一生に一度の晴れ舞台「七五三」。7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う年中行事で、小さな子どもが真っ赤な口紅を塗り、着物を着て神社にお参りに行く姿は見ていて微笑ましくなります。
子どもが7歳、5歳、3歳になった年の11月15日にお祝いするのが慣例となっています。色とりどりの着物に包まれて、我が子の晴れ舞台を一生残しておきたい。子どもの成長を記録するといった意味で活用されているのが「フォトスタジオ」。
当日は、お参りで慌ただしくしていたりお天気に恵まれるとは限りません。フォトスタジオでは、着物を着付けてヘアメイクを施し、事前に写真を撮っておきます。今回は、フォトスタジオでどんな仕事がおこなわれているのかをご紹介します。
フォトスタジオでの仕事は大きく分けると3つの役割がある
フォトスタジオでのお仕事は大きく分けると3つの役割があり、各分野でのプロによって大切な一枚を作り上げて行きます。
- カメラマン
- カメラマンアシスタント
- 衣装選び、着付け、ヘアメイク
カメラマンのお仕事
カメラマンは、七五三だけでなく結婚式や成人式、入学式や卒業式など様々なお祝いごとに合わせて撮影していきます。最近では、子どもに特化したフォトスタジオや成人式や結婚式に特化したフォトスタジオがあるため、得意とする分野で勤めて行くのも良いですよね。
七五三での撮影は、子どもがメインとなるので大人の様にはスムーズにはいきません。ポーズを決められるわけでもないし、じっとしている事ができないお子様もたくさんいます。その中で、一番の笑顔や素朴な表情を引き出すのもカメラマンの腕の見せ所。シャッターチャンスを逃さずに、欲しい場所に目線がくるように工夫する必要があります。
カメラマンのお仕事はカメラの準備や光の当て方などの撮影準備も行いますが、写真を良く見せられるように背景の設定や構図を検討していきます。
カメラマンアシスタントのお仕事
カメラマンアシスタントは、その名の通りカメラマンをアシストします。まだ、カメラを取り扱う技術が備わっておらず勉強する期間でもあります。はじめから髪を切ることのできない美容師がまずはアシスタントとして修業するように、カメラマンにもカメラマンアシスタントという仕事が存在するのです。
一生に一度の記念写真なので、お客様にとって特別な物になります。そのためにもカメラ撮影の技術をあげて喜ばれるアルバムを作りたいですね。
カメラマンアシスタントのお仕事は、カメラマンがカメラや照明の準備をしている間に、スタジオの背景や小物などの準備をおこないます。また、お客様を誘導し立ち位置やポーズの指示をして、衣装のチェックや光の当たり方なども確認します。アシスタントの時期に、沢山、子どもと接し笑顔の引き出し方も学んでおくと良いかもしれませんね。
衣装選び、着付け、ヘアメイクのお仕事
お宮参りや百日祝い、七五三など赤ちゃんや子どもメインのフォトスタジオでは、衣装選びや着付け、ヘアメイクが主な仕事となります。
衣装には着物やドレスの他に、着ぐるみなども用意しています。衣装に合わせて小物もたくさんあり、日本髪に合わせたかんざしや洋風ドレスに合わせたティアラなど全体のバランスを見て決めて行きます。
子どもへのメイクは、アイシャドウとチーク、口紅などのポイントメイクをおこないます。繊細なお肌にメイクをしていくことになるので、より一層慎重におこなうようにしましょう。メイクを嫌がるお子様もいるのでカメラ撮影と同様、短い時間でどれだけ良い仕上がりに出来るかが勝負となります。
衣装選びは、お客様の意向を聞きながらスタジオで用意している物の中から選んでいくので、ただ好きな色というだけでなくその子の魅力を引き出せる衣装を選んであげられるように経験を積んでいきましょう。
また、着物やドレスは衣装自体が派手なため、普段着とは違い顔の写り方が変わってきます。事前にパーソナルカラーや色彩を学んでおくことで、的確なアドバイスができ衣装選定をするにあたっても役立つ技術となるでしょう。
フォトスタジオでの1日
カメラマンやアシスタント、着付けやヘアメイクと役割分担されているフォトスタジオもありますし、少人数で全てを担当するスタイルのフォトスタジオもあります。
お客様がご来店してからどのような流れで撮影まで行われているのかを見て行きましょう。
お出迎え
お子様を連れてご来店されるので、一日のはじまりとして接客の基本「笑顔」でお出迎えします。子どもが苦手という方だと親御さんだけに挨拶してしまいがちです。苦手だからどう接して良いかわからず、無意識に避けてしまうこともあります。ですが、撮影を成功させる鍵はお子様です。
どれだけリラックスして過ごしてもらえるかで、写真の仕上がりが全然違います。泣き顔で写真に写るより、せっかくなら笑顔の写真を残したいものです。ご来店された瞬間からお子様の心を掴んで、撮影時にはたくさんの笑顔を引き出してくださいね。
衣装選び
事前に衣装を決めておく場合もありますが、衣装部屋に案内しお子様に似合う衣装を決めて行きます。七五三の写真撮りでは、家族写真を撮る事が多くお子様だけでなく親御さんの衣装も依頼されることがあります。
衣装選びのお仕事はあまり目立たない仕事ではありますが、何年後かにアルバムを見返してみても後悔のない衣装を選んであげることが大切。お客様が納得いくまで意見を聞きながら決めて行きましょう。
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着付けヘアメイク
着付けやヘアメイクは、専門的な技術を要し着付けに関しては資格を持っている人も多いでしょう。フォトスタジオでは、資格を保持した着付け師さんを募集しているところもありますので、既に資格を持っている人は大いに技術を活かしていきましょう。
着付けも、成人式や結婚式で大人に着付けるのと七五三で子どもに着付けるのでは違い、動きが多い子どもには特に崩れないようにしないといけません。また、着付けの技術を身に付けておくと、毎年の成人式で仕事の依頼が入るなどとても役立ちますよ。
関連記事:着付けの民間資格とは?
