受付
予約した新成人がぞくぞくと来店し、来ていない人がいないか受付でチェックしておきます。同じ時間に何人もの予約を入れているので、一人でもずれてしまうと後ろの予約に影響が出てしまいます。
5:10am ヘアメイクスタート
受付から誘導されてきた新成人を次々とセットしていきます。1人が終わったら1人と、お昼頃までヘアメイクしていき自分が担当した新成人の名前や人数をメモしておきます。1人当たり20~30分ほどで仕上げていき完成したら着付けへ。
5:30am 着付けスタート
ヘアメイクを終えた新成人たちは、そのまま着付けに入ります。ヘアメイクより少し時間がかかる着付けは、新成人の体を締め付けるのでなるべく素早く着付けるのがコツ。長い時間、着付けていると体調を崩してしまう人もいるのです。着付けもヘアメイク同様、昼過ぎまで続きます。
6:30am~12:30pm 仕上がりチェック&お見送り
ヘアメイクと着付けが終わった新成人を、会場を統括する担当者が全角度から見て最終チェックを行います。着物を着ている時の座り方や歩き方、お手洗いの行き方など着付けが崩れてしまわないように注意事項を説明します。新成人からのお直しの要望がなければ、お見送りをします。
12:30~14:30pm 担当人数集計&片づけ
怒涛の時間を過ごしたヘアメイクと着付け師は、担当した人数を集計し道具などの片づけをおこないます。
成人式の準備はどんな所で行うの?
成人式の準備は、美容室やセットサロンに自分の着物を持っていく人もいれば、着物屋さんでレンタルしホテル会場の一角を貸し切ってヘアメイクと着付けを行う人もいます。
着物屋さんにある振袖を数多く貸し出すので、その分、着付けをしに来る人も多いのです。そのため、様々な場所で活躍しているヘアメイクアーティストや着付け師がホテルに集結し、この日を乗り切る事もあります。最も多くの新成人を対応していくには、ホテルなどの大きな会場で働くの良いでしょう。様々な要望に応えながらこなしていくので一日居るだけで経験値があがりスキルアップにつながるかもしれませんね。
また、着物屋さんでレンタルした振袖に関しては、事前に会場に入れておきます。当日だと、忘れ物をしてしまったり重い荷物となってしまったりと、何かとトラブルも起こりやすくなります。着付けブースでは、予約時間ごとに着物を並べてすぐに着付けられるように準備しておきます。
成人式に備えて真夜中からスタンバイ
地域によっては午前中に式典が行われる所もあり、それに合わせて準備を始めます。1人あたりの所要時間は約1.5時間。ヘアメイクに30分と着付けに1時間を目安に仕上げて行きますが、成人の日に予約が殺到するため思い通りの時間に予約が取れない事も。
そのため朝の5時頃から予約は開始するので、働くヘアメイクや着付け師は朝の4時頃からスタンバイしています。一日をトラブルなく乗り切るために、受付や誘導係とヘアメイク、着付け師が連携を取らなければならないのです。朝4時に出勤してから確認のためのミーティングが行われ、各持ち回りの準備を始めます。
交通機関の関係で、朝4時に出勤出来ない人は事前に近くのホテルに泊まるなどしてこの日に備えています。
予約の時間通りに受付を済ませているかチェック
着付け会場にいるのはヘアメイクや着付け師だけではありません。会場での動きを全体的に取り仕切る責任者や受付管理、ヘアメイクや着付けへの誘導など、様々な人によって成り立っています。
同じ時間に何十人もの人が予約していますので、後ろの時間にずれ込んでしまわないようにきちんと管理します。まずは、「おめでとうございます」とお祝いの言葉を一人ひとりに述べてお名前を確認します。着物は持ち込みなのか、こちらで用意しているのか確認して問題がなければヘアメイクへ誘導します。
ホテルなどでの着付け会場では、事前に支払いを済ませていることが多く会場で支払いをしないことが一般的。自分で着物を準備し、美容室などで着付けを頼むときは支払いも当日発生することもあるかもしれませんね。
