美容スペシャリストな自分になるために
美容師免許を取得するために通う美容学校の「通信課程」とは?
美容学校と聞くと専門学校のように学校に通って、仲間達とヘアカットやスタイリング、カラーリングなどの実技を磨いていくイメージが強いですよね。美容学校に通うとかなり忙しくなるし、お金がかかるとも耳にした人もいるかもしれませんが、ちょっとお手ごろに通える「通信課程」というのがあるのをご存知でしょうか?
これを聞くと「え? 実技も学ぶのに通信でまかなえるの?」と不思議に思う人も多いでしょう。しかし、そこにはちゃんと美容学校の通信課程ならではのカリキュラムがあるので安心です。今回は、美容師免許を取得するために通う美容学校の通信課程について詳しくご説明します。
INDEX
■美容学校の通信課程とは?
-通信課程に入る条件
-通信課程にかかる費用
■通信課程で学ぶ期間
-通信課程のカリキュラム
-通信課程でのスケジュール
■通信課程で学ぶメリット・デメリット
-メリット
-デメリット
■通信課程で学び始める2つのタイミング
■通信課程のある美容学校を紹介
■まとめ
美容学校の通信課程とは?
美容学校の通信課程とは、美容師を目指す人が技術や知識を自宅でカリキュラムに沿って勉強するコースの事を指します。定期的にレポートを提出し、先生が添削などのフィードバックをしてくれるので、学校に通わなくてもしっかり知識を身に付けることが出来るのです。
また、“スクーリング”と呼ばれる、校舎での面接授業や集中授業が年に数回あります。スクーリングでは、実習に必要となるハサミの使い方など基本技術の修得授業も実施され、技術面でもしっかりバックアップしてくれるのです。そんな美容学校の通信課程に入る条件や学費についても見ていきましょう。
通信課程に入る条件
美容学校に入学する条件としては、基本的には高校卒業以上である事。しかし、通信課程の場合には、中学校卒業以上で入学が可能になります。
ですので、高校に通っていない、もしくは、高校に通いながら勉強したいという人も受講する事が出来るのです。スクーリングも学校の長期休みに合わせて行われることが多く、他の学業の邪魔にならないよう配慮されているので、安心して受けることができますよ。
通信課程にかかる費用
通信課程の学費は、3年間で平均50万円前後、美容学校と比べると約4分の1という破格さ。別途でスクーリング時の教材費はかかりますが、それを合わせても高いところで100万円を越えることはほとんどありません。
学費面に不安があって美容師を諦めていた人でも、1年間に20万円前後しかかからないので、働きながら通信課程を受けるという人も多いのです。
通信課程で学ぶ期間
美容学校で学ぶ場合には、一般で昼間課程と夜間課程と共に2年間で卒業していきますが、通信課程はそれよりも1年多い3年間かかります。
少し遠回りに感じるかもしれませんが、実際に通信課程を受講している人の多くは、すでに美容室でアシスタントとして働いている人も多いので、現場で学びながら、ゆっくり自分のペースで知識を身に付けたいという人にはおススメです。
ちなみに、3年間で取得しなければいけない単位は、スクーリング600時間以上と39回のレポート提出で、他の課程に比べてかなり負担が少ないのです。しかも、すでに美容室で働いている人は現場を経験していることもあり、スクーリングは300時間以上こなせば良いことになっています。
スクーリングの期間中は学校に通わなければならないので少し大変ですが、それ以外は時間に縛られないので、通信課程最大の魅力とも言えるでしょう。通信課程を受講している人の多くは、サロンで実務経験を積んで、帰宅してから勉強するスタイルをとっているようです。時間に縛られないので、別の予定がずれ込んでも自分で調整できるのが嬉しいですね。
通信課程のカリキュラム
通信課程の利点はなんといっても、しっかりカリキュラムが設定されている事です。そして、それを自分のペースで勉強出来るという事。そこで、実際にどのようなカリキュラムで行われているのかを紹介していきます。
通信課程では「スクーリング」を実施しているところが大多数。スクーリングは受講者が校舎に通って、教師や同級生と一緒に学習できるシステムの事を指します。多くの場合は限られたスクーリングの時間を有効活用できるように、少人数制で手厚い指導を受けられるようになっています。
多くの場合、美容室で働いているかどうかによってカリキュラムが変わってきます。美容室で働いている人は、その分スクーリングの時間が免除され、少なくなることに。ですが学ぶ内容はどちらも変わらず、美容師国家試験に必要な「カット」や「ワインディング」、「オールウェーブセッティング」といった実技科目になります。また「関係法規・制度」や「衛生管理」、「美容の物理・化学」といった筆記試験で問われる内容もしっかりと学んでいきます。そのほか「接客コミュニケーション」や「美容カウンセリング」から「外国語」や「社会福祉」まで、学校によって学べる内容に様々な特色があります。
ちなみにスクーリングは、同級生と触れ合えるのも大きな利点。基本的に自宅学習となる通信課程は、どうしてもモチベーションが下がってしまいがち。そんな時に同じ目標に向かって勉強する同級生と触れ合えることは、勉強を続けるうえで大切な支えになってくれるでしょう。
通信課程でのスケジュール
次に、通信課程でのスケジュール感を見ていきましょう。学校によって多少異なりますが、まず入学すると、月に1回のペースで課題となるテキストが送られてくるので、それに基づいたレポートを提出する事になります。毎月レポートを提出することで、自宅学習の進み具合をチェックしてもらえます。
またレポートの提出を続けていくと、春と夏など決まった時期に学校へ通うスクーリングが行われます。スクーリングの期間は学校によってさまざまですが、年間10~30日前後通うのが一般的。また、宿泊施設のサポートもありますので、遠方からでも安心して通えます。レポートやスクーリング以外にも、模擬試験や画像添削でしっかりと技術が学べるようになっているので、通信課程でも美容師免許の取得を目指せるのです。
そして、3年後にはいよいよ「美容師免許」の国家試験に挑むことに。この試験は半年おきに行われるため、「4月入学」であれば7~8月の実技試験、9月の筆記試験を受験することになります。また「10月入学」の場合はその半年後の1~2月に実技試験、3月に筆記試験を受ける事となります。
通信課程で学ぶメリット・デメリット
ここまでで、通信課程においておおよそのイメージは掴めてきましたでしょうか?時間の制約もなくライフスタイルに合った学び方が出来るという大きな利点がある通信課程ですが、その他にもたくさんメリットとなる事があるのです。ここでは、通信課程で学ぶ事で得られるメリットやデメリットを紹介します。
メリット
学費が安い
なんといっても通信の一番のメリットは安い学費で学ぶことができるという点です。通常の専門学校なら数百万円かかる学費が、通信課程ならその1/3以下の費用で済ませることができます。家庭の事情などで高い学費を支払うことが難しい人でも通信なら自分でアルバイトをしながら支払うことができます。
自由な時間で学べる
専門学校だと授業の時間が決まっていますが、通信なら自分の好きな時間に勉強をすることができます。昼間は別の学校や仕事、アルバイトをして夜だけ勉強をしたり、週に何日何時間と決めて自分のペースで進めるたりする事もできます。働きながら美容師免許の取得を目指せるというのは大きなメリットとなるでしょう。
合格保証制度を受けられる
技術面などに不安が残るという人のために、通信課程ではスクーリング以外にも技術指導や教室開放によってしっかりとサポートを行ってもらえます。国家試験に不合格となった場合でも、半年後のために引き続き勉強が続けられる「合格保証制度」を設けている学校も。こういったサポートは積極的に利用していきたいですね。
就職サポートを受けられる
通信課程では、就職に関してもしっかりとサポートをしてくれます。学校によっては卒業後の就職先の相談だけでなく、通信制で学びながら働ける美容室を紹介してくれる「入学前就職サポート」といった制度もあります。さらに卒業後の再就職でも学校がサポートしてくれるので、安心して自分に合った美容室を探すことが出来ますよ。
美容師以外の技術も身に付く
美容師としての勉強以外にも、メイクやヘアスタイリング、着付け、さらにはネイリストやアイリストの技術を学べる講座を開講している学校もあります。こうした講座は在学中に受講できるので、美容全般に興味がある人にはとても良い環境なのではないでしょうか。髪の毛に関する事だけでなく、トータル的に美的センスを養えるのですね。
ヘアメイクアーティストも目指せる
通信課程では、ヘアメイクアーティストを目指す事も可能です。専門学校によってヘアメイク技術を学びながら、通信課程で美容師免許を取得できる学校もありますよ。ヘアメイクアーティストの一部の仕事は、美容師免許は必須になりませんが、取得しておけば就職で有利になると言われています。もしヘアメイクアーティストになることを諦めたとしても、美容師免許とヘアメイク技術の両方を持っていれば選べる仕事の幅がグッと広がるはず。美容業界で活躍することを目指す人は一度検討してみてはいかがでしょうか。
デメリット
続いて、通信課程に通う事でデメリットとなる事を見ていきましょう。デメリットと言っても、自分次第でどうにでもなる事なので何を優先すべきかを考えて入学すると良いですよ。
勉強不足で国家試験に臨む事も…
美容師として働くには必須となる国家試験。昼間課程の場合は、試験に特化した授業内容をみっちり行うので合格率も高いのですが、通信課程の場合はほとんどが自力での勉強となります。質問したくても、その場で質問することが出来ないので勉強が思うように進まず、国家試験の対策を十分に出来ないまま試験に臨む場合もあるようです。自分でスケジュールをしっかり組み立て、計画通りに進めていかなければならないのですね。
自分の“根気”が試される
時間や場所に縛られない分、自主性が必要となってくる通信課程では「なんとかなるだろう」と安易に考えて、勉強を疎かにしてしまうと痛い目に…。また、忙しい合間をぬって勉強しなくてはならないので、なかなか学習が進まないケースもあります。昼間課程であれば、ライバルもたくさん居てやる気も起こりますが、通信課程では自分自身との戦いになるのです。
通信課程で学び始める2つのタイミング
通信課程での学び方は、仕事やアルバイトと並行して勉強する方法や、高校に通いながら通信制で美容師を目指すという方法など様々です。通信課程で学ぶにあたり、2つのタイミングを紹介します。
中学校卒業から美容師を目指す
高校に入学する前に美容師を目指す場合には、美容師学校と高校が提携してWスクールで学ぶことが出来る「通信制高校」があります。高校と専門学校の両方に通いながら3年間 勉強することで、卒業時には美容師免許の受験資格を取得できるのです。
この方法で美容師を目指す場合には、免許さえ取得できれば最短で18歳から美容室デビューを果たせます。一人前になるにはデビューしてからも実践で下積みをしていく必要があるので、早く美容師として一人前になりたいという人には、中学卒業と同時に「高校」&「通信課程の専門学校」をこなしていく事をおすすめします。また、通信課程に入学する時期も、学校によっては「4月入学」と「10月入学」のどちらかを自分で選ぶことができるので、計画的に決めていくと良いでしょう。
高校卒業から美容師を目指す
高校を卒業してから美容師を目指す場合は、美容学校に通えば2年、通信課程で受講すれば3年後に美容師免許の受験資格を取得できますので、美容師免許を持って働き始めるのが20~22歳ぐらいになります。
美容室によっては、社会の現場を知る意味でも、通信課程で受講している学生さんをアシスタントとして採用してくれる所もあります。高校を卒業し4月から美容室でアシスタントとして働き始め、同時に通信課程を4月入学して勉強し始めるなど、自分のライフスタイルやペースに合わせて通うことが出来るので、働きながら専門知識を学べる良い機会となります。
通信課程のある美容学校を紹介
それでは、実際に通信課程のある美容学校を紹介していきます。ここでは3校のみ紹介していますが、他にも美容学校は存在し通信課程を設けている学校はあります。住んでいる場所や、今後、生活拠点としていきたい場所で学校を選んでみても良いかもしれませんね。
関連記事:美容専門学校の種類や選び方
山野美容専門学校
創立80年を超える伝統と実績を持つ学校。「春期・夏期コース」「夜間コース」から選べるスクーリング。サロン経験者だけでなく、会社員や高校生、専門学校生、主婦の方など様々な職業の人が学んでいるのが特徴。国家試験に不安なく臨めるように、特別に用意した国家試験強化プログラムもあります。
学費:540,000円+教材費
資格取得までの流れ
国際理容美容専門学校
業界からの信頼も厚く、現在サロン運営をしているオーナーも本校の卒業生であることも多々。年に数回、レポート提出状況の確認やアドバイスなどを行う定期ホームルームを開催。また、スクーリング後の補習や、筆記試験対策の特別授業などサポート体制は万全。
学費:595,000円
資格取得までの流れ
資生堂美容技術専門学校
美容室で働きながら学べる従事者コースと、美容師とは関係ない仕事や学校に通いながら学ぶ非従事者コースに分かれているのが特徴的。
通信学生として、入学前に学びながら働ける美容室を紹介する「入学前就職サポート制度」を導入。通信で学ぶと同時に実践も積むことができます。ほぼ毎月無料の技術指導日を設けており、遠方に住んでいて登校できない学生には画像添削も実施。
学費:
従事者コース510,000円+教材費
非従事者コース690,000円+教材費
資格取得までの流れ
まとめ
美容学校は2年間で卒業となりますが、通信課程は3年間。長いと感じる人もいるかもしれませんが、通信課程は働きながら学べるのが大きなメリット。美容学校のように2年間、学校に通うメリットもありますが、その間に実践を身に付けられる通信課程も必ず武器となります。
ですが、自分ひとりで勉強を進めなくてはならないので、思った以上に根気と時間が必要のようです。しかし、プロのスタイリストになるためには必要な過程。すでにアシスタントとして働きながら美容師の資格を取ろうと考えている人は、早く一人前になれるように通信課程を受けてみるのも良いかもしれませんよ。
通常の専門学校に通っている人と比べても、身に付くスキルにほとんど変わらず、通信課程だからと言って仕事の幅が狭まることもなく、給料が低くなるといった事もありません。むしろ、美容室でアルバイトとして働きながら通信課程で勉強することで、通常の学校に通っている人よりも現場経験を多く積むことができるので有利とも言えるでしょう。自分がなりたい理想の姿を思い浮かべ、それに向かって一番良い進路の選択をしてみてくださいね。
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