ヘアメイクでは、日本髪風やドレスに合う髪型など毎年流行りも変わっていくものです。ヘアアレンジだけでなくアイシャドウやチークの色にも流行があるため、今流行っているからOKと言うことではなく、いつ見てもおかしくないメイクをするように心がけましょう。
撮影
衣装を着付けて、ヘアメイクも完了すれば撮影の準備は整いました。着付けやヘアメイクをしている間にカメラや照明の準備を済ませておくので、お子様の準備が出来次第すぐに始めて行きます。
撮影は時間勝負。迷っている暇はありません。この数分間のために、笑顔の引き出し方を学び、シャッターチャンスを作りだします。
写真選び
写真撮影が終われば親御さんと写真選びをします。何度も見返したくなる写真を選んでもらうのがポイント。ずっと残るものなので、お客様の反応もしっかり見ながら決定します。
この時に、写真を入れる額やキーホルダーなどの小物、アルバムや台紙などの説明をおこないます。
お見送り
「ここを選んでよかった!」「下の子(弟や妹)の七五三も絶対ココ!」と思ってもらえるような接客をし、お見送りをしましょう。
フォトスタジオでの写真撮影は何度も経験できる事ではありません。そのため、フォトスタジオでの時間は特別なものになります。お見送りの際に、「おめでとうございます」の気持ちを出しながら笑顔で送り出すことで、お客様は良い印象のフォトスタジオとして記憶に残してくれるでしょう。
フォトスタジオで働く前に勉強しておきたいこと
フォトスタジオで働くにあたり、事前に学んでおくと役に立つ事があります。カメラやヘアメイク、着付けの技術を学ぶことは大前提ですがその他にも知っていると良い事もあります。
日本の行事
フォトスタジオには、結婚式の前撮りや誕生祝いなどで撮影に来ることもありますが、子どもの行事が関係する撮影が多いのも事実。
お宮参り、百日祝い、端午の節句、桃の節句、そして七五三。子どもの行事は数多くあり、全てを把握している人は少ないのではないでしょうか。フォトスタジオで働きたいと考えているのであれば、予備知識として頭に入れておくと入社後もスムーズに取りかかれます。
子どもについて
一日中、子どもと接するフォトスタジオでの仕事。赤ちゃんから小学生まで、もともと子どもと接するのを得意としている人は子どもの笑顔を作り出すのに、さほど苦労しないでしょう。
ですが、慣れない撮影で緊張している親御さんやお子様がどうしても心を開いてくれないという事はよくある事です。お子様だけでなく親御さんが身構えている場合には、普段通りの笑顔を引き出すことは難しくなります。
あまり子どもと接する機会がない人は、何歳くらいのお子様が来るのか頭に入れておき子どもの目線になって話しかけられるように準備をしておきましょう。長く働くことで経験値が上がり慣れて行くかもしれませんね。
フォトスタジオでやりがいを感じるポイント
フォトスタジオは、「おめでとう」と「ありがとう」に溢れた職場環境です。赤ちゃんのお宮参りから始まり、七五三や成人式と人生の大きなイベントで写真を残す家族が多く、お客様としてもとても大切なこと。お客様の大切な日を残すため失敗はできないのです。
ですが、突然泣き出してしまうお子様をあやしたり、最高の笑顔を引き出した時にはその笑顔に癒されます。思い通りにいかず苦労する事もありますが、お子様がなついてくれて「また、あのお店に行きたい」と言ってくれる時には全ての疲れが吹き飛びます。嘘のない子どもからの意見だからこそ、最高にうれしい瞬間となります。
記念日ごとに写真を残してくれる家庭では一緒に成長を見守れるのもやりがいとなります。長く勤めていれば、お宮参りで初めてご来店されたお客様も七五三や成人式などと成長を見続けられるのです。