美容スペシャリストな自分になるために

更新:2021.07.15

作成:2020.10.07

ビジネス

<作成例あり>求人広告を作成する際の必須項目と注意点


 

求人を出す際に必要になるのが求人広告。広告の中に書かれている内容によって応募の数も大きく異なってくるので、しっかり考えた上で作成をしたいですよね。

ある程度自由に作成することのできる求人広告ですが、もちろん必ず記載をしなくてはいけない情報も存在します。そこで今回は、求人広告において記載が必須となる項目と作成における注意点をご紹介します!

 

INDEX
■求人広告に記載が必須である項目
■記載してはいけない項目もある!
■労働条件の明示が必要なタイミング
■まとめ

求人広告に記載が必須である項目


 

求人広告に書かれている内容がそのまま雇用時の労働条件となるわけではありませんが、求職者は募集要項に記載された条件を参考にして応募をします。そのため、募集要項に虚偽の内容を記載したり情報が明確でなかったりすれば、大変な事になってしまいます。

 

募集要項を作成する際には、できる限り正確な情報を記載して求職者がきちんと判断できるようにしましょう。その中でも、絶対に記載しておかなければならない項目があるのです。

 
【募集要項に記載すべき必須項目】

  1. 労働者の業務内容
  2. 労働契約の期間
  3. 就業する場所
  4. 労働時間(始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休日、休憩時間)
  5. 賃金
  6. 加入保険

この6つの項目の他に、2017年の法改正により募集要項に記載しなければならない項目が3つ追加されました。

 

【2017年の法改正により追加された必須項目】※施行日2018年1月1日

  1. 試用期間の有無(あれば期間も)
  2. 募集者の氏名または名称
  3. 派遣労働者として雇用するかどうか(雇用形態)

募集要項の書き方例

それでは、募集要項に記載しなければならない項目を例として見て行きましょう!

業務内容
美容師スタイリスト業務全般
・カット、カラー、パーマ、シャンプーなどの施術
・受付、予約管理、店内清掃など

契約期間
期間の定めなし

試用期間
試用期間あり(3か月)

就業場所
東京都新宿区○○ ○○ビル1F
※本社または支社がある場合にはそれぞれの住所を記載
例「本社 東京都○○区○○」
「○○支社 東京都○○市○○」

労働時間
10:00~19:00(休憩時間12:00~13:00)

時間外労働
あり(月平均20時間)
※裁量労働制を採用している場合は、以下のような記載が必要
例「企画業務型裁量労働制により、○時間働いたものとみなされます。」

休日
土日、祝日

賃金
月給24万円(ただし、試用期間中は月給22万円)
※「固定残業代制度」を採用している場合は、以下のような記載が必要
「基本給 ○○円」
「○○手当 (時間外労働の有無に関わらず、○時間分の時間外手当として○○円を支給)
「○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給」

加入保険
雇用保険、労災保険、年金保険、健康保険

募集者の氏名または名称
○○株式会社(BeautySalon ○○)

雇用形態
派遣労働者
※派遣労働者を雇用する場合、「派遣労働者」と記載が必要

 

このように、募集要項にはしっかりと必須項目を記載します。その他にも、求人広告によっては自社をアピールする事が出来たり社内の雰囲気を写真で伝えられたりと様々な記載項目があるので、上手に求人広告を活用していけると良いでしょう。

募集要項に虚偽の条件を提示した場合の罰則

募集要項に明示されている労働に関する条件は、就職活動をしている求職者にとって重要な判断材料となります。企業側としても、出来るだけ理想に近い人材を採用したいはずなので、記入例の通りに労働条件を記載していても、欲が出てしまい実際と異なる内容を提示してしまう事もあるかもしれません。

 

もし、故意に虚偽の条件を提示した場合はどうなってしまうのでしょうか。故意に虚偽の情報を提示して労働者の募集を行った者に対しては罰則が設けられており、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられます。(職業安定法第65条8項)

 

また、募集要項に記載している条件が、面接や採用をするまでの間に変更になっている事も。その場合には、必ず求職者に書面で変更となった理由も説明しなければならない義務があります。(職業安定法第5条の3-3項)求人広告の掲載を始めた時から変更を加えたにも関わらず、求職者に変更内容を伝えていないなんて事があってはいけません。このような事も、「虚偽求人」として6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる可能性が生じます。

 
【求職者に通知が必要なケース】

・異なる条件を提示する場合

例)基本給28万円/月→基本給27万円/月

・条件の範囲を断定して提示する場合

例)基本給26万円~30万円/月→基本給27万円/月

・条件を削除する場合

例)基本給26万円/月、○○手当3万円/月→基本給26万円/月

・条件を追加する場合

例)基本給26万円/月→基本給26万円/月、○○手当3万円/月

記載してはいけない項目もある!


 

労働者を募集するための求人広告には、記載してはいけない項目も定められています。それには、男女雇用機会均等法や職業対策法が大きく関係しているのです。これに対しての罰則規定にあたる条文はないのですが、企業側が提示する求人情報の内容はきちんとルールを守って記載していくようにしましょう。

NG表現1.性別を限定する表現

募集要項に性別を断定する表現はしてはいけません。たまに見かけるのが、「女性歓迎!」などと言う表記。これも性別を限定する表記なのでNGです。性別を限定してはいけない理由としては、男女雇用機会均等法で性別にかかわりなく募集から採用までの機会を均等に与えなければならないとされているからです。(男女雇用機会均等法第5条)

 
【NG表現例】

・一方の性別を連想させる名称

例)「看護婦」「営業マン」「ウェイター」など

・一方の性別を優遇するような表現

例)女性向けのお仕事です!など

・一方の性別を限定する表記

例)男性の管理職が退職したため、後任の男性を募集します!など

・男女で異なる条件を設けること

例)「男性は○○の資格を持っている方」「女性は未婚者限定」など

・男女別の採用人数を決めて募集すること

例)男性5名、女性3名を募集します!など

・写真やイラストを用いて、一方の性別に偏った職場を強調すること

 

上記のような表現はNGとなりますが、業務の遂行上、どちらかの性でならなければならない合理的な理由があれば例外として認められることもあります。例として「警備員」や「巫女」「女優」などの職種が例外に該当し、その他にも、男女格差の改善のために一方の性を優遇する場合にも法違反とはならないのです。労働者を募集する際には、性別を限定してしまっていないか確認しながら、求人広告を作成すると良いのではないでしょうか。

⇒参考:厚生労働省(男女均等な採用選考ルール)

NG表現2.年齢を制限する表現

募集要項に年齢を制限する表現はしてはいけません。募集する業務は体力が必要だからと言って、「30歳まで!」などと年齢を制限してしまう事もあるでしょう。しかし、業務を遂行できる体力や能力は年齢だけでは判断できません。年齢にかかわりなく均等に雇用の機会が与えられるように、職業対策法により年齢の制限が禁止されています。以下のようなNG表現をしていないか、確認してみて下さいね。

 
【NG表現例】

例)引越し運搬スタッフ 30歳以下

○→「引越し運搬スタッフ(年齢不問)

この業務は、家具や家電など50kgを越える荷物を上げ下ろしする事もあるため、筋力と持久力が必要です。

例)美容師スタイリスト 40歳以下

○→「美容師スタイリスト(年齢不問)

20代をターゲットにした美容室をオープンし、ヒアリングで「なりたい自分♪」を引き出していただきます。

 

このように、美容室では顧客の年齢層に合わせてスタッフも募集したいというのが本音でしょう。しかし、年齢制限の記載は禁止されているため、補足で業務内容や顧客ターゲット層を記載しておくと良いでしょう。「○歳以下」と制限せずとも、募集要項を読んだ人が業務内容を確認し、自分に務まるかどうか判断する事ができれば、違法にもならずに狙った年代で募集をかける事ができるのではないでしょうか。

 

また、募集要項の性別表記のように、年齢表記にも例外となるケースがあります。「高齢者雇用を行う」「子役が必要」などといった場合には年齢制限が認められる事があるのです。さらには、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から新規学卒者をはじめとした若年者を採用するといった場合にも例外となります。この他にも例外となるケースはいくつか存在するので、事前に調べておくと良いかもしれませんね。

⇒参考:厚生労働省(その募集・年齢にこだわっていませんか?)

NG表現3.最低賃金以下の給与

募集要項に最低賃金以下の金額を記載してはいけません。最低賃金とは企業が支払うべき給与の最低額を指し、1年に1回厚生労働省によって改定されるものです。何年か前に最低賃金を調べたから良し!と言うものではなく、求人募集をする際には必ず調べるようにしましょう。

 

なお、最低賃金は時間ごとで計算をすることとなり、アルバイトだけでなく全ての雇用形態で対象となる事を覚えておきましょう。募集要項には、きちんと最低賃金を考慮した額で記載し支払うようにしてくださいね。

 

万が一、最低賃金を下回る額で支払いをしてしまった場合には、差額を支払わなければなりません。また、支払わなかった場合には50万円以下の罰金をうけることになりますのでご注意ください。(最低賃金法第40条)

⇒参考:厚生労働省(地域別最低賃金の全国一覧)

労働条件の明示が必要なタイミング


 

労働者の募集を行う場合には、労働条件の明示が必ず必要になります。求人広告を出して、求職者と「労働契約を締結するまで」には全ての労働条件を明示しておきましょう。

 

求人広告のフォーマットの関係上、労働条件の一部しか書ききれないと言う場合には「詳細は面談の時にお伝えします」などと書く事も可能。しかし、原則として「初回の面接時まで」に全ての労働条件を求職者に伝える事とされているので、できるだけ求人広告に明示しておくのがベストと言えるでしょう。

 

また、当初明示した労働条件に変更が加わった場合には速やかに求職者へ書面で伝える必要があります。変更された後の内容を対照できる書面を交付できなければ、労働条件通知書において変更された事項に下線を引くなどの方法を取るようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。労働者を募集する求人広告には、必ず記載しなければいけない事項やルールが存在します。求職者は、求人広告の募集要項を見てどんな企業なのかを判断しています。当然、事実と異なる条件で募集を行ってはいけません。

 

また、なるべく詳しく業務内容を書くことで、入社した労働者はギャップを感じる事無く勤められるのではないでしょうか。仕事として様々な業務に携わる事となりますが、それにはどのような能力が必要なのかなどを書いておくと言うのも一つの手です。年齢表記や性別を限定して募集要項に記載する事ができない分、企業がどんな人材を求めているのかを会社の雰囲気から伝えてみても良いかもしれません。

 

企業側としても理想的な人材を募集するために、求人広告の作成を工夫してみてくださいね!

Author:美プロ編集部

expand_less