自分の手でたくさんの人々の疲れを癒す、セラピスト。資格を持たずに働くこともできますが、せっかくなら資格を取得してセラピストの仕事を極めていきたいですよね。
国の法律に基づいて認定される国家資格なら、お客様により信頼感を与えることができるはず。それでは、セラピストには果たして国家資格はあるのでしょうか?また、どんな仕事をする場合に国家資格が必要なのでしょうか?今回は、セラピストの国家資格について見ていきましょう。
INDEX
■そもそも国家資格とは何?
■国家資格が必要なセラピストの仕事3つ
■国家資格以外にも取得したいセラピストの資格
■セラピストが資格を取得するメリット
そもそも国家資格とは何?
国家資格とは、法律に基づいて国が認定をしている資格のことを言います。取得をすることによって、ある特定の職業で従事者として仕事をすることができますし、その分野における一定の知識・技術が保証されます。
主な国家資格としては、「医師」や「弁護士」、「税理士」などは耳にすることも多いはず。日本には、実は200を超える数の国家資格が存在しているのです。美容業界で言えば、「美容師免許」や「理容師免許」などが国家資格に該当します。
また、国家資格は大きく分けて以下の3つに分類されています。
1、業務独占資格
資格を持っている人だけが、定められた業務を行うことができる。弁護士、公認会計士、医師、司法書士、作業療法士、美容師、理容師など。また、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師も業務独占資格。
2、名称独占資格
資格を持っている人だけが、その資格の呼称を利用することができる。業務独占資格=名称独占資格、という場合も多い。業務独占資格で挙げた以外にも、管理栄養士、看護師、調理師、保育士など。
3、必置資格
ある事業を行うときに、企業や事業所単位で特定の資格保持者を配置しなくてはならないという場合がある。法律で定められたその特定の資格というのが、この必置資格のこと。業務独占資格が、必置資格の役割を併せ持つこともある。管理美容師、管理建築士、保育士、宅地建物取引士など。
資格には国家資格以外にも、公的資格と民間資格が存在します。民間の団体や公益法人が実施しており、文部科学省などの官庁が認定をしているのが「公的資格」、認定などは特になく民間の団体や企業が独自の審査基準に基づいて認定をしちえるのが「民間資格」です。
国家資格は公的資格や民間資格と比べても試験の難易度は高いですが、知識や技術を国から認められた上で認定される資格のため、その分信頼感も大きいでしょう。
国家資格が必要なセラピストの仕事3つ
一般的にセラピストと聞いてイメージされるような、リラクゼーション目的のアロママッサージには国家資格が存在しません。ですが、以下に挙げる3つの仕事に関しては国家資格が必須。資格を持たずに施術を行うと柔道整復師法により処罰の対象となってしまうので、十分に注意をしてくださいね!
1、あん摩マッサージ指圧師
厚生労働省によって実施されている、「あん摩マッサージ指圧師国家試験」に合格をする必要があります。なでる・押す・揉む・叩くといったあらゆる手技を組み合わせて、身体の不調を改善していくことがあん摩マッサージ指圧師の仕事。基本的には器具を用いず、人の手によって施術を行うのがあん摩マッサージ指圧師の仕事。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得すると、治療院やマッサージサロン、福祉施設、病院内でのリハビリスタッフなどの活躍の場があります。治療というよりは改善や回復のための施術を行うことがメインであり、プロのスポーツ選手とトレーナー契約をして働くという人も多く存在します。
2、鍼灸師
厚生労働省によって実施される「はり師」「きゅう師」という試験に合格する必要があります。鍼灸師の鍼(はり)とは、お客様・患者さんの症状や体の調子を聞いて、その症状の改善に見合った身体のツボに対してステンレス製の鍼を刺して行う施術のこと。また、灸(きゅう)とは、もぐさと呼ばれるヨモギの染毛を固めた物体を熱し、それを身体のツボに置いて熱刺激を与える施術のこと。
美容鍼灸メニューを導入しているエステサロン、鍼灸院、スポーツ施設といった活躍の場があります。特に、近年美容目的での鍼灸の需要が高まってきているため、モデルや芸能人が通うようなサロンに就職したりフリーランスの鍼灸師として働いたりという活躍も見込めますよ。
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3、柔道整復師
厚生労働省によって実施されている「柔道整復師国家試験」に合格をする必要があります。柔道整復師の仕事内容としては、打撲や捻挫、脱臼といった身体の損傷に対して、手術や投薬を行わずに治療をしていきます。あん摩・はり・きゅうとともに、「医業類似行為」の1つとしても知られますが、あん摩マッサージ指圧師や鍼灸師が取り扱うような慢性的な症状ではなく、あくまで一時的な怪我や痛みを治すために行われる施術とされています。
かつては整骨院を開業して働くことがメインでしたが、年々整骨院自体の数が減ってきていることもあり、老人ホームや介護施設、スポーツジムといった場所で活躍をしている人がメイン。また、近年のパーソナルトレーニングの流行に伴って、個人宅やプライベートジムに出張をして施術を行っている人も増えています。
国家資格以外にも取得したい、セラピストの資格
セラピストの資格には、国家資格ではなくても取得しておきたい資格が多数存在します。まずは国家資格の取得をして、その後は働きながら民間資格の勉強を進めていっても良いですね。短期集中で勉強して資格取得を目指したい人は、セラピストのスクールに通うという手もありますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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・アロマテラピー検定
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が実施している民間資格。アロマテラピーを行う上で必要不可欠な精油の知識などが身に付きます。趣味でアロマを始めたい人からビジネスでアロマを導入している人まで、幅広い層が受験している検定試験。
・リラクゼーションセラピスト認定試験
一般社団法人日本リラクゼーション業協会が実施する、リラクゼーションに関する唯一の認定試験です。リラクゼーション業の定義や基本的な用語の意味といった内容が出題され、合格することでセラピストとしての就職にも役立つ資格です。
・国際アロマセラピスト
イギリスのアロマテラピー国際機関であるIFAが実施している民間資格。海外でセラピストとして働きたい人や外資系のホテルスパで働きたいという人にぴったりの資格です。精油の知識だけでなく、メディカルアロマや解剖生理学といった本格的な知識が身につくカリキュラムが組まれており、実技試験も含まれているのが特徴的。
・JBTA認定リンパドレナージュセラピスト
一般社団法人日本美容セラピスト協会(JBTA)が実施している民間資格。リンパドレナージュの基礎知識を通信講座または認定校で学んだ後、試験の合格を経て認定となります。認定校では実技も学べるため、資格取得後はプロのセラピストとして働くことができます。
・カラーセラピー資格検定
日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が実施している民間資格。カラーセラピーとは、色の生理的効果や心理的効果を学び、心身のバランスを整えることを目的とした療法です。色の効果や活用方法などが学べて、自宅で受験をすることができるため女性に人気の高い資格です。
セラピストが資格を取得するメリット
前述したような仕事内容以外であれば、国家資格がなくてもセラピストして活躍する先輩はたくさん存在します。ただ、たとえ必須ではなくても資格を取得することで得られるメリットはたくさんあるのです。
- 正しい知識や技術が身に付く
- お客様からの信頼を得られる
- 就職の際に有利に働く
- 協会から支援を受けられることがある
初めて訪れるサロンの場合、お客様にとっては不安なこともたくさん。そんな時に、資格を取得しているセラピストがいれば安心して施術を任せることができますよね。
また、国家資格を取得することで、自由診療ではなく保険診療を行うこともできるのです。保険診療ならば、お客様や患者さんの費用負担も少なくサロンに通ってもらうことができます。分のためだけではなくお客様たちのためにも、資格を取得しておくことは大きなメリットになりますよ。
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まとめ 資格を手にして、長く活躍するセラピストへ
国家資格とはそもそもどんなものなのか?人々を癒すセラピストの国家資格にはどんな種類があるのか?国家資格以外にも取得しておきたい資格にはどんなものがあるのか?などを詳しく分かってもらえたでしょうか。
今すでにセラピストとして働いている方も、これからセラピストとして働きたいと考えている方も、ぜひ資格の取得を検討してみてくださいね。本物の知識と技術を身に付けて、いくつになっても活躍することができるセラピストを目指しましょう。