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求人広告にも著作権が存在する?!知っておきたい求人広告の法律
映画や本、デザインといった作成者がいるものには、必ず著作権が存在します。求人広告であれば著作権は存在しない、と思っている方も多いものの、実は自社の求人情報を記載している求人広告にも関係してくる内容なのです。
何も気にせず掲載していたら違法だった…!という事態に陥らないよう、求人広告を出す前にまずは著作権の勉強をしておきましょう。
写真に写り込んでいるものや人に注意!
制作物ではないものの、人間にもそれぞれ「肖像権」という権利が存在します。肖像権とは、容姿などの肖像を無断で使用されない権利のこと。法律の中で正式に定められたものではありませんが、人格的な利益を保護するために広く定着している内容です。
そのため、たとえ働いている社員やお店に通ってくれているお客様、偶然通りがかった通行人などが写真に写り込んでいる場合も、必ず許可をとった上で掲載をしなくてはいけないのです。
■退職をしたスタッフが写っている
退職した社員やスタッフの写真も、肖像権の関係で基本的に掲載はNG!既に掲載中の求人原稿に退職者の写真を使用している場合には、写真を差し替える・写っている部分のみ切り取って使用する、といった対応をなるべく早急にしましょう。
■タレントやモデルが写っている
雑誌の中、テレビの中などに偶然写り込んでしまったのだとしても、芸能事務所に所属しているタレントやモデルが原稿の写真の中に写っているのはNG!
もし、企業・サロンとそのタレントやモデルが使用契約を結んでいる場合でも、それはあくまで商品やお店の宣伝広告に使うための契約。もし求人広告で写真を使用する場合には、別途契約をする必要があるのです。
この別契約という部分に関係してくるのが、
パブリシティ権というもの。芸能人には肖像権とは別にパブリシティ権という権利が存在し、氏名や肖像の使用と引き換えに対価を得ることができるという内容です。一般人よりもはるかに影響力のある芸能人だからこそ、その人格的利益もしっかりと保護されるべきとされているのです。
■キャラクターのグッズが写り込んでいる
アニメやマンガのキャラクターを勝手に求人広告に使用することも、もちろんNGです。キャラクターにはそれぞれライセンスが存在するため、どんな小さな商品であっても求人広告に使用する場合には契約を結ぶ必要があるのです。スタッフが持っているノートやバッグにキャラクターが使用されている場合にはその部分をぼかすような処理が必要になりますよ。
■サロンで使用している商材が写っている
サロンで使用しているシャンプーやリンス、化粧品やマシンなどが写っている場合も注意が必要です。自社で製作しているオリジナルブランドの化粧品や商材であればまったく問題はありませんが、商標登録をしている他社商材を使用している場合には、商品名がはっきりと分かるような写真は避けましょう。
■商品ロゴや会社のマークが写っている
商品のロゴやマークは、それぞれ商標登録がされているもの。「商標法」という法律によって保護されているのです。そのため、これらの写真を無許可で使用することもNG。外で撮影した集合写真の中に商品マークが写っている、会社の外観を撮影したら隣接した企業のマークが複数写りこんでしまっている、という場合もトラブルになりかねないので、掲載前には必ず確認をして該当部分へのぼかしを入れましょう。
【ネイルサロンの場合】キャラクターなどのネイルチップが写っている
アニメや漫画のキャラクターをネイルデザインとして描く、いわゆる「痛ネイル」。このネイルチップを求人広告に載せる場合も、注意が必要です!商標登録されているキャラクターの場合、勝手にネイルチップに描いてお金をもらうことが違法行為に当たる場合も。無償でキャラクターのネイルをすることは問題ありませんが、お客様に施した場合は求人広告に写真を載せることは控えておいた方が良いでしょう。
【美容室の場合】カラーモデルやカットモデルの顔が写っている
お客様にカラーモデルやカットモデルをお願いした場合、顔が写っていない後ろ姿で、誰なのか特定ができない場合は肖像権の侵害にはあたりません。ただし、服装や持ち物などから個人の特定がされてしまうような場合には、たとえ後ろ姿だとしても掲載許可をもらうことが必要。後からトラブルにならないように、顔が写っているか写っていないかに関わらず、事前にモデルさんからの掲載許可をもらっておくと安心ですよ。
【エステサロンの場合】お客様のビフォーアフター写真で顔が写っている
モデルとしてお願いをした方だとしても、無断で写真を使用することは絶対にNGです!ホームページや求人広告、SNSへの写真使用許可をもらった場合には掲載しても問題ないので、必ず事前にお客様に確認をするようにしましょう。「公式サイトならいいけど、SNSや求人広告に使われるのはいや!」という方もいるので、どこに何の目的で写真を使用するのか、詳細に説明をすることが必要ですよ。
関連記事:求人広告に使用する画像の注意点
求人原稿の使い回しに注意!
自ら作成した求人原稿ではなく、求人媒体に原稿を作成・編集してもらうという人も多いはず。その場合は、作成をした媒体に著作権が帰属しています。そのため、いくら自分のサロンや会社の求人原稿だからといって色々な媒体で使い回しをすることはNG行為なのです!もちろん、他社の求人原稿をそのまま自社求人原稿で使用することも絶対にNG。
たとえ既に掲載が終了している原稿だとしても、作成してもらって掲載をした原稿を他の媒体でも使用したい場合には、必ず事前に求人原稿の作成をした媒体に確認をして許可をもらうようにしましょう。
ただし、給与額・勤務地・労働条件といった情報はそのまま過去の原稿を引用してしまっても問題ありません。
原稿内で使用する固有名詞に注意!
原稿内の画像だけではなく、原稿内で使用されている固有名詞にも注意が必要になってきます。
場所の名前を記載する
「仕事帰りに〇〇ショッピングモールで買い物が出来る」「△△遊園地から電車で5分!」など、特定の場所に関する固有名詞を使用する場合にも注意が必要です。許可なく原稿内に名前を記載することでトラブルになりかねないので、「話題の屋内型遊園地」「大型ショッピングモール」といった表現にとどめておくのが良いでしょう。
スタッフの個人名を記載する
写真だけではなく、原稿内に個人の氏名を載せる場合も注意が必要です!肖像権と同様に「指名権」というものも存在するため、その権利に違反することになってしまうのです。
スタッフインタビューなどでスタッフの氏名を使用したい場合にも、必ず本人に確認し掲載許可をもらった上で掲載しましょう。また、許可なく退職者の氏名を使用することもNGなので、必ず見直しと修正が必要ですよ。
モデルや芸能人の名前を記載する
サロンに通ってくれている常連のモデルさんがいるからと言って、無許可で求人原稿の中に「モデルの〇〇さんも常連のお店!」のような記載をすることも絶対にNGです。
写真ではなくても名前を使用するだけで違法行為となることも十分に考えられるので、いくら仲良くしている常連さんだとしても勝手に名前を掲載することはやめましょう。
求人広告を掲載する際には、諸々の法律に注意が必要
求人を開始する際、なんとなく過去に掲載していた原稿をそのまま掲載してしまうという人も多いでしょう。ですが、その「なんとなく」が大きなトラブルに繋がってしまう原因となるかもしれません。
著作権の侵害の場合、「10年以下の懲役」または「1000万円以下の罰金」という罰則が科せられる可能性があるのです。
自社の求人広告だとしても著作権は媒体担当者に帰属していることをまずは頭に入れて、記載されている内容や固有名詞、使用している画像に写っている人や物にも細心の注意を払ってくださいね。