ハサミは美容師にとって一番大切な商売道具。そのハサミを大切に使ってあげるためにはハサミのメンテナンス道具から、ハサミを収納するシザーケースなど、必要なものがたくさんあります。
その他にも使用用途に合ったコームなど揃えておきたいものが多くて、何を買えばいいのか分からなくなってしまいますよね。
今回は美容師に必要な小物類をご紹介しているので、参考にしてみて下さい。
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ハサミを長く使うためのメンテナンス用品
ハサミの切れ味を長持ちさせるためには、毎日のお手入れが欠かせません。
ここでは、セルフメンテナンスのために用意しておきたい道具をご紹介します。
セーム革
動物の皮をなめしたものの事で、ハサミの汚れを拭き取る時に使います。宝石や貴金属のお手入れなどにも使用されるほど柔らかい布なので、安心して使えます。一般的にはシカの皮をなめしたものが使用されていますが、現在日本で流通しているものは、中国のキョンという小型のシカの革が多いようです。
耐久性があるセーム革ですが、汚れたままの革を使っているとハサミを傷つけてしまので、メンテナンスが必要です。
少なくても年に1回は中性洗剤で手洗いをするようにしましょう。また、直射日光に当たったり、ドライヤーで乾かしたりすると皮が固くなることがあるので、陰干しするように気をつけて下さい。
セーム革の価格は、どの動物の皮を使っているかという事と大きさなどで変わってきます。ほとんどが数百円程度で購入できるので、定期的に買い換えるようにしてみても良いかもしれません。
人工クロス
セーム革同様、ハサミの汚れを拭き取るのに使う布です。マイクロファイバーなどの化学繊維で作られているのが特徴。安く手に入りやすく、布自体のメンテナンスに気を遣う必要はありませんが、セーム革と比べて汚れが落ちにくいと感じてしまう人が多いようです。
油
ハサミの動きを良くするためには、毎日のお手入れの時に油を差すことも忘れずに。使う油は比較的に粘度の高いものが良いとされています。シザー専用の油もありますが、ミシン油やスプレータイプの潤滑油を使う人もいるようです。
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シザーケース
お客様の髪質やヘアスタイルによってハサミを使い分けているという美容師は多いですよね。ハサミを変える度に、収納場所まで取りに行くのはちょっと面倒…そんな時は、数本のハサミや必要な道具が収納できて持ち運べる“シザーケース”があると便利です。
シザーケースの相場は大体2~4万円ほど。1万円以下で買える安価なものもありますし、オーダーメイドでつくる高級シザーケースもあります。デザインだけでなく収納量や使いやすさを考えて、自分に合ったものを選ぶようにしてみましょう。
シザ―ケースに入っているその他の小物類
美容師にはハサミ以外にも、すぐに使えるように用意しておきたい物がいくつかあります。
ここではコームやブラシなどをご紹介していきましょう。
カット用コーム (テーツコーム)
クシのことをコームと呼びます。カット用コーム(テーツコーム)とはクシ歯の間隔が異なるクシがひとつになったコームのこと。クシ歯の少ないものを粗歯、多いものを蜜歯と呼び、用途に合わせて使い分けます。歯と歯の間隔が狭い蜜歯は精密なカットをする時に向いており、粗歯はくせ毛のカットや、ダメージで引っかかりやすい髪のカット時に使います。
リングコーム (テールコーム)
リングコームは片側が棒状になっているコームのこと。尻尾(テール)がついているような形をしていることから、テールコームとも呼ばれます。髪の毛のセットや、パーマ、カーラーを巻くのに使用します。
デンマンブラシ(ハーフブラシ)
半円形に盛り上がっているブラシ。髪の毛を乗せてドライヤーをかけるだけで、ブラシの丸みにそってブローができます。ちなみに、このブラシを始めて作ったのがイギリスのデンマンシャという会社だったので、ハーフブラシのことをデンマンブラシと呼ぶようになったんだとか。
ロールブラシ
パーマをかけた髪に使用したり、内巻きのカールを作る時に使うブラシ。大きく2つ種類があります。強い弾力性があるナイロン素材のものは、ブラシに髪がひっかかりやすいので扱いやすいですが、静電気が起きやすいのが欠点。これに対して動物の毛のブラシは、静電気が起こりにくく、紙にツヤが出るのが特徴です。これらふたつを合わせた混合ブラシもあり、初心者の人にはこちらがオススメです。
ベントンブラシ(スケルトンブラシ)
形状が骨に似ていることから、ガイコツブラシとも言われます。目が粗いため静電気が起こりにくく、絡まりやすい髪質にも使いやすいブラシ。手ぐし感覚で使えるので、ドライヤーの熱を効果的に伝えて、ボリュームを出すことができます。
ダッカール
髪を止める細長いクリップのことで、正式名称は「ダッカール」といいます。材質はプラスチック製と金属製のものの大きく2つがあります。大きさや髪を挟む固さなど、種類はさまざま。濡れた手で触るとすべったり、バネが固すぎるものもあるので、購入前に確認しておきましょう。
美容師の必需品・シザーケースの種類
ハサミを収めるシザーケースは美容師にとってまさに必需品。毎日使うものだけに、自分に合ったものを身につけたいですよね。以下ではシザーケースにどのような種類があるのか、見ていきましょう。
ベルトタイプ
まず「ベルトタイプ」のシザーケースは、基本的には腰に巻き付けて使用するので安定感があります。ただし、服の上から装着するとずり落ちてしまうこともあるので要注意。不安定にならないように、ジーンズなどのベルトループに引っかける使い方も一般的です。シザーケースに収納した物の重みで腰に負担がかかると感じる人もいるようなので、ハサミのしまい過ぎには気をつけたほうが良いかもしれません。
ショルダータイプ
それに対して、肩からかけて使用するのが「ショルダータイプ」。どんなファッションでも関係なく使用できるのが魅力です。しかしお客さんにシャンプーを施している時などに、肩から落ちてしまう場合があるのが難点。
他にも首からかけられるものなど、シザーケースには様々なタイプがあります。自分に合うものを選ぶことによって快適に働けるだけでなく、オシャレにもこだわれますよ。
美容師の必需品・シザーケースの選び方
シザーケースの種類を決めたら、次は実際に使用する製品を選んでいきましょう。まず注目したいのが「収納力」です。シザーケースは収納できるハサミの本数に応じて、「~丁用」と記載されているもの。収納できる本数が多ければ良いというわけではありませんが、普段使用しているハサミを全て収納できるようにあらかじめ調べてから購入しましょう。
また美容師という職業柄、シザーケースのデザインにもこだわりたいところ。色や素材、形などチェックすべきポイントはたくさんありますし、中にはヴィンテージ加工を行ってくれるお店も。なお素材という点では、美容師はシャンプーやカラーを行うため水や汚れに強いものを選ぶと良いですよ。
日々濡れた髪などをカットする仕事なので、シザーケース内にはどうしても汚れが溜まっていきます。そのため掃除がしやすいかどうか、という点を重視して選ぶのも一つの手でしょう。ケースの底部分が開閉できるようになっているタイプなら、他の製品よりずっとお手入れしやすいはず。
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美容師に必要な道具
ハサミやシザーケース以外にも、美容師には様々な道具が必要になります。たとえば代表的なものはカット用コーム。コームとは美容業界で言う「クシ」のことで、カット用コームは間隔が狭い歯と広い歯が一体になったものを指します。精密なカットやダメージで引っかかりやすい髪のカットなど、いろいろな場面に対応できるのが特徴。
またヘアカットの際に髪を留める「ヘアクリップ」も必需品と言えるでしょう。種類は様々で、大きさや髪を挟む固さなどで使い分けるのが一般的。材質は大きく分けるとプラスチック製と金属製の2種類があります。購入前にはバネが固すぎないか、しっかり手に馴染むかなどを確認するようにしましょう。
美容師の仕事をするためには、ハサミ以外にも様々な道具や小物が必要です。まずはスタンダードな種類のものを揃えてみて、徐々に自分のこだわりの道具に買い換えていくと良いかもしれません。
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