また、どのヘアメイクアーティストが空いているのか、どの着付け師が空きそうなのかを把握して誘導していくのも受付や誘導の仕事。実際にヘアセットなどを施さないにしても、数多くの新成人を対応していく上で、とても重要な役割をしているのですね。
着物に合ったヘアメイクを施す
成人式に出席する新成人のためにヘアメイクを行う「へアメイクアーティスト」は、普段は美容室やヘアメイクサロンに勤務しています。また、着物屋さんに勤務して着付けを行う人や、そこでヘアメイクを担当している人もいるでしょう。
早朝から準備し、いざ新成人が来始めたら休憩はほとんどありません。普段の勤務では1時間の休憩が確保されていますが、成人式の日は大忙しです。とは言え、成人の日は真冬の寒い日で会場内も乾燥しています。お手洗いに行く事はもちろん、水分補給も大事になってきます。
また、訪れる新成人のほとんどが違う振袖を着ます。それによって髪飾りも異なり、好みの髪型も違います。トップにボリュームを持たせたい人もいれば、かっちりと古風に仕上げたい人も。メイクにこだわりを持つ人もいるでしょう。さまざまな要望に応えながらプロとしての提案も交えて完成させていきます。
新成人にとっては「一生に一度の成人式」なので、一番可愛く見せられるメイクや納得いくヘアスタイルを提供してあげたいですね。
関連記事:ヘアメイクアーティストってどんな仕事?
時間が勝負の着付けをスタート
ヘアメイクが完成したら着物の着付けにやって来ます。着物屋さんが取り仕切る着付け会場では、着物を事前に会場に用意し予約順に並べています。
着付けを行う着付け師は、着物屋さんに勤務している人や着付け師の資格をもった人が行います。サロン勤務は引退したけど、着付け師の資格もあって着付けられる人が集まっています。中には、自分のおばあちゃん位の年齢の着付け師もいるほど。資格を持っていれば長く働けるという事がわかりますね。
普段、着る機会の少ない振袖は体を締め付けて着るだけで大変です。早朝という事もあり、着付けられているうちに体調を崩してしまう人もいます。体調が悪くなってしまった場合には、すぐに脱がせて楽な状態で休ませなければなりません。中には、着付けられなくなってしまう人もいて、適度な力加減と崩れないように着付けをしなければならない難しい仕事でもあります。長い時間、帯の形を作ったり直したりしているのも良くありませんので、時間勝負と言えるでしょう。
関連記事:着付けの民間資格とは?
最終仕上がりチェックとお見送り
現場の責任者がヘアメイクと着付けの仕上がりをチェックします。一番多いのが、お手洗いでの着崩れです。早朝の予約だったため式典までの時間があり、食事やお手洗いに行き着慣れていないせいか崩してしまいます。一度、帰宅したのに再度、着付け会場に現れる人も小数人存在します。
そんな時のために、お帰りの際にきちんと注意事項を伝えます。着物を着た状態での歩き方や座り方、お手洗いの行き方など普段の生活と同じようにはいかないので、お直しにならないように説明します。
また、お見送りの際にお迎えが来ているのか、一人で帰る場合に荷物は持ち切れるだろうかなども見ておきます。持ち切れていない場合には、一緒に持ってあげるなど会場を出るまで気を配ります。
まとめ
人生に一度の成人式。ヘアメイクや着付ける人からしたら何百人と施していきますが、新成人からしたら、髪型ひとつでも最高のものにしたいと思います。
成人式当日のヘアメイクや着付けのお仕事は、正直、ハードです。ですが、1年に1回しかないチャンスと考えて、経験やスキルを増やしていってみてはいかがでしょうか。より多くの数をこなしたいのなら、ホテルなどの大きな会場で働いてみてくださいね。
成人式当日は朝早くからの出勤になりますが、美容室やヘアメイクサロンで働いたとしても、なかなか経験出来る事ではないのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。たくさんの新成人に触れられて「おめでとうございます」とお祝いが出来るので、全ての仕事が終わった時には晴れやかな気持ちになれますよ。