美容スペシャリストな自分になるために

更新:2021.05.24

作成:2016.06.09

美容師

着付けに関する資格を徹底解剖!国家資格と民間資格の種類とは?


 

日本人の象徴である「着物」。そんな着物を美しく着付けるのが着付け師の仕事です。着付け師になるために必ずしも取得しないといけない資格はありませんが、着付けの資格を取得しておくと成人式卒業式のシーズンに有利になります。しかし、あまり着物を着ない人にとっては、着付けは分からないことだらけ。「帯揚げって何?袋帯と名古屋帯ってどう違うの?」と基本的なところでつまずいてしまって、国家資格を取得するまでの道は険しいと感じてしまう事も。

 

また、着付けには国家資格だけではなく、いくつかの民間資格も存在します。民間資格を取るために着付けの教室や学校に通えば、着付けについてゼロから学べるので初心者でも安心です。どちらの資格でも、着付けの仕事をしていく上で役に立つので挑戦してみて下さいね。ここでは、着付けに関する資格についてご紹介していきます。また、着付け師の活躍の場はどんな所なのかを見ていきましょう!

 

INDEX
■着付けの国家資格とは?
■着付けの民間資格とは?
■着付け師の活躍場所と仕事内容

着付けの国家資格とは?

ほとんどが民間資格ですが、2009年に誕生した「着付け技能士」という国家資格があります。着付け技能士がどんなものなのかを見ていきましょう。

着付け技能検定

着付けの国家資格である「着付け技能士」を取得するには、全日本着付け技能センターによって行われている着付け技能検定を受ける事になります。

 

技能検定は1級と2級があり、着物の歴史や各部の名称や寸法など多くの知識が必要になります。学科試験と実技試験で構成され、受験資格が設けられています。受験に必要な実務経験年数は2級が2年、1級は5年の経験がある事。この実務経験の申告は注意しておく必要があります。申告した実務経験に不足があれば国家資格を取り消されてしまう事もあるのです。

 

また、それぞれの試験に合格すると、2級は技能センター理事長名、1級は厚生労働大臣名で合格証書を交付されます。その後は、「2級着付け技能士」「1級着付け技能士」と名乗る事ができるようになり、成人式や卒業式などの着付けが行われるシーンでは特に役立つ資格となるでしょう。

 

着付けの民間資格とは?


 

着付けの資格は、ほとんどが民間資格です。その中でも代表的なものとして、「着物免許」「きもの講師」「着付け師」「着付講師認定証」「着物着付講師」「きものスペシャリスト技能検定」「きものコンサルタント」などがあります。

 

着付けを学び始める頃は、自分で着る=自装に関する資格が多く、中級以上になってようやく他人に着付ける=他装に関する資格が登場します。着付けのプロとみなされる上級のものを取得するには、「祝い結び」「変わり文庫」といった帯結びや、花嫁衣裳の着付けなど、高度な技術が必要となります。そのため、美容室や呉服屋などで実践する上で役に立つ資格は、中級以上の着付け資格となりそうですね。

 

国家資格とは違い、それぞれ特色のある着付けの民間資格。それなりに費用がかかるものの、独学ではなくきちんと勉強して取得する民間資格もまた良いものです。自分に向いている資格を選んで、取得に向けて努力していきましょう。ここでは、着物免許、きもの講師、着付け師の資格についてご紹介します。

着物免許

着物免許は、文部科学省から認可されている「財団法人民族衣装文化普及協会」が推薦し、「京都きもの芸術文化協会」が発行している資格です。

 

ハクビ京都きもの学院という教室に通ってカリキュラムを終え、所定の手続きを取ることで取得できます。着付けの技術だけでなく、メイクや立ち居振舞いを学んでから取る資格なので、着物に関する知識もしっかりと身に付けられそうですね。

着物免許の種類は?

着物免許は、5級(準師範)から1級(教授)までの5つに分かれています。5級は初心者向けの資格。4級になると国際文化教育協会が発行する着物国際免許を取ることができ、3級では着付け教室を開くことが可能になります。

 

他装を行う着付け師として認定されるのは2級から。さらに上の1級を取ると、ハクビ京都きもの学院で講師として働くための試験を受けられます。とはいえ、美容師として働くだけなら2級を取得すれば十分でしょう。

 

きもの講師

長沼静きもの学院でカリキュラムを終えることで取れる資格です。

 

認定しているのは、日本和装教育協会という団体。民間資格ですが、履歴書にも書ける正式な資格なので、美容師としてのキャリアアップにつながります。きもの講師の資格は初心者から始めても短期間で取得できるのがメリットです。

きもの講師の種類は?

