美容スペシャリストな自分になるために
意外な落とし穴!? 美容師国家試験の実技試験は“衛生面”にも最大の気配りが必要!
美容師になるための国家試験に“衛生”なんて必要あるの? と思う人もいるかもしれませんが、実は美容室にとって衛生は切り離すことはできないくらい大きな存在なのです。美容の法律“美容六法”でも厳密に定められており、美容学校でも必ず学ぶ科目となっています。
しかし、実際に「実技で」と言われると、掃除でもすればいいのかな? と想像してしまいますよね。そうではなく、実技試験中の細かいところをいつの間にか審査されているのです。せっかく技術力があっても、衛生面で不合格をもらってしまっては元も子もありませんので、ここでしっかり勉強しておきましょう。
身体状況や服装も審査の対象に
試験時は受験者の髪型や服装にも厳しくチェックが入ります。美容師は人と接する職業なので、実際の営業の場合にも自分自身を清潔に保っていなくてはなりません。ここでは、審査の時にチェックされているポイントをご紹介。試験前だけでなく普段から気をつけるようにしておけば、本番でも慌てることがありません。
頭髪チェック
清潔にしていることが絶対条件!著しく汚れていたり髪が長すぎたりする場合は減点対象になるので、試験の日の朝はいつもより早く起きて、しっかりとヘアスタイルをセットしましょう。また、作業や視界の邪魔にならないように前髪はピンなどで留め、モデルウィッグにカット者の髪が触れないようにまとめる必要もあります。
寝坊して寝癖がついたままの髪で受験してしまった、なんてことが無いようにしておきましょうね。ちなみに、モデルウィッグの取り扱い方にもチェックが入るので気をつけてください。
手指はきれいに保っているか
試験室に入室する前に汚れを落とし、清潔な状態で試験に臨むことがベストとされています。しかし、傷やアカギレがある場合はどうしたらいいのか不安になりますよね。でも努力の証なので、傷があるからと言って減点されることはありません。指サックや手袋の着用が認められているので、傷を広げないようにケアしましょう。
傷口から血が出たまま作業をしている場合は「不適切」となってしまうので要注意。また、洗っても落ちない染毛剤の付着も減点対象外となります。そして、第一課題と第二課題の準備時間に除菌用ウエットティッシュで手指を消毒するのも忘れずに。
爪の状態
マニキュアや付け爪は減点の対象になりかねないので、避けるようにしましょう(無色か淡色の透明マニキュアは対象外)。また、爪が1mm以上伸びている場合も減点になるので、しっかり切っておきましょうね。
当日の服装
試験時は作業衣を着ることになりますが、あまり露出の多いものや動きを制限するものは減点になるので注意が必要。靴などの履物は、毛髪が足の皮膚にくっつきにくく、作業しやすいものに重点を置いているようです。また装飾品は全てNG。腕時計は机の上に置くことは許されていますが、身につけるのは認められていません。
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準備時間中に用具類を審査
準備期間中に自分の道具を用意している時も要注意。管理方法などの細かいところまでチェックされているので、抜かりがないようにしましょう。
衛生用具はそろっているか
当日は、ハサミなどの他にも救急ばんそうこうや除菌用ウエットティッシュ、ビニール製の敷物や雑巾なども用意しなくてはいけません。それら一つでも欠けていると、「美容技術審査」の条件違反の欄にチェックされてしまいます。また、汚物入用透明ビニール袋には「汚物入」、美容師用のピン皿及びロッドケースに「消毒済」と分かりやすく表示する必要もあるので、こちらも忘れずに準備しましょう。
用具類の収納方法
美容室では多くの用具を使うため、収納場所を決めておかないと次に使うときに困りますよね。試験でも、ボビーピン(アメリカピン)及びオニピンはピン皿で管理するなど、指定の場所で管理することが義務付けられています。この項目は作業終了後にもチェックされるので、うっかり別の場所において減点! なんて恐ろしいことが起こらないように。
用具類の衛生状態
使用したものは別として、未使用の用具が汚れている場合は減点対象となります。ピカピカとまではいかなくとも、事前に必ずキレイにしておきましょう。またタオル類は白色か淡色で消毒済みのものという規定があるので、注意してくださいね。用具を落としてしまった場合は、除菌用ウエットティッシュで消毒をして、試験官の許可を得てから使いましょう。
試験中の行動も監査対象
試験中に他の受験者と話したり、わざと作業台を揺らすといった迷惑行為はしないように。携帯のアラームや着信音が鳴ってしまった場合も減点になるので、電源は切っておきましょう。また膝を床につけて作業することや、作業の指示に従わない行為、例えば「作業止め」の合図で用具類を所定の場所に戻した後に再びウィッグや用具に触れる、などの行為をした場合も減点となります。
研修センターによって定められた審査ポイント
国家試験を実施している「理容師美容師試験研修センター」により、試験内で審査の基準としているポイントをまとめたマニュアルが出されています。
それによると、試験の準備中や作業中、試験終了後といった段階によって異なる審査ポイントがあることが記載されています。
1、準備時間前のモデルウィッグ審査
・モデルウィッグに対する禁止行為
氏名や学校名の表示を禁止する
2、身体及び服装等の審査
・頭髪の作業適正及び衛生状態
髪は作業の妨げにならないように、束ねたりピンで留めたりする
・手指の清潔保持
試験室に入る前に清潔な状態にしておく
・爪の清潔保持
爪の伸びや濃い色のマニキュア、付け爪は禁止
・作業衣の着用状態
作業衣は正しく着用する
・衣服の作業適正
作業をしやすく、衛生面に配慮した衣服を着用する
・履物の作業適正
安定的な姿勢を保ち、安全で衛生的に作業ができる履物を履く
・装飾品等の装着
腕時計をはじめとして、装飾品の装着は禁止
・手指消毒
定められた準備時間に手指を清潔に消毒する
3、準備時間中に実施する用具類の審査
・衛生用具類の有無
衛生的に作業を行うための用具類を全て準備する
・用具類の表示
未使用か使用中か明確に分かるような表示をする
・用具類の収納方法
定められた収納方法で、それぞれの用具を収納・管理する
・用具類の衛生状態
使用する用具やタオルは、清潔なものを用意する
・個人特定樹夫法の表示
ウィッグ同様、他の用具類に関しても個人特定情報の表示は禁止
4、試験作業時間中に実施する審査
・マスクの着用の有無(理容)
作業中には、正しい規格及び着用方法でマスクを着用する
・マスクの着用状態(理容)
作業開始から作業終了まで、正しくマスクを着用する
・落下用具類の消毒・使用許可
作業中に落下させた用具類を再使用する際は、正しく消毒を行う
・モデルウィッグの取扱い
ウィッグであっても、人体同様に丁寧に扱う
・出血応急処置
作業中に怪我をした際には、適切な処理を行って作業を再開する
・用具類の貸借・追加取り出し
用具類の貸借や、作業中の追加取り出しは禁止
・迷惑行為
作業中の会話や、大きな音出しは禁止
・衛生面に配慮した作業姿勢
床にひざまずいて作業をすることは禁止
・作業の指示違反
開始と終了の合図は厳守し、作業中の不正行為は禁止する
5、作業終了後に実施する審査
・汚物入への収納状況
ゴミとみなされる用具は適切に汚物入れに入れる
・作業終了後の用具類収納状況
使用前、使用中、使用後と区別し、用具類を適切に管理する
・出血事故の処理状況
出血をした場合には正しく処理をする
それぞれのさらに細かい審査基準については、理容師美容師試験研修センターの公式HPで見ることが出来ます。定期的に内容の見直しもされるため、実技試験を受ける前には必ず最新の情報に目を通しておくようにしましょう。
このように見てみると、中学校や高校のときに受けた服装・頭髪チェックを思い出しますね。衛生実技試験は技術力に関係なく、いかに自分の意識を高く保てているのかを問われています。
技術は完ぺきだったとしても、ウィッグに名前が書いてあった・捨てるべきではないものを汚物入れに捨ててしまった、といったほんの小さなミスでも不合格になってしまいます。
衛生面で不合格になることのないよう、自分を磨くいい機会だと思いながら、細かいところにまで気を配ってみましょう。
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