お客様の心も体も癒すセラピストには、接客技術も問われます。単に接客がうまいだけでは、「感じの良いスタッフさん」という印象しか残らないことも。
「このスタッフに任せると本当に癒される」「スッキリできる」とお客様に感じていただける人でなければ、リピートして通ってもらうことは難しいでしょう。
今回は、セラピストが接客テクニックで活用すべき「ラポール」について解説します。
「ラポール」とは?
ラポールとは、フランス語で「橋を架ける」という意味があります。つまり「人と人とが橋の架かった状態」、親密で心の通った状態を表わします。
相手に何かを伝えたい場合、「何を言うか」と同じくらいに「誰が言った」かが重要になります。
その言葉が正論で「おっしゃるとおり」とはわかっていても、信頼できず嫌な相手の言葉だと、否定的にとらえ、単なる屁理屈に感じるものです。
ラポールとは、信頼関係の取れた状態のこと。その状態で聞いた発言を、人は素直に言葉の意味のまま受け入れます。
私たちは普段から、「依頼された仕事で成果を出す」、「約束、時間を守る」といった行動の積み重ねでラポールを形成しています。
セラピストの接客に役立つラポール
ラポールのテクニックには、大きく分けて意識レベルで行うものと、行動や言葉によって行うものの2種が存在します。
どちらのテクニックも信頼を育み、心からの安らぎを与えるには欠かせないため、両方取り入れることをおすすめ。
まず意識レベルで取り入れたいのは、純粋性・受容的態度・共感的理解です。
純粋性はセラピスト自身が自分のことをありのまま受け入れていることです。うまく施術できるだろうか、という不安を見せるのではなく、お客様に「今の自分」が持つ最大限の力で施術することを意識しましょう。
次に受容的態度ですが、これは共感的理解と似ています。どちらも簡単に言えばお客様のご希望や行動、考えに対して批判的な言動をしないこと、そしてできる限り共感することです。
頭で理解しているだけでは、ふとした瞬間にお客様の信頼を裏切るような言動をしてしまう可能性があります。心よりお客様の悩みやご希望に共感するよう、意識を向けてください。
活用できるラポールテクニック
その他にも、ミラーリングとバックトラックがあります。どちらも相手の言葉をどのまま繰り返したり、さりげなく同じようなポーズや行動をとってみることを指します。
相手の言葉を繰り返すことで「きちんとあなたの話を聞いています/理解しています」ということを態度で見せることによって安心感を与えられます。同じような行動をとったりするミラーリングも、お客様の警戒心をとくのに最適です。
そしてこれらの行動には、姿勢やしぐさ、表情や声色、話し方を注意深く観察し、お客様に合ったカウンセリングをしていくキャブレーションが欠かせません。しっかりとお客様をみることで、無意識のうちに感情が現れる、言葉だけでは気付かないお客様の心理に気付くことができます。
ラポールを活用してみよう
ラポールは、慣れないうちは失敗してしまうこともありますが、やがて自然にできるようになります。
無意識のうちに実践できるようになれば、あなたもラポールの上級者。お客様から「あなたが担当だとリラックスして任せられる」と言っていただけるようになるでしょう。