ゆかたや紬などの着付けの簡単なものを自装できるようになる3級から始まり、和装構成やプロポーション理論まで学ぶ1級まで、4つに分かれています。

 

美容師として取っておきたいのは、他装を学ぶ2級以上。2級では振袖を他装することができるようになりますが、礼装の着付けを学ぶのは准1級となるので、さらなるキャリアアップを目指すなら准1級までがんばってみても良いかもしれません。

 

なお、3級から准1級までの資格は、順調にいけば1年で取得することができます。1回のレッスンが120分と少し長めなのですが、短期集中型の人にはぴったりと言えるでしょう。

 

着付け師

呉服屋である鈴乃屋が運営する鈴乃屋きもの学院に通い、カリキュラムを終えることで取得できる資格です。

 

認定しているのは文部科学省認可の財団法人セイコきもの文化財団。年に3~4回試験を実施していて、一般コースと短期コースに分かれて講座が開講しているので、時間の都合をつけにくい社会人にも取りやすい資格かもしれません。

着付け師になるまで

着付け師は、他の民間資格と違い級が分かれていません。一般コースでは2年間、短期コースでは1年1ヶ月間しっかり教室に通い、少しずつ高度な知識や技術を学び、最終的に着付け師という資格を取ることになります。

 

初心者から他装できるようになるまで、ずっと同じ環境で学ぶことができるので、資格取得に向けて勉強しやすい環境だと言えますね。

 

着付け師の活躍場所と仕事内容


 

資格を取得したら、次は、着付けの実践をしていきましょう!きもの講師や着付け師の活躍の場は、着物スクールや着物レンタルサロン、結婚式場、美容院など。

 

着物を専門に扱うところであれば、多くの人を着付けする事ができるため、専門性を強めることができるでしょう。一方、結婚式場や、美容院などは、メイクアップスキルや、ヘアアレンジのスキルが必要となる場合もあります。幅広く知識を身に付けてトータルコーディネートをしたい人にはおすすめです。

 

趣味で着付けを極めたい人もいれば、本職として働いていきたいという人もいるはず。日本独自の文化である着物に関わる仕事だからこそ、その活躍の場も多岐に渡っていますよ。「着付け師として働きたい!」という人のために、着付け師としての働き方をいくつかご紹介します。

美容室で働く

着付け師は、着付けメニューのある美容室で働いていることがほとんど。夏の時期には着物や浴衣を着てお祭りに行く人が多いため、週末には毎週のように着付けの予約が入ります。

着付けと聞くと朝が早いイメージがありますが、お祭り・花火大会の場合は昼過ぎ~夕方の時間の予約が多いため、連日早朝の勤務をする必要はありません。

 

ただ、1日に集中して何人もの予約を受けることが多いため、着付けだけでなくヘアメイクまでできるようになっておくと重宝されますよ。

写真館で働く

成人式や七五三の写真撮影を行う写真館も、着付け師が働くことの多い職場の1つです。写真館の場合は朝から行う行事のために着付けをするので、早朝からの勤務が多くあります。ただ、夕方からの結婚式の場合は昼過ぎに予約が入ることも。その場合、シフト制で交代勤務を行います。

 

写真館の場合は1日の予約数がそこまで多くなることはなく、ヘアセットやメイクは専門のスタッフが常駐していることがほとんどなので、着付け師は着付けの業務のみに集中することができます。

着物レンタルスタジオで働く

近年増えているのが、着物レンタルスタジオでの勤務。浅草や京都、川越といった観光地だと、着物を着て街を散策するという人が多くいます。そんな人たちのために着付けをするのも着付け師の役割。

 

夜しか行動しない花火大会やお祭りと違って、1日中歩きまわったり座ったりすることも多いので、途中で崩れてしまわないようにしっかりと着付けることが必要です。また、レンタルスタジオの場合もヘアメイクを一緒に行うことが多々。限られた時間の中で、スピーディーに着付けとヘアメイクまでを終わらせるスキルが求められますよ。

 

日本人だけでなく、海外から旅行に来ている外人さんを着付けることも多いため、英語や中国語などの語学力を持っている方も活躍しやすい環境でもあります。

着物売り場/呉服屋で働く

着物を試着販売している呉服屋や、時期限定で百貨店の中に出店される着物売り場コーナーでの勤務。試着のため最初から最後まで綺麗に着付けるということは少ないですが、あくまで販売をすることが目的のため、お客様と会話をしながら着付けをする必要があります。

 

また、売り場に来るお客様から着物に対して質問をされることもあります。そのため、着付け方法や着物の管理方法など、着物に関する基礎知識を身に付けておくことは必須になります。

 

お客様がどの着物にするか悩んでいる場合は、瞬時にその方に似合う色やデザインを選んでご提案するスキルも求められますよ。着付けながら会話をし、さらに提案までするという忙しさはありますが、「着付けだけでなく、販売の仕事も一緒にしてみたい」と考えている人にとってはぴったりの職場と言えるでしょう。

 

あなたの希望の働き方は見つかりましたか?年齢を問わず、いくつになっても働き続けられるのが着付けという仕事の魅力。あなたに合った働き方を選んで、長く活躍をして下さいね!

成人式の当日だけ働く

成人式の当日だけ働くという事も出来るのです。新成人は朝早くから式典に出席する準備を行います。美容室や呉服店で着付けを済ませる事もありますが、大きなホテルの一室を貸し切って百人単位の新成人のお仕度をする事も。

 

その場合、何人ものヘアメイクと着付け師が集結し次々としたくしていきます。着付けにかかる時間も制限されて慌ただしい環境ではありますが、一生に一度の成人式に携われるというのは着付け師としても嬉しい事ではないでしょうか。一人ひとり体型にも個人差があり着物の好みも違うので、1日で何通りもの着付けを経験できるというのも良いところ。お給料は日給で支払われ、1日だけのお仕事にはなりますが、毎年成人式に仕事が入るというのも素敵な事ではないでしょうか。

 

 

Author:美プロ編集部

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