「今の仕事にも十分満足しているけど、夢は海外で活躍すること」という美容師の方は多いのではないでしょうか? ですが、実際に海外で美容師として働くことを考えると「免許のことがよくわからない」「そもそもどうしたら海外のサロンに採用されるんだろう…」など、わからないことだらけだと思います。
とはいえまずは、思い切って海外に飛び出してみるのも一つの手! 海外研修という形で期間を決めて、海外のサロンや美容学校に留学すれば、さまざまなことが見えてくるはずです。今回は美容師の海外研修について、その実態を探っていきましょう。
研修って何をするの?
技術・サービスともにレベルが高く、世界一との呼び声もある日本のサロン。しかし流行の最先端を進み、最新のヘアスタイルを編み出しているのはニューヨークやロンドン、パリやミラノといった諸外国だと言われています。海外での具体的な目標がなくても、美容師としてとりあえず海外を見てみたい! という人も多いのではないでしょうか?
それでは、具体的にどんな海外研修の方法があるのかですが、一番手軽に済むのは、美容スクールの期間限定コースを受講する方法。「サスーンカット」を編み出した革命的な美容師、ヴィダル・サスーンの技術を世界中に広めてきた、ロンドンのヴィダルサスーンアカデミーがそうしたコースを設けています。受講期間はコースに応じてさまざま。駆け出しの美容師向けに、基礎的なことからみっちり教えてくれる4週間ほどのコースもあれば、すでに第一線で活躍しているプロに向けて、1週間ほどでアーティストとしての感性を磨いてくれるコースもあります。
また、研修とは言っても、実際にサロンで働くことができればそれが一番ですよね。海外研修に訪れた人の中には、アシスタントという形でサロンに勤めたり、スタイリストとして経験を積んできた人も数多くいます。
実はもうみんな海外に行ったことがある!? 専門学校での研修
個人で研修に行くとなるとなかなか大変ですが、日本の美容専門学校には、アメリカやイギリスへの海外研修がカリキュラムに入っているところもたくさんあります。学生はまだ美容師免許を取得していないのでサロンで働くことはできませんが、スクールで短期のコースを受講したり、現地の美容師やヘアモデルと交流を深めたりできます。研修は短期間なので技術を自分のものにするのは難しいかもしれませんが、これをきっかけに海外での仕事に興味を持つ人も珍しくありません。
漠然と海外に憧れを持っている美容師も多いと思いますが、実は一口に海外と言っても、それぞれの国でヘアスタイルの文化は異なるもの。興味がある人は、専門学校を選ぶ際、海外研修でどこの国に行けるのかということも調べてみましょう。
サロンによってさまざま!? サロンの海外研修制度
美容師として海外で経験を積むには、そのほかにもサロンの海外研修制度を利用する方法があります。サロンによっては、毎年海外に行ってスクールの短期コースを受講したり、美容師のイベントに参加したりできるところもありますよ。多くの場合は社員旅行を兼ねているようなので、勉強だけでなく仕事の息抜きにもなるかもしれませんね。
とはいえ、海外で働いて経験を積みたいと思い、海外研修制度のあるサロンに就職した美容師の中には、息抜きのような研修では物足りないという人もいるはず。そうした人にぴったりなのが、海外のサロンと提携していて、現場で働く形で研修を受けられるタイプのサロン。本格的に経験を積みたいと思っている方は、海外研修の中身までしっかり確認して、サロンに応募するようにしましょう!
サポート会社を利用して本格的な海外研修を受けよう!
本気で海外に行きたい、最先端のスキルやセンスを吸収して日本でトップスタイリストになりたいという美容師の方は、現地に長期滞在してサロンで働きたいと考えるはず。ですが、個人で受け入れ先を探すとなると、それだけでかなりハードルが高く感じられますよね。実はそうした人に向けて、本格的な海外研修をサポートしている企業もあるんです。
そうした企業では、美容スクールや語学学校への入学手続きの代行、ビザ取得のサポートなどを行い、また、ホームステイ先や仕事探しのサポートも行っています。長期間のスケジュールを組み、現地の美容ライセンスを取得するまでをカリキュラムに取り入れているコースもあるので、ぜひともサポート会社を利用してみてください。
美容師の研修旅行について
美容師の世界では、カットやカラーについての新たな技術が日夜更新されています。基本的なスキルを習得してお客様を担当できる一人前の「スタイリスト」になっても、スキルの向上や情報収集を図っていくことは必須とすら言えるのです。そのために、国内外のサロンに出向いて美容師の技術を学びに行く「研修旅行」を受ける人も多くいます。様々なヘアサロンや美容師の専門学校で「研修旅行」が行われているので、技術を磨きたい人や海外で流行している最先端の技術を取り入れたい人にはおすすめです。
例えば、実際にヘアサロンで行われているプランを見てみると、イギリス・ロンドンやスペイン・バルセロナなど、様々な国への研修旅行が行われています。主にヨーロッパ、欧米に訪れる機会が多いようで、現地のスタイリストからカットやカラーなどの新しい技術を学ぶことになります。また、専門学校で開かれる「研修旅行」でもイギリスやフランス、イタリアなどヨーロッパに行くところが多数。実際に海外の文化を目にすることで、自分の感性もしっかりと磨くことができます。
その一方、国内で研修旅行が行われることもあります。例えば一例を挙げると、合宿のような形でレンタルスペースを貸し切って、そこに「トップスタイリスト」の講師を招き、直接施術の指導をしてもらう研修が行われます。またカッティング理論&テクニックを身につけるために基礎や応用の反復トレーニングも行われ、同僚や同期生と切磋琢磨しながら美容師の技術を磨いていくことができるのです。さらには、研修旅行中にカットコンテストを開いて誰が一番丁寧に、綺麗に仕上げられたかを競い合うイベントも。そういった経験が技術を向上させてくれるのですね。
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美容師の研修旅行にはどれくらいの研修費がかかるの?
ここで気になるのは、「研修旅行にどれだけ費用がかかるんだろう?」ということ。ですがヘアサロンが開く「研修旅行」では、費用は会社が負担してくれるところが多いです。ただし中には、ヘアサロンが外部に講師や研修旅行を斡旋してもらう場合があって、その時には費用がかかることもあります。それでも社員は割引された特別料金で参加できるのでありがたいですよね。
そして専門学校の場合だと、研修旅行の行き先が国内か海外によって費用が大幅に変わってきます。ヨーロッパに訪れる場合は40万円~50万円が相場といったところ。高額なので、費用に不安がある人は「分割払い」や「旅行積立」を利用するといいでしょう。また国内での研修旅行だと、費用は6万円~8万円と比較的安く済みますよ。
美容師の研修旅行はどれくらいの研修期間で行われるの?
研修旅行の期間は、ヘアサロンが行う場合だと3日~10日といったところで、10日間に渡って2カ国回るようなプランもあります。時間が余れば現地の観光もできるようなので、技術磨きだけでなく、海外で貴重な体験を得られるのもいいですよね。専門学校の場合でも、6日~8日が目安となっているところが多く、研修のほかに観光スポットを巡ることもあります。専門学校ではイベントの1つとして研修旅行があるので、同期生と仲が育まれたり、いい思い出作りにもなるんですね。なお、国内への研修旅行でも期間は10日間ほど、合宿のような形でトレーニングする形態が多いのです。
ちなみに海外勤務を目指している人には、就労サポートをしてくれる会社がおすすめ。アメリカ、イギリスはもちろん、カナダ、中国、台湾、オーストラリアなど様々な国への研修旅行が用意されていますよ。これは主に海外で働きたい人を対象にしたプログラムで、各国で就労したり、海外の美容ライセンスを取得することを目的としています。中には現地のヘアサロンへの「インターンシップ」が開かれていることもあるので、海外の現場を体験したい人は応募してみるといいでしょう。
海外研修に行く美容師には、将来的に海外で働きたいという人はもちろん、最先端のヘアスタイルや美容文化に触れて、技術を日本に持ち帰りたいという人も。美容師としてレベルアップするために、まずは短期間のスクールからでも、時間を見つけて海外研修に挑戦してみてはいかがでしょうか?
海外の美容師免許について
海外で美容師として働く際には、日本の美容師免許が適用されません。そのため国や地域ごとに定められている資格を取得する必要があります。どんな資格が求められるのかは様々で、アメリカやカナダのように州ごとに異なるケースもあれば美容師免許自体が存在しない国も。美容師免許が発行されている国では、日本と同じように筆記試験と実技試験の組み合わせで試験が行われるのが一般的です。
といっても各国のお国柄を反映しているのか、試験の仕組みはかなり異なっています。例えばフランスの場合には、中学生までに習うような教科の問題も筆記試験の範囲に含まれ、韓国の場合には、現地アカデミーの卒業や国家試験に合格していることが必要になります。
また注意しなくてはいけないのは、海外の美容師免許は大抵期限があるということ。日本の美容師免許は永久的に有効ですが、海外では期限つきなので更新しなければ無効になってしまいます。
海外で美容師として勤務すること
海外勤務において、最も大きな問題になるのが就労ビザ。もし海外で長期にわたって美容師として働きたいなら、就労ビザを取得することが必須です。とはいえ現地での労働経験がない人間が就労ビザを取得するのは難しいもの。そこでおススメなのは、ワーキングホリデービザを利用する方法です。ワーキングホリデービザは就労ビザと比べて取得のハードルが低く、現地で働いたことがなくても発行してもらえます。ですが期限は1年間だけなので、長期間勤務し続けることはできません。ワーキングホリデービザの期限内に雇用主に実力をアピールし、就労ビザの発行を現地の労働局に働きかけてもらいましょう。
ちなみに海外でも在留邦人が多い都市部など、日本人美容師のニーズが高い地域もあります。「日本語が話せる」ということが、現地の日本人客に対して大きなウリになるんですね。美容室はたんにヘアスタイルをセットするだけではなく、リフレッシュの場でもあります。そのため慣れ親しんだ言葉で話せるスタッフがいるお店には、自然と人足が集まるのです。
その一方で海外で働く際の壁になるのが、給与制度。国によっては完全歩合制が常識ということもあり、せっかく就労ビザを得ても生計を立てるのが難しいかもしれません。さらに国家ごとに物価や治安、文化にも大きな違いがあります。海外に渡って美容師として生活していくことができるのか、あらかじめ国ごとの事情をしっかり考慮しておきましょう。
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