美容スペシャリストな自分になるために
作成:2016.07.04
頭に船や庭がついているド派手ウィッグも!? 驚きの“ウィッグの歴史”
ウィッグには薄毛や脱毛などの気になる部分を隠したりする使い方や、手軽にヘアスタイルを変えることができるファッションアイテムの一部としての使い方など、多岐に渡る用途があります。エクステよりもお手軽なので、ウィッグを生活に取り入れる人は続出中。
薄毛対策からファッション目的まで、様々な用途に使うことができるウィッグですが、その歴史は遠い昔の古代から始まります。今回はそんなウィッグの歴史をご紹介。現代人にも負けず劣らずウィッグの着用を楽しんでいた人たちを見てみましょう。
ウィッグの歴史は古代から
古代エジプトの時代には、すでにウィッグの歴史が始まっていたとされています。この時代のウィッグは、神聖な儀式の際に用いられていました。熱い日差しから頭を守るために、頭全体を覆うタイプのウィッグが使われていたようです。
また、エジプトと言えば黒髪ストレートのヘアスタイルの印象が強いですが、これは縮れ毛を隠すために作られたウィッグだったよう。女性たちは自分の髪を剃り上げてその上にウィッグを被っていたんですね。自分たちの髪を剃ってウィッグを被ることで、清潔に保ちやすいというメリットもあったので、王族だけでなく、一般庶民の間でもウィッグが流行。その時の流行に合わせて色々なヘアスタイルのウィッグが出回ったそうです。
一方、古代ギリシャやローマではもっぱら薄毛隠しや演劇用のアイテムとして使用されることが多く、ファッションの一部として楽しまれることは少なかったようです。ただし、金髪への憧れが強く、金髪のウィッグをかぶったり、地毛を脱色・染色していたとのこと。何千年も昔の人々も、現代の人々と同じようにオシャレに気を遣っていたんですね。
貴族の間で流行したウィッグ
3世紀ごろからはキリスト教の影響でウィッグの流行が廃れていくことになります。他人の髪をウィッグとして使ったり、人工的に自分の髪のボリュームを増やすことが、神を偽ることとして協会から批判されていたのです。しかし、中世に入ると貴族の間でウィッグが再び流行。特にフランスではウィッグが大人気になり、“ウィッグ師”というウィッグ専用の職業や組合が誕生し、他国で作られたウィッグがフランスに輸入されていました。
そしてウィッグ人気を決定的にしたのが、フランス国王のルイ13世。若いころから薄毛で悩んでいたルイ13世は20代の頃にはすでにウィッグを使用し、また自分が薄毛を隠すためにウィッグを被っていると思われないように、宮廷で暮らす人たちにもウィッグをつけるようにと命じたほどでした。宮廷内ではウィッグの着用が流行し、男性であれば夕食用や狩猟用や儀式用、女性であれば家庭用や外出用などTPOに合わせた、様々な種類のウィッグが誕生しました。
また、当時は今ほど清潔な環境が整っておらず、頭にノミやシラミが発生しやすくなっていとこともウィッグが流行した大きな要因の一つ。古代エジプト人のように、自分の髪を全て剃り上げてウィッグを使用することで、シラミやかゆみなどを予防していたようです。
高ければ高いほど良いとされていた“盛り髪”ウィッグ
18世紀に入るとウィッグは必須のアイテムとなり、社交の場ではウィッグを着用することが正装の一部となりました。ウィッグの種類も多種多様に増え、特に頭全体をボリューミーな巻き毛で覆う「フルボトム」と呼ばれるウィッグが男性の間で大流行。イギリスでは、現在でも議会や裁判官、弁護士などはこのフルボトムのウィッグを着用して正式な場に出席します。
そして女性たちの間では、盛り髪ウィッグが大流行します。上に上にと高く盛り上げられたヘアスタイルはリボンや宝石、草花やレースなど様々なもので彩られました。1メートルを超えるウィッグに、ミニチュアの馬車や船などを乗せたり、ウィッグの中に庭を作るなどのド派手なウィッグが生まれたのです。
しかし、この盛り髪は作るのも維持するのも大変。専門の職人が数時間かけて髪をセットし、女性本人がウィッグの重さに耐えられるように日中は付き添いのものがウィッグを支えて、寝るときは髪型が崩れないように横たわることなく寝ていたとのこと。「オシャレは我慢」なんて言いますが、当時の女性はまさにこの言葉を体現していたんですね。
現代では自然な雰囲気のウィッグが主流に
盛り髪ウィッグはフランス革命を機に衰退し、第一次・第二次世界大戦の頃には戦争の影響で必要以上にヘアスタイルに気を遣う機会が減っていくことになります。また、終戦後は男女ともに地毛のような自然なウィッグの使用が増え、主に薄毛隠しやファッションの一部として使用される現在のスタイルになったのです。
古代エジプトからスタートし、中世ヨーロッパを経て発展してきたウィッグ。ウィッグは儀式に用いられたり、体を清潔に保つために使われることもありましたが、奇抜なファッションのためにも使われたんですね。現代では違和感のないウィッグが求められがちですが、もしかしたら今後、中世のような変わったウィッグが流行する日も来るかもしれませんね。
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