美容師の腕を大きく左右する仕事道具の“ハサミ”。ハサミの形や大きさによって切れ方や特徴が変わってきますが、実はハサミの“素材”にも大きな違いがあることを知っていますか? 素材によってハサミの切れ味が変わったり、どのぐらい持つかということが大きく変わっくるのです。
お客様の大切な髪の毛を扱う仕事だからこそ、ハサミの素材にまでこだわり、最高のサービスを提供したいところ。ここでは代表的な素材の種類を紹介します。自分にはどんな素材のハサミが合うかなどを考えながら、いっしょに見ていきましょう。
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どんな素材のハサミが良いの?
カット用のハサミに使われている素材は大きく分けて6種類。「ステンレス」などの良く聞く素材から、「ハイス鋼」など聞きなれない素材まで様々あります。まずは主な素材の特徴をご紹介。素材の特徴を知っておけば、自分好みのハサミも見つけやすくなります。
ステンレス鋼
ハサミ以外にも多くの製品に使われているステンレス鋼。「名前だけは聞いたことあるけど、どんな素材なのかは知らない」という人が多いのでは? 簡単に言うと、ステンレスとは“サビにくい”合金のこと。サビやすい鉄という素材に、サビを発生しにくくするクロムやニッケルという素材を混ぜることで、サビに強い素材=「ステンレス鋼」が作られるのです。濡らした髪をカットすることも多い美容師の皆さんにとっては、サビにくいハサミというのは必須ですよね。
コバルト系ステンレス鋼
名前の通り、コバルトという素材が混ざったステンレス鋼のこと。非常に硬い素材のコバルトが含まれるステンレス鋼は、一般のステンレス鋼よりも刃こぼれしにくいと言われています。コバルトがいくら含まれているかで硬さが大きく変わってくるので、素材にどのぐらいのコバルトが含まれているのかは確認しておきましょう。
ステライト
コバルトを主な成分として、約30パーセントのクロムと4パーセントから15パーセントのタングステン(非常に硬い素材)が含まれている合金のことで、硬く・磨耗もしにくいのが特徴。「ビシライト」と呼ばれることもあります。
ハイス鋼
不純物が少なく、耐久性が高いのが特徴。粉末状の鋼材をすばやく焼いて固めるという難しい製法で作られるため、「粉末微粒子鋼」と表記されることも多い素材です。
ダマスカス
とにかく硬く、加工が難しいのが特徴のダマスカス。金属が何層にも重なったような波状の美しい模様が特徴的な素材で、現在最も耐久性が高いといわれています。
実際の使い心地はどんな風に違うの?
ここまで素材による特徴の違いを見てきましたが、気になるのは「使うときにどんなハサミなのか」ということですよね。どんな切り心地なのか、どのぐらい持つのかをカンタンにご紹介していくので、ハサミを選ぶときの参考にしてみて下さい。
ステンレス、コバルト系ステンレス鋼
サビにくいのが特徴のステンレスですが、「切れ味はあまり良くないんじゃない?」と思っている人が多いのではないでしょうか? でも、これは昔の話。「錆びない包丁」としてステンレス製の包丁が作られた時に、その包丁があまりに切れなかったため「ステンレスは切れない」が定着してしまっただけなのです。ステンレスと一言で言っても、数多くの種類があり、その中でも刃物用のステンレスは研ぐことで切れ味が鋭くなります。
きちんと管理していれば問題なく長く使えるステンレスですが、ステライトやハイス鋼などの素材のハサミに比べてみると耐久性が高いとは言いがたいようですね。
ステライト
ステライトは、柔らかい切れ味が特徴的です。鋭くスパッと切れて、なおかつソフトな感触の切れ味は、優しい切れ味を求める人にオススメ。
また硬くて磨耗や酸に対する強さも持ち合わせており、ジェットエンジンのパーツにも使われるほど。もちろん耐久性にも優れているので、長く使い続けることができるようです。
ハイス鋼
高速ドリルなどの工作機械にも使わるほど高い強度を持っているハイス鋼は、パツッパツッと切っていけるような確かな手ごたえが特徴です。耐久性にも優れているので長く使えることができますが、メンテナンスには注意が必要。ハイス鋼自体が加工しにくい素材なので、メンテナンスはハイス鋼のハサミを扱い慣れている職人にお願いするのが賢明なようです。
ダマスカス
耐久性が最も高いといわれるダマスカスは、“ザクッ”といったような確かな手ごたえを感じさせる切れ味です。太い毛束でもサクサク切れる感覚なので、しっかりとした切れ味が好みの人や、「とにかく長持ちするハサミが欲しい!」という人にオススメです。
ハサミの形や刃の種類に特徴があるように、素材にも様々な特徴や違いがあることが分かりましたね。切れ味や耐久性などは、とても気になるところなので、使ったことのない素材があれば一度試してみてはいかがでしょうか